彼女はオタク男

tsuusan

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新たな日常

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昼休み

愛の回りには女子たちが、お弁当を持って集まってくる。可愛いらしい小さな弁当箱。愛の弁当箱も、女の子っぽいものへ上書きされていた。

まず、愛に話しかけたのは、ショートカットのメガネをかけた、黒瀬はるかだった。

はるか「愛ってさ、どんな男がタイプなの?そういう事、全然教えてくれないよねー?」

元オタク男ひろしの愛には、男のタイプなんかあるはずもない。適当に、桜庭ゆうまとでも言おうかとも思ったが、思った瞬間、ハラワタが煮えくり返る。

愛「特にないかな。男に興味ないんだよねー。」

次に話しかけてきたのは、ちょっと太めの小さな弁当箱が似合わない、大原えみこだった。

えみこ「今日学校終わったら、ハッピーバーガーいかない?デカデカバーガー食べてー。」

弁当食べてる途中の発言。えみこに向かって言ったのは、黒髪ロングの性格の明るい、朝野ひなただった。

ひなた「えみこもうお腹すいてんの?マジウケる(笑)でも良いね。みんな行こ?」

というながれはもう止まらない。放課後、ハッピーバーガーへ行くことになった。

電車に乗ってとなり街、ハッピーバーガーは、駅から近い場所にあった。

放課後のハッピーバーガー・・・それは放課後の女子たちのおしゃべり聖地。たくさんの女子たちが集まり、冷えたジュースとポテトで何時間も話してられる究極の場所。

そこに以前、ひろしは1度だけ、足を踏み入れた事がある。

それはアイリの限定DVDを求めてこの街へ来た時だった。

アイリの限定DVDを手に入れて、心の中は、跳び跳ねるように喜んでいた。

今すぐ帰って、新しいアイリに会いたい。違う衣装、違う髪型のアイリ。あぁ待てない。
そう思っていたのだが電車はまだ来ない。
そして喉も渇いて小腹もすいた。

テンション高くなったひろしは、ハッピーバーガーへ行ってしまった。

地獄への門だった。

ひろしが店に入って、カウンターまでの道中、鋭い女子たちの視線がひろしにむけられる。ロックオンされてしまった。

次にひろしを襲うのは、ひそひそからの笑い声だった。完全にひろしは話しネタに飢えてる女ヒョウたちの獲物になった。

ひろしはテンションが一気に下がってしまった。
カウンターまでは遠く感じる。砂漠を歩いているようだ。やっとカウンターまでたどり着き、次にひろしから放たれた注文が、追い討ちをかけた。

ひろし「イチゴたくさんシェイクをください。」

爆発した。

女のひそ声「その顔でイチゴってwww」

別のひそ声「おめぇに似合うのはコーラだろw」

違うひそ声「イチゴかわいそーw」

油テッカテカブ男ひろしは集中砲火をあびた。

彼はイチゴたくさんシェイクを、お持ち帰りにしてもらい、そそくさと店をでた。

そんな苦すぎる思い出の店、ハッピーバーガー。
そこに今もう一度足を踏み入れる。

可愛い女、愛には、地獄の門ではなく、まさに聖地となった。

愛に注がれる視線は、憧れのまなざしだった。
心癒されるハーモニーがこだまする。

女の声「うわ。可愛いー。」

女の声「どこの学校の子?まじ可愛い。」

女の声「やべー、抱きてぇ」

愛は戸惑いながらも、ポテトとあれをたのんだ。

愛「イチゴたくさんシェイクをください。」

それは、爆発ではなく、妖精が挨拶をしたように響いた。

女の声「声も可愛いんですけど。」

女の声「イチゴうらやま。」

女の声「ほんと可愛いー。」

そして席に座り、一緒に来た、女の子たちと話しはじめた。

クラスの女子たちとの会話は、元オタク男ひろしの愛には、相変わらず、興味のないものであったが、それなりにお話しをして、店をでた。


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