Red Crow

紅姫

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番外編 猫と犬と

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「ねぇ、何なの、アレ」

「あはは…」

不機嫌なことをこの上ない猫に私は笑うことしかできなかった。

「…」

隣でなんてこと無いように紅茶を飲む狼だが、手が震えていてカタカタとカップが音をたてている。




猫の目に映っているのは


「キース!」

「どうしました?リュウさん」


仲睦まじく話をしている主と犬である。


「…」

「そんなに睨んでやるな」

「だって…」

「しょうがないじゃないか、総統自ら望んでキースを側においたんだ」

「そうだけど…まだ少ししか一緒に居ないのにあんなに信頼されるなんて…」

プクッと頬を膨らませる猫に私はため息をついた。





所詮、ヤキモチというやつである。
大好きな主の側にずっといられる犬が猫は羨ましくて羨ましくてしょうがないのだ。


全く…どうなることやら…

と私は今後のことを考えて額に手を当てる。


「そんなに気になるなら聞けばいいじゃんか」


しびれを切らしたように、狼は乱暴にカップを置きながら言った。

「おい、リュウイ!」

「なあに?」

いきなり名前を呼ばれて、驚いたように瞬きしながらこちらを見る主。


「お前、この城の中の奴で一番好きな奴は誰だ?」


犬と猫が緊張した面持ちで主を見る。


何を馬鹿なことを聞いてるんだ…
主の答えなんて、聞かなくても分かる。
彼はきっとこう言うだろう。



『みんな好きだよ?』
「みんな好きだよ?」


やっぱりな…
私は、紅茶を飲む。
主がそれ以外の答えを言うわけないのだ。


しかし、狼は納得できなかったようで、少し考えてから思い付いたように主に聞く。


「じゃあ、一番信頼してる奴は?」


私は、思わずカップを落としそうになる。
やめろ!
そんなこと聞くんじゃない!


「ユウに決まってるじゃないか」


即答する主。
犬と猫が私を見る。


「何年一緒にいると思ってるのさ。ユウがいるから俺は総統やれてるんだよ」


ニコニコと笑いながら話す主とは対象的に、猫の目が鋭くこちらを睨む。


そんなに睨んだところで何も変わりゃしないのに…。
別に、望んでその地位にたったわけじゃない。



まぁ…


「ユウだって、俺が一番だろ?」

期待を込めた目でこちらを見る主。


私は、それに微笑み返しながら答える。



「もちろんだよ、リュウ」




暫く、いや一生、この地位を誰かにくれてやる気は無い。


満面の笑みを浮かべる主。
それとは対象的に、犬と猫、あと何故か狼が不機嫌な顔で私を見ていた。



追いつけるものなら、追いついてみろ
私は烏らしく高みからその様子を眺めようではないか


こりゃ、楽しくなりそうだ


私の口は弧を描いた。
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