Red Crow

紅姫

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癒し手②

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「ん?」

マオが連れ去られるちょうどその時、ユウィリエはミール国の食堂にいた。
私の他に、ゾム、ノア、ルナ、キースがいる。リュウイは昼寝中とのことだ。

「どうした?」

ゾムが声を上げた私に言う。

「いや…今誰かに呼ばれた気が…」

「誰も呼んでないと思うけど?」

「そうか?」

私は首をひねる。
確かに呼ばれた気がしたんだけどな…

「そういえば、ユウさんは今日どこに行ってたの?」

ノアが聞いてくる。
最近、私にだいぶ慣れてくれたようで、こんな感じに話しかけてくれる。

「お医者さんのところさ」

「医者?」

「そ、主治医の定期検診の日でね」

「そんなの居たの?」

「主治医くらいいるだろ、普通」

ルナはそうかなぁと首をひねる。

そういえば、なんで出かけてるのか話したことはなかったなぁ

「小さい頃…それこそリュウイと出会う前から知り合いでね。信頼できる優秀な医者だ」

ルナはジロリとこちらを見る。


「そんな優秀なお医者さんの知り合いがあるなら、ココに連れてくればいいじゃんか。ちょうど、城の医者探してるんだからさ」

「誘っても来てくれないんだよ」

「なんで?」

「…」


別に話すなとは言われてないし、いいか




「ちょっとした訳ありなんだよ」

「訳あり?」

「お前ら、『妖精-Fairy-』って聞いたことあるか?」

「フェアリー?」

首を傾げるのはノアだけだった。

「昔存在していた…森に住む人達のことですよね?」

キースが言う。

「一目その人を見ただけで、どんな状態かを把握し、適切に治療する腕を持つ者。その腕前からまるで魔法のようと言われ、妖精-Fairy-と呼ばれるようになったんだっけ?」

ルナが言う。

「でも、確か…絶滅したんじゃなかったか?最近では誰も姿を見たことはないって話だろ?」

ゾムが言った。


「ま、ある程度は知ってると…」

「何その言い方」

ルナはジロリと私を睨む。

「私の主治医は、そのFairyの生き残りだ」

「はぁ!?」

「しかも…そのFairyの中でも特殊な位置にいた奴なんだよ」

「…どういう意味です?」

私は、長くなるぞと注意し、話しだした。



「Fairyは確かに医術に特化した人達だった。でも、それを可能にしたのは彼らの眼『医師眼-Doctor eye』と呼ばれる特殊な眼を持っていたからなんだ

簡単に言えば、一目見ればどんな状態か病気ならどんな病気かを瞬時に把握できる眼を持ってたってわけだ。
どういう訳か、遺伝的に親から子へ受け継がれてるみたいだがな

で、なんで私の主治医が特殊かというと…

私の主治医はその目の他にもう1つ特殊な能力があるんだ。瞬間記憶って言ってね、どんな事でも一目見れば全て覚えてしまう、できてしまう。そんな能力だ。

アイツは、3歳の時に初めてメスを握り、手術を成功させた。
まさに期待の星だ。

そんなアイツに…一族の長がある薬のレシピを教えたんだ。
一族に伝わる万能薬の作り方をね

そして…一族は敵の襲撃を受けて、アイツを残して全滅したんだ。

長はアイツにしかその万能薬の作り方を教えていなかった。
それに…万能薬が作れるということは、逆に劇薬だって作れるわけで…
他の国の奴らがアイツを狙って来るのは、目に見えている。


そこでアイツはを身を隠した。
森の中に。
アイツから連絡が来たときは驚いたなぁ…。まさか生きてるとは思わなかったからね。

その時も、私の側に居れば安心だと言ったんだが…自分は危険人物だから…迷惑かけたくないの一点張りでね…」

「なるほどねぇ」

うんうんと頷くルナ。

「でもそれ要らない心配ってやつじゃん?」

「まぁな」

「危険人物って言うなら、僕はユウの方がよっぽど危険だと思うけどね」

ぐうの音も出ない。

「どうにか…この国に来てくれないかなぁ…」

私は項垂れる。

「…そんなにその人の事、大事なの?」

ノアが言った。

「へ?」

「いや…なんか…凄い大事に思ってる人なんだなと思って…」

「…そりゃあね」

私はふぅと息を吐き続ける。

「もしも…あくまでも、もしもだよ?もしも、アイツがあのまま一族の長になっていたなら…私はアイツの側にいたはずだ。その後リュウに会ってたとしても、私はアイツの側を離れなかったろうね。
まぁ実際、こんな風に離れちゃってるし、今はリュウに忠誠を誓ってるけどね」

話終えたが誰も口を出さないため、チラリと皆を見ると、口をポカンと開けてこちらを見ていた。

「…なんだよ」

「いや……ユウさんから、もしかしたらリュウさんに忠誠を誓うことがなかったかも、なんて言われたら誰だって驚きますよ!」

キースが早口で言う。

「そうか?」

「だって…誰よりも絆が強いじゃないですか、お二人!」

うーん…

「そう見えるならそうなんだろうな」

私は答えながら、ふと、窓の外へ視線を向けた。
別に理由があった訳ではない。ただ、なんとなく。


カカンッ

とくちばしに何かをくわえ窓ガラスを叩く小鳥を見たのはその時である。


「え…?」

異様な光景に驚き、そして…









そして、とてつもなく嫌な予感がした
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