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番外編 高い壁
しおりを挟む「ユウィリエっていくつなの?」
「へ?」
ルークが投げかけた質問に、ユウィリエは困ったように声を上げた。
事の始まりは、15分ほど前。
俺は、『カラー武器の登録証が届いたってよ~ユウが預かってるから取りに行って』とルナティアから連絡があり、ちょうど書記長室の近くにいたため、そのまま部屋へ向かったのだ。
トントンッ
「失礼します」
「お、来たね」
ユウィリエは俺を部屋へ招き入れ、ソファに座るように言った。
「ちょうど、休憩しようと思っててね。もしよかったら付き合ってよ、ノアも居ないし一人だとつまらないしさ」
もしよかったら…と言いながらも2つ分カップを用意する彼。
断る理由もないからいいのだが…。
「はい、これ登録証ね。」
お茶菓子のスコーンの盛られた皿をテーブルに置いて、休憩の準備ができると、ユウィリエはそれを渡してきた。
「ありがとう」
俺はそれを受け取り、ポケットに入れる。
「さぁどうぞ。今日の紅茶はキーマンだからスコーンを焼いてみたんだ。口に合うといいんだけど」
「いただきます」
紅茶に口をつける。甘みのある味が口に広がる。
「美味しい」
「それは良かった」
感想を伝えると、ユウィリエは微笑んだ。
それから…この国に来てからのことを話していて、
「なんか、疑問に思ってる事とかはない?答えられることなら答えるよ」
と聞かれた。
その時、ずっと疑問に思っていたことが口からスルリと言葉になって出された。
「ユウィリエっていくつなの?」
「そんなこと気にしてたの?」
「だ、だって…。この国に来てリュウイと初めて話した時、すごい笑われたし…変な事を言ったのかなって…」
あの時のリュウイの爆笑は今でも記憶に新しい。
「あ~」
「で、いくつなの?」
「そういう事を聞くときは、自分から言うのがルールだぞ」
それは女性に対してではなかろうか
と思いながらも、疑問を解消できるならと口を開く。
「俺は21歳」
「若いなぁ…。ノアと2つ違いなのか」
「話をそらさないで!」
「わかった、わかった」
どうどうと手を動かし、ユウィリエはひとつ咳払いをする。
「私は、今29歳だよ。もうすぐ三十路のおじさんだ」
「ええ!!!??」
29歳…だと?
「ユウィリエって…すごく若く見えるね…」
改めてまじまじとユウィリエの顔を見る。
ルビーのような赤い瞳は優しく輝いている
スッと通った鼻筋
きめ細やかで白い肌
全てから若々しさを感じる。
「そうか?年相応だと思うんだがね…よく若く見られるんだよなぁ」
「まだ十代でも通じると思うよ」
「そこまで若く見られてもなぁ」
とユウィリエは苦笑する。
「これでも、この国の幹部の中では最年長だし」
「そうなの?」
「うん、まぁマオは私と同い年だけど誕生日的に私のほうが早いし、リュウは私の2つ下の27歳。
ルナはその1つ下で26歳、ゾムは25歳って言ってたな。初めて見たときはもう少し上だと思ってたんだけどね。
んで、キースは23歳。ノアが19歳の最年少」
「へー」
「まぁ、私はまだまだ若い奴らに負ける気はないけどね。バリバリ働けるし、暗殺だってお手の物だしね」
「ハハ…勝てる気もしないよ」
そう呟くと、ユウィリエはニコリと笑い
「でも、いずれは超えておくれよ。楽しみにしてるから」
と言い紅茶を飲んだ。
超えれる日など来るのだろうか…
そんなことを考えながら、スコーンをかじる。
ゆっくりでもいいから、彼に近づいていこう
とスコーンの味を感じながら心に誓った。
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