自己顕示欲の強い妹にプロデュースされる事になりました

白石マサル

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第三章~初めての恋愛~

新しい会話のテクニック

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 夜11時。恒例となった柚希との会議が始まる。
 昼間に新島の家へ行き、色々やったり、課題を出されたりしたので今日は柚希との会議は無いだろうと思ってくつろいでいたら柚希から「いつもの時間に部屋に来て」と言うメッセージがきた。
 一体これ以上何をするのだろうか。

「とりあえず新島先輩の家での会議の感想を聞こうかな」

 柚希はいつものようにベッドに腰掛けながら聞いてきた。
 相変わらず俺の分の飲み物は無い。

「感想かぁ、俺自身は何もやってないから何とも言えないな。水瀬とのLINEも言われた通りの言葉を送っただけだし」

 俺自身の考えで行動した記憶が無い。
 ずっと二人の話を聞いて言われた遠井に動く、まさに操り人形状態だった。

「そうだね。お兄ちゃん自身で考えての行動が無かった。まぁ新島先輩と私が居る所で自分の意見を通すのは今のお兄ちゃんじゃ厳しいかもね」
 
 そうなんだよなぁ。二人から物凄いリア充オーラというかなんというか、そんな物を感じていてそれに圧されて自分の意見を言うと場がしらけるんじゃないかという不安を持っていた。
 
「お兄ちゃんはまだまだ人との会話の経験値も低いし、女子にも何処かビクビクしちゃう所もあるしね」

 確かに会話はまだスムーズに出来ないし、女子に関しては緊張して何話したらいいんだろう?となってしまう。
 話題の引き出しがあれば何とかそこから話題を引っ張り出して話す事は出来るけど、何もない状態だと今の俺ではパニックになる。

「でも、水瀬さんのあだ名の時はちゃんと話せたでしょ?どうしてか分かる?」

 言われてみればそうだな。 最初は告白かと勘違いして緊張しまくってたけど、あだ名の話の時はそうでもなかった。

「それは、何とか課題をクリアしなきゃと思ってたからかな? それと水瀬があだ名の事を凄く恥ずかしがってたから何とかしなきゃと思ってかな」

 あの時も緊張はしてたんだけどね。変な空気になっちゃってたし。

「そう!それなの!?」

 ビシッ! と俺を指差しながら言う。

「え? 何が?」

 訳が分からないので聞き返すと

「会話は話題の提供が大事って教えたでしょ? でもその話題が無い時はどうすればいいと思う?」

 いや、質問を質問で返すなよ! それが分かってればぼっちになってませんから。

「それが分からないから聞いてるんだけど……」
「さっき自分で言ってたでしょ? 水瀬さんが恥ずかしがってたから何とかしなきゃって!」

 確かに言ったけどそれが話題の提供と何か関係あるのか?

「つまり、話題が無い時は相手を話題にすればいいの!」

 ドヤァ!っといった感じで胸を張る柚希。そのせいで存在感を増す二つの山! いや、妹だから変な意味ではない。決してない。

「相手を話題にするっていうのはどう言う事だ?」

 俺が質問すると、「フフン、それはねぇ……」と勿体つけてから

「相手の髪型やファッション、持っている物とかを話題にすればいいのよ! 昨日の場合は相手の態度がそれに当てはまるの!」

 と、自慢げに話す。
 昼間は新島に殆ど良い所を持ってかれてからなぁ。

「な、なるほど。 つまり相手を観察して話題になりそうな物を探すって事か」
「そう! お兄ちゃんも分かってきたね」

 そうか、だから観察は大事って言ってるのか。
 会話のスキルを盗むだけじゃなく、話題を探る意味もあったんだ。

「今の事を踏まえて今日の昼間に話題になりそうな事なかった?」

 話題になりそうな事。この場合相手は新島だよな? 
 俺は今日の新島を思い返してみる。
 服装はジーンズにTシャツでこれと言って話題にする様な事でもなかった。
 持ち物事態持ってなかったしなぁ。
 髪型も普段と同じだったし。
 あれ? 話題に出来る事何も無かったんじゃないか?

「思い返してみたけど特に話題になるような事は無かったとおもうんだけど……」

 と返すと、あからさまな溜息を吐かれた。

「まず、学校で新島先輩はお兄ちゃんの事なんて呼んでる?」

 そう言われて気づいた。
 そうだ! 昨日の通話の時から俺の事を友也君って呼んでた。 学校では佐藤君なのに!
 俺の表情を見て気づいたと判断した柚希は更に続ける。

「それに、話し方や雰囲気はどうだった?」
「あ!」

 そうだよ! 学校とは話し方が全然違ってた。 雰囲気も何処か冷めた感じもした。
 またもや俺の表情を見て

「そういう事だよ」

 とドヤ顔で言ってきた。
 今日の柚希はちょっとウザいな。

「普段からキチンと観察していれば直ぐに分かる変化だったでしょ? でも今回はそれが出来てなかった」
「おっしゃる通りです」
「だからお兄ちゃんには明日実戦訓練してもらいます!」
「実戦訓練?!」

 まさかナンパみたいな事しろとかいわないよな?
 俺には知らない女性に声を掛けるなんて事はできないぞ。

「そう! 今回もめぐに協力してもらうの。もう約束は取り付けてあるから安心して」

 安心できねぇ! ってかまためぐか。春休みに実戦訓練したばかりなのに。

「めぐって春休みに実戦訓練したばかりじゃないか。 訓練になるのか?」

 俺の疑問に チッチッチ!と指を振り

「今回は事前に情報提供しないからね。お兄ちゃんが自分で話題を探すの! これだけでも前回よりかなり難しくなってるよ!」

 と腰に両手を当ててエッヘンッ! といった感じで言う。
 確かに自分で話題を探さなきゃいけないのは難しそうだ。

「めぐは初めて会う訳じゃないしな。まかせろ!」

 という俺の強気な発言で今日の会議は終了した。
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