自己顕示欲の強い妹にプロデュースされる事になりました

白石マサル

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第五章~過去との決別~

無自覚

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 田口の疑問をスルーして弁当を食べようとしたが

「昨日何があったかは聞かねぇけど、お前らもうちょっと自重しろよ」

 と水樹に言われる。
 やっぱり学校では手作り弁当はやりすぎなのか。

「わかったよ。弁当は我慢する、な?楓」
「しょうがないか~。じゃあデートの時作るね」

 これでよし。
 改めて食べようとすると、今度は中居が

「そういう事じゃねぇんだよ」

 と、少しイライラした様子で言ってくる。
 その表情はマジで怖いから止めて欲しい。

「お前らいつもどこでもイチャイチャしやがって」
「そんなにイチャついてた?」
「ね~、そんなにイチャついてないです~」

 と俺と楓が言うと全員が溜息を吐いた。
 すると水樹が

「友也、自覚無いのか?」

 自覚といっても皆の前でイチャついた記憶が無い。
 そう考えていると

「お前らいつも腕組んでるじゃねぇか。今もだけどな」

 と中居に言われて確認すると、楓が俺の腕に絡まっていた。
 全然気づかなかった。
 あれ? もしかして今までもこんな感じだったのか?

「やっと気づいたかよ。付き合い出してからずっとそうだったんだぞ」

 そう言われ思い返すと心当たりがある。
 付き合った日にずっと腕を組まれていた。
 最初は緊張や恥ずかしさがあったが、段々とそれが無くなっていったので止めたと思ってたけど……。
 俺が慣れて腕を組んでる状態が普通になっていたらしい。
 
 俺が反省しないとと思ってると楓が耳打ちしてきた。
 え? それを俺が言うの?
 俺は楓に言われた事を恐る恐る言う。

「中居、羨ましいなら及川にやって貰えよ」

 と言うと、水樹が

「ぶふっ! 友也、言う様になったな。そうだぞ中居、やって貰え」

 と言うと、中居と及川以外が笑う。
 すると中居が

「佐藤、あんま調子乗んなよ」

 と睨まれたが、そこに及川が

「中居がしたいなら、私大丈夫だから!」

 と覚悟を決めた様に言う。
 その一言で再び笑うと

「する訳ねぇだろ! あんなバカップルみたいにはなりたくねぇ!」

 バカップルは言い過ぎじゃないか?
 それに及川が

「だ、だよね……」

 と言ってしょんぼりしてしまった。
 及川の奴、実はやりたかったのか?

 こうして怒涛の昼休みが終わり、午後の授業も何事も無く終了した。
 
 いつもなら部活の時間まで楓と教室で話すのだが、今は告白の時に使った理科室にいる。
 LINEで楓に話があるからと言ってここで待ち合わせする事になったのだ。
 しばらくして楓が教室に入って来る。
 そして開口一番に

「念のために聞くけど、別れ話……とかじゃないよね?」
「そんな訳ないだろ?」

 やっぱり警戒してたのか。
 ここは冗談を交えて

「昨日の続きがしたくなっちゃってさ」

 と言うと、楓は俯きながら速足でこちらに迫って来る。
 冗談とはいえ言い過ぎた。

「ごめん、冗だ……んっ」

 俺に抱き付きキスをしてきた。
 それも昨日した唇と唇ではなく、大人のキスだ。
 なんだこれ、凄い。脳が痺れるようだ。
 ぷはっと楓が唇を離し

「私も……したかった」

 と言って強く抱きしめられる。
 どうしよう、冗談でしたとか言える雰囲気じゃない。
 俺は頭をフル回転させて考える。

「い、今はこの位にしとこう。な?」
「イヤになっちゃった?」
「そうじゃなくて、ここ理科室だし」
「私なら大丈夫だよ?」
「ぶ、部活もあるだろ?」
「遅れても大丈夫だよ」

 どうしよう! 完全にスイッチ入っちゃってる!
 考えろ! どうにかして楓の意識を元に戻さないと。

「昨日の続きっていうのは、もう叶っちゃったよ」
「どういう事?」
「その、楓と大人のキスしたかったって事です」

 どうだ? かなり無理はあるが嘘も吐いてない。
 楓はそっと俺から離れ

「勢いでしちゃったけど、しちゃたんだ……大人のキス」
「う、うん。凄い嬉しかった」
「ううん、ごめんなさい。勢いでする様な物じゃないのに私何も考えられなくて」
「謝る事なんかないよ。それにこれから幾らでもする機会はあるだろ?」

 あれ? この言い方だと次から大人のキスがデフォになるんじゃ?
 と考えていると

「うん! 次は友也君からお願いね♪」
「わかった」

 次は俺からするのか、今から緊張するな。
 じゃなくて、とりあえず楓は元に戻ったからここからが本番だな。
 大人のキスをした後にする話じゃないと思うけど、それはしょうがない。

「他にも話があるんだけど」
「な~に?」
「今度の土曜にデートしてもいいかな?」
「いいよ! どこ行こっか?」
「いや、楓とじゃないんだ」
「え?」

 楓の向日葵の様な笑顔が段々と冷えていく。
 俺は慌てて

「じ、実は昨日柚希から相談? があったんだけど……」

 俺は必死に昨日楓から聞いた話を話した。
 話し終えて楓の反応を待つ。
 少しの沈黙の後に

「確認していい? 友也君はどんな女の子が来ても本気にならないよね?」
「当たり前だ! 俺が好きなのは楓だけだよ」
「その子は本当に諦めるって言ったの?」
「柚希からはそう聞いてる」

 顎に手を当てて何かを考える楓
 俺はまるで審判の結果を待つ咎人の様だ。
 考えが纏まったのか、俺の目をジッと見つめて口を開く。

「わかった、友也君を信じるよ」
「ありがとう!」
「でも条件が二つあります」
「何でしょう?」
「一つは、万が一その子が諦められなかったら私に一任する事」
「わ、わかった」
「もう一つは……」
「もう一つは?」

 何かを言いかけて飲み込むという動作を何度か繰り返した後

「友也君の部屋に……行きたいな……」

 耳まで真っ赤にさせて俯く。
 こんなの男だったら断れないよね。
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