自己顕示欲の強い妹にプロデュースされる事になりました

白石マサル

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第五章~過去との決別~

決着

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 俺達は楓が居る窓際の一番奥の席まで行き、一端楓を座らせて俺達も座る。
 しかしテーブルは6人掛けで片側3人づつなので、楓・俺・中居が奥に座り、荒井・池田・水樹が手前に座った。
 及川はバラしてしまったのを気にしてか「私は立ってるから大丈夫」と言い
 田口は及川の隣でテーブルを見下ろす様に立っている。

 一番最初に口を開いたのは中居だった。

「お前ら、どうしてこうなったか分かってるよな?」

 睨みを利かせながら言うと、いきなり二人が頭を下げて

「ごめんなさい、中居君。つい嫉妬しちゃって」
「本当にごめんなさい」

 と謝って来たが、それに対し

「お前らぶざけんじゃねぇ! 謝る相手が違ぇだろ!」

 ダァンッ! とテーブルを叩いて怒鳴りつける。
 店員や他のお客さんが何事だ? とこちらを見てきたのを水樹が「すみません、何でもないので気にしないでください」と言って頭を下げている。
 怒鳴られた二人は慌てて俺の方に向き再び頭を下げて謝罪する。

「ごめんなさい! 許してください」
「本当に悪かったと思ってる」

 とテーブルに頭が付くんじゃないかという程頭を下げて謝罪してくる。
 俺が頭を上げる様に言おうとした矢先に、今度は楓が

「いい加減にして! そんな上っ面の謝罪なんて求めてないの」

 バンッ! とテーブルを叩きながら言う。
 そして水樹がまた周りに謝る。
 楓の言葉に二人は頭を上げて反論する。

「ちゃんと反省してるよ」
「そうだよ、佐藤なら分かってくれるよな? な?」

 いきなり俺を指名してきた。
 この中で俺が一番立場が一番弱いと思い頼めば何とかなると思ったのだろうか。

 中居と楓が俺を見る。
 俺は荒井と池田を見て口を開く

「でもさっきゲーセンで俺の事小馬鹿にしてなかったっけ? 煽ったりもしてたよな?」

 俺の言葉に二人は一瞬固まり、直ぐに反論が飛んでくる。

「違うって! あれはあの場を盛り上げる為にやったんだよ!」
「そうそう、やっぱり楽しく遊びたかったしさ!」

 と反論してくる。
 どう言い返そうかと考えていると、再び楓が

「だからそんな事はどうでもいいの! どうして友也君を殴ったりしたの!」

 いきなり確信を突く。
 その言葉に二人は

「え? 殴るってどういう事?」
「ホント意味わかんないんだけど。俺達は軽い嫌がらせはしたけど殴ったりしてないよ」

 と堂々と嘘を吐く。
 それを聞いた水樹が隣に座っていた池田のお腹を殴った。

「ぐえっ!?」

 それを見た荒井が

「何してんだよ! 何もしてないのに殴るとか可笑しいだろ!」

 と声を荒げて言うが、水樹は

「ん? 腹パンは殴った内に入らないんだろ?」

 笑顔で答える水樹だが、短い付き合いの俺でも分かる位怒っているのが分かる。

「な、なんだよそれ、どういう意味だよ」

 それでもしらばっくれる荒井に中居が

「佐藤の身体を見た。あれは殴られて出来たアザだったな」

 中居がそう言うと、水樹・田口・及川が自分も見たと同調した。
 そして最後に楓が

「どうしてあんなにヒドい事できるのよ」

 と言った言葉が切っ掛けで二人の様子が急変する。
 
「てめぇ佐藤! 何チクッてんだよ!」
「ッザケんじゃねぇぞ!」

 そう言ってテーブル越しに俺の胸倉を掴もうとしてきたが、それを中居が阻止する。
 そして不敵な笑みを浮かべて

「やっと本性現したな」

 と言うと、二人は更に激昂して

「大体卑怯だろ! 中居君達に助け求めるなんてさぁ!」
「そうだよ! お前には男のプライドってもんがねぇのかよ」

 等と好き放題言っている。
 また中居が二人に文句を言おうとしていたが、俺がそれを止める。

「好きな様に言えばいいよ、今聞きたいのはそんな事じゃないんだよ」
「あ? 何が聞きてぇんだよ! 謝罪でもして欲しいのか?」
「別に謝罪もいらない」
「じゃぁなんなんだよ!」
「どうして俺をターゲットにしたんだ?」
「んなもんお前が気にくわないからだよ!」
「何が気にくわないんだ?」
「調子に乗ってる所だよ!」
「俺の何処が調子に乗ってたんだ? 不快にさせたなら謝るぞ?」
「っ……てめぇ」

 楓の前では気まずいのか具体的な動機を口にしないだろう。
 俺は立ち上がり頭を下げた。
 
「不快にさせてたのなら謝る、すまなかった」

 俺の謝罪を受けてビックリする二人。
 中居や楓も驚いた表情で俺を見ている。
 楓が俺の腕を掴んで泣きそうな表情で訴えてくる。

「何で友也君が謝るの! 悪いのはアイツ等じゃない!」
「いいんだ、俺なりのケジメだから」

 俺は興奮している楓を宥めながら座り直す。
 そして

「お前達が楓にフラれた事は知ってる」

 その言葉に驚きの表情を見せる。

「俺が楓と付き合ってるのが気にくわなかったんだろ?」
「「……」」

 バツが悪いのか俯いてしまう二人。
 そんな二人に俺は

「顔上げろよ、良い物見せてやる」

 そう言って俺は楓にキスをする。
 その光景を見た二人は悔しそうに顔を歪ませる。

「楓は俺の彼女だ。悔しかったら正々堂々奪ってみろよ」

 俺の挑発に二人は

「何調子乗ってんの? 別にもう興味ねぇし」
「勝手によろしくやってろよ」

 と立ち上がり、水樹をどけて帰ろうとする。
 そんな二人に向かって声を掛ける。

「次何かしてきたら躊躇なく中居達に言うからな」

 俺の言葉が聞こえたのかどうか分からないが、二人はそのまま喫茶店を出て行った。
 一連の流れを見ていた及川が

「佐藤って結構凄いんだね」

 と言うと、田口も

「佐藤君~、あそこでキスはやりすぎっしょ~」

 と言われてしまった。確かにキスはやりすぎたかもな。
 俺は一度皆の顔を見て謝る。

「ごめん、結局中居達を脅しの道具に使っちゃって!」

 俺が必死に謝っていると中居が

「別にそれぐらい構わねぇよ、ダチだろ?」
「そうだぞ友也、きにすんな」
「そうそう、佐藤君は何も悪くないっしょ~」

 と水樹と田口も許してくれた。
 後は楓なんだけど納得してくれただろうか。

「楓も悪かったな、格好悪かったよな」
「そんな事ないよ! すっごく格好良かった!」

 と言って抱き付いてくる。
 それを見た中居が

「ったく、イチャつくのは余所でやれよな」

 という一言で場の空気が柔らんだ。
 こうして一連の俺への嫌がらせに決着が着いた。
 
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