自己顕示欲の強い妹にプロデュースされる事になりました

白石マサル

文字の大きさ
68 / 167
第六章~選択~

水瀬南のターン③

しおりを挟む
 後ろから抱きしめているミナミは、手を動かし身体をなぞる。
 触れられた所が熱く感じる。

「部活やってないのに身体引き締まってるね」

 と、艶やかな声音で聞いてくる。

「春休みから筋トレしてるからかな」

 理性を振り絞って答える。
 再びミナミの手が身体をなぞった後に強く抱き締められる。

 お互いを隔てているのはミナミのシャツ一枚だけなので、柔らかさがほぼダイレクトに伝わって来る。
 無意識に背中の感触を感じていると

「ねぇ、私の身体はどうかな?」
「ど、どうかなって?」
「気持ちイイ?」

 と言って更に胸を押し付けてくる。
 柔らかさの暴力にノックアウト寸前の理性で

「う、うん。気持ちいい気持ちいい。だからそろそろ離れようぜ?」

 と言うと、以外にも直ぐに開放してくれた。
 ミナミの方に向き直り注意しようとした瞬間、今度は首に腕を回して抱き付かれた。

 今度はお互い向き合っている為、顔と顔がぶつかりそうなほど近い。
 ミナミの赤く火照った顔に潤んだ瞳、柔らかく艶やかな唇が目に飛び込んでくる。
 
 そんなミナミの唇が動き

「私って意外と胸大きいでしょ?」

 と脳を揺さぶる言葉を発する。

「ミナミ、マズイって」
「どうして?」
「どうしてって……」

 俺が言い淀んでいると更に顔が近くなる。
 少しでも動けば唇が触れてしまう。

「私がトモの事好きって分かってくれてるよね?」
「ああ、わかってる」
「じゃあ、キスして」

 そう言って目を瞑る。
 俺はミナミの腰に手を回し抱き寄せてキスをした。

「これが今の俺の限界だ」
「……まさかにキスするなんてね」
「ごめん……」

 俺が謝ると俺から離れておでこを触りながら

「ま、焦ってもしょうがないか。今日はこれで許してあげる」

 と言って満面の笑みを見せる。

「ホントにごめん。別にミナミの事がキライとかそういうんじゃないから!」

 と言い訳がましく言うと

「分かってるって、トモのヘタレー」

 と、あっかんべーされてしまった。


 その後、ミナミは昼食を作り、今は二人で食べている。
 今日のメニューはカレーだ。

「なぁ、ミナミ」
「なぁに?」
「料理勉強してるって言ってなかったっけ?」
「してるよ! どう? 今日のカレーは一味違うでしょ」

 確かに前回食べた時よりスパイシーになって更に美味しくなっている。
 だが、俺が期待していたのはカレーではない。

「もしかしてカレーしか作れないのか?」
「あー! 今カレーを馬鹿にしたでしょー! カレーは奥が深いんだからね!」
「いや、別にそういう意味で言ったんじゃないけど、他に料理は作れるのかなーって思って」
「作れますー! なんだったらリクエストしてもいいよ!」
「言ったな? なら……」

 こうして遅めの昼食を済ませ、ミナミの部屋でしばらく談笑した。
 気が付けばもう5時になっていたので帰ろうとすると、ミナミに引き止められた。

「ちょっと待ってトモ!」
「ん? どうした?」
「裸のまま帰るつもりなの?」

 言われて気づく。
 自分が上半身裸なのをすっかり忘れていた。

 ミナミから乾いたシャツを受け取り、今度こそミナミの家を後にした。

 
 2日目は俺がリクエストしたシチューが出され、ミナミにどや顔された。

 そして3日目もリクエストした唐揚げを食べて、ミナミの部屋で談笑していると

「あーあ、今日で私だけのトモも終わりかー」

 と言いながら寝そべる。

「まだ終わりじゃないだろ?」
「そうだけどー、何も進展しなかったなーって思ってさー」

 と言いながらゴロゴロ転がる。
 俺としては3日間楽しかったけどな。

「進展してない事はないんじゃないかな」

 と若干照れながら言うと、ミナミはゴロゴロと転がって俺の元まで来る。

「例えば例えばー?」
「えっと、ミナミの事色々知れたかなーって」
「胸の大きさとか?」

 と言ってわざとらしく胸を強調する。

「そうじゃなくて、料理も頑張ってるし、一緒にいて楽しいって思えた」

 素直な感想を伝えると

「んふふふふふふ」

 と変な笑い方をしたと思ったら

「良かったー! 私もトモと一緒にいて楽しいよ! だから……何でもない」

 ミナミが何を言いかけたのかは分かったが、敢えて聞かないでおいた。
 きっと今聞くべき言葉じゃないからだ。

 それからしばらくして俺が帰る間際に再び呼び止められた。
 
「3日間ありがとね」
「なんだよ急に。明後日にはまたミナミの番だろ」
「そうなんだけど、やっぱり寂しくなっちゃって」
「それは……、明後日まで我慢してくれ」
「うん、分かった」

 こうしてミナミとの3日間は終わりを告げた。
 
 最後は危なかった。
 寂しくなると言われて、それはお互い様だよ。と言いかけてしまった。
 自分が思っている以上に、ミナミに魅かれているのかもしれない。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。

東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」 ──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。 購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。 それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、 いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!? 否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。 気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。 ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ! 最後は笑って、ちょっと泣ける。 #誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

【本編、番外編完結】血の繋がらない叔父にひたすら片思いしていたいのに、婚約者で幼馴染なアイツが放っておいてくれません

恩田璃星
恋愛
蓮見千歳(はすみちとせ)は、血の繋がりのない叔父、遼平に少しでも女性として見てもらいと、幼い頃から努力を続けてきた。 そして、大学卒業を果たし千歳は、念願叶って遼平の会社で働き始めるが、そこには幼馴染の晴臣(はるおみ)も居た。 千歳が遼平に近づくにつれ、『一途な想い』が複雑に交錯していく。 第14回恋愛小説対象にエントリーしています。 ※別タイトルで他サイト様掲載作品になります。 番外編は現時点でアルファポリス様限定で掲載しております。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

元暗殺者の俺だけが、クラスの地味系美少女が地下アイドルなことを知っている

甘酢ニノ
恋愛
クラス一の美少女・強羅ひまりには、誰にも言えない秘密がある。 実は“売れない地下アイドル”として活動しているのだ。 偶然その正体を知ってしまったのは、無愛想で怖がられがちな同級生・兎山類。 けれど彼は、泣いていたひまりをそっと励ましたことも忘れていて……。 不器用な彼女の願いを胸に、類はひまりの“支え役”になっていく。 真面目で不器用なアイドルと、寡黙だけど優しい少年が紡ぐ、 少し切なくて甘い青春ラブコメ。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

貧乏貴族の俺が貴族学園随一の麗しき公爵令嬢と偽装婚約したら、なぜか溺愛してくるようになった。

ななよ廻る
恋愛
貴族のみに門戸を開かれた王国きっての学園は、貧乏貴族の俺にとって居心地のいい場所ではなかった。 令息令嬢の社交場。 顔と身分のいい結婚相手を見つけるための場所というのが暗黙の了解とされており、勉強をしに来た俺は肩身が狭い。 それでも通い続けているのは、端的に言えば金のためだ。 王国一の学園卒業という箔を付けて、よりよい仕事に就く。 家族を支えるため、強いては妹に望まない結婚をさせないため、俺には嫌でも学園に通う理由があった。 ただ、どれだけ強い決意があっても、時には1人になりたくなる。 静かな場所を求めて広大な学園の敷地を歩いていたら、薔薇の庭園に辿り着く。 そこで銀髪碧眼の美しい令嬢と出会い、予想もしなかった提案をされる。 「それなら、私と“偽装婚約”をしないかい?」 互いの利益のため偽装婚約を受け入れたが、彼女が学園唯一の公爵令嬢であるユーリアナ・アルローズと知ったのは後になってからだ。 しかも、ユーリアナは偽装婚約という関係を思いの外楽しみ始めて―― 「ふふ、君は私の旦那様なのだから、もっと甘えてもいいんだよ?」 偽装婚約、だよな……? ※この作品は『カクヨム』『小説家になろう』『アルファポリス』に掲載しております※ ※ななよ廻る文庫(個人電子書籍出版)にて第1巻発売中!※

処理中です...