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第8章~宵越しの祭り~
今と昔
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翌日、俺は学校に向かった。
準備期間中とはいえ、流石に日曜日なので生徒は少ない。
教室に向かう途中、メイド服等を作っている被服室に寄ってみる。
数人の女子が作業をしていた。
一から服を作っているので大変そうだ。
なんて他人事の様に言っていられない。
教室に着きドアを開けると、そこには何故か楓が居た。
楓は俺が来た事には全く驚いた様子が無い。
「やっぱり友也君なら来ると思ってた」
「もしかしてずっと待ってたのか?」
「そんなに待ってないよ。さっき来たばかりだから」
「でも俺が来なかったらどうするつもりだったんだよ」
「ん~、その時は呼び出してたかな」
と言って笑う。
やっぱり楓には俺の考えはお見通しらしい。
「そっか。なら早速作業させてもらうな」
そう伝え、俺は材料を集める。
材料を集め終わり作業に取りかかろうとした時
「ねぇねぇ友也君、こっち見て」
と声をかけられたので楓を見ると
「っ!?」
そこには一年前、俺が恋した少女が居た。
「どう? ビックリした?」
「どうしたんだよその格好は」
「ふふ、D組が演劇の練習してたから借りて来ちゃった」
「まったく、驚かせるなよな」
「でもどう? 一年ぶりに見た初恋の相手は」
「そうだな~、なんか地味だな」
「え~、そんな風に見えるの?」
一年ぶりに見た初恋の少女はおさげに黒縁メガネで地味だった。
「まぁ見た目で好きになった訳じゃないしな。優しくされて好きになっただけだ」
自分に優しく接してくれるだけで好きになってしまう。
だから俺は友華さんに自分を重ねてしまったのだろう。
それから黙々と作業に取り組んだ。
その間、楓は何も話さずずっと作業を見ていた。
大方の形が出来始めた時、楓が口を開いた。
「なんだか去年に戻ったみたい」
「そうだな」
コミュ障だった俺が二人きりでも落ち着けた空間。
その空間は今も変わらない。
ただ去年と違うのは隣に居るのが新島楓という事だ。
それでも落ち着けている俺はきっと変われたのだろう。
そんな事を考えていると
「どうして友也君は看板を作ってるの?」
その問いには、別に俺がやらなくてもいいのに。というニュアンスが含まれていた。
「早川に啖呵切ったっていうのもあるけど……」
去年では考えられない理由がある。
「男子のリーダーだし、ちゃんと皆の期待に応えたいんだ」
俺がそう言うと
「友也君変わったね」
「そうかもな」
「うん、すっごく格好いいよ」
と言い、また作業を眺めていた。
いつまでそうしていただろうか。
俺が作業をし、楓がそれを見守る。
特に会話などはない。
だけど凄く居心地のいい空間。
俺が求めていたのはこの空間なのかもしれない。
看板の骨組みが出来てもうすぐ完成という所まで来た。
我ながら上手く出来てると思う。
それを見た楓が
「それじゃあ私はそろそろ行くね」
「ああ、今日はありがとう」
「ふふ、どういたしまして」
と言って楓は教室から出て行った。
その後もしばらく作業したが、まだ完成まではいかなかった。
看板に書く文言やイラスト等をどうしたらいいか悩んでいる。
楓に電話して相談しようかと考えていると、教室のドアが開いた。
「あっ!」
ドアの方を見ると、前田と後藤が立っていた。
どう声を掛けようか悩んだが、前田達の方から声を掛けられた。
「あ、その看板って……」
恐らくこの言葉を発するだけでもかなりの勇気が必要だろう。
だから俺は二人の負担にならない様に
「悪い、勝手に作って。何かアイディアがあるなら作り直すけど」
「ぜ、全然大丈夫」
「そっか、ありがとう」
俺がお礼を言うと、二人は慌てた様子で
「こっちこそごめん。俺達が遅い所為で佐藤君に迷惑かけちゃって」
「気にすんなって」
「で、でも……」
やはり先日の早川とのやり取りが尾を引いているのかもしれない。
「それよりも一緒に考えてくれないか? 看板のデザインをどうするか悩んでたんだ」
俺がそう言うと、二人は少し興奮気味に
「それなんだけど、これなんてどうかな?」
と言って一枚の模造紙を取り出した。
そこにはさっきまで悩んでいた文言やイラストが描かれていた。
「これって……」
「実は俺達これを作ってたんだ。あと、これも」
と言って手渡してきたのは宣伝用のビラだった。
文言やイラストは看板と同じだが、ビラがあるのと無いのとでは宣伝効果は全然違う。
「こんなに作ってくれたのか。それじゃ時間掛かって当然だな」
「勝手な事してごめん! それに時間取られて肝心の看板に手が周らなくて、それで今日作ろうって」
「そうだったのか」
「本当にごめん! もっと早く相談してればあんな事にはならなかったのに……」
まるで去年の俺を見ている様な錯覚に陥った。
皆に相談すれば早く済ませられるのに、話しかけるのが怖くて出来なかった。
その結果、放課後に一人で作業する事になったのだ。
この二人もきっとそうなのだろう。
今日来ているのが何よりの証拠だ。
「もう謝んなくたっていいって。それより看板完成させようぜ。二人のお蔭で完成しそうだ」
「ありがとう」
それから俺達三人は最後の仕上げに取り掛かった。
俺が骨組みを作り、仕上げは前田と後藤のイラストで締めくくる。
こうして無事看板が完成した。
「おお、結構目立つんじゃないか」
俺がそう言うと
「でも殆ど佐藤君が作ったし……」
「そんな事ない。このイラストがなかったら此処までの完成度にならなかった」
「そう言って貰えると助かるよ」
「よし! これで皆に目にもの見せてやろうぜ」
と言うと、二人は戸惑いながらも
「お、おう!」
「そうだな」
と言って笑いあっていた。
気づけば外が暗くなっていた。
夢中で作業していて何も食べていない事を思い出し
「腹へったな。何か食べて帰ろうぜ」
「え、でも……」
「異世界ヒロインの話とかしたいんだ」
俺がそう言うと、二人は驚きを隠せないまま
「え! 佐藤君異世界ヒロイン知ってるの?」
「ああ、全巻持ってるぜ」
「マジで! じゃあヒロイン誰が好き?」
「俺はやっぱり……続きはファミレス行ってからな」
その後、お互いの好きなマンガやアニメについて話しながらファミレスに向かった。
準備期間中とはいえ、流石に日曜日なので生徒は少ない。
教室に向かう途中、メイド服等を作っている被服室に寄ってみる。
数人の女子が作業をしていた。
一から服を作っているので大変そうだ。
なんて他人事の様に言っていられない。
教室に着きドアを開けると、そこには何故か楓が居た。
楓は俺が来た事には全く驚いた様子が無い。
「やっぱり友也君なら来ると思ってた」
「もしかしてずっと待ってたのか?」
「そんなに待ってないよ。さっき来たばかりだから」
「でも俺が来なかったらどうするつもりだったんだよ」
「ん~、その時は呼び出してたかな」
と言って笑う。
やっぱり楓には俺の考えはお見通しらしい。
「そっか。なら早速作業させてもらうな」
そう伝え、俺は材料を集める。
材料を集め終わり作業に取りかかろうとした時
「ねぇねぇ友也君、こっち見て」
と声をかけられたので楓を見ると
「っ!?」
そこには一年前、俺が恋した少女が居た。
「どう? ビックリした?」
「どうしたんだよその格好は」
「ふふ、D組が演劇の練習してたから借りて来ちゃった」
「まったく、驚かせるなよな」
「でもどう? 一年ぶりに見た初恋の相手は」
「そうだな~、なんか地味だな」
「え~、そんな風に見えるの?」
一年ぶりに見た初恋の少女はおさげに黒縁メガネで地味だった。
「まぁ見た目で好きになった訳じゃないしな。優しくされて好きになっただけだ」
自分に優しく接してくれるだけで好きになってしまう。
だから俺は友華さんに自分を重ねてしまったのだろう。
それから黙々と作業に取り組んだ。
その間、楓は何も話さずずっと作業を見ていた。
大方の形が出来始めた時、楓が口を開いた。
「なんだか去年に戻ったみたい」
「そうだな」
コミュ障だった俺が二人きりでも落ち着けた空間。
その空間は今も変わらない。
ただ去年と違うのは隣に居るのが新島楓という事だ。
それでも落ち着けている俺はきっと変われたのだろう。
そんな事を考えていると
「どうして友也君は看板を作ってるの?」
その問いには、別に俺がやらなくてもいいのに。というニュアンスが含まれていた。
「早川に啖呵切ったっていうのもあるけど……」
去年では考えられない理由がある。
「男子のリーダーだし、ちゃんと皆の期待に応えたいんだ」
俺がそう言うと
「友也君変わったね」
「そうかもな」
「うん、すっごく格好いいよ」
と言い、また作業を眺めていた。
いつまでそうしていただろうか。
俺が作業をし、楓がそれを見守る。
特に会話などはない。
だけど凄く居心地のいい空間。
俺が求めていたのはこの空間なのかもしれない。
看板の骨組みが出来てもうすぐ完成という所まで来た。
我ながら上手く出来てると思う。
それを見た楓が
「それじゃあ私はそろそろ行くね」
「ああ、今日はありがとう」
「ふふ、どういたしまして」
と言って楓は教室から出て行った。
その後もしばらく作業したが、まだ完成まではいかなかった。
看板に書く文言やイラスト等をどうしたらいいか悩んでいる。
楓に電話して相談しようかと考えていると、教室のドアが開いた。
「あっ!」
ドアの方を見ると、前田と後藤が立っていた。
どう声を掛けようか悩んだが、前田達の方から声を掛けられた。
「あ、その看板って……」
恐らくこの言葉を発するだけでもかなりの勇気が必要だろう。
だから俺は二人の負担にならない様に
「悪い、勝手に作って。何かアイディアがあるなら作り直すけど」
「ぜ、全然大丈夫」
「そっか、ありがとう」
俺がお礼を言うと、二人は慌てた様子で
「こっちこそごめん。俺達が遅い所為で佐藤君に迷惑かけちゃって」
「気にすんなって」
「で、でも……」
やはり先日の早川とのやり取りが尾を引いているのかもしれない。
「それよりも一緒に考えてくれないか? 看板のデザインをどうするか悩んでたんだ」
俺がそう言うと、二人は少し興奮気味に
「それなんだけど、これなんてどうかな?」
と言って一枚の模造紙を取り出した。
そこにはさっきまで悩んでいた文言やイラストが描かれていた。
「これって……」
「実は俺達これを作ってたんだ。あと、これも」
と言って手渡してきたのは宣伝用のビラだった。
文言やイラストは看板と同じだが、ビラがあるのと無いのとでは宣伝効果は全然違う。
「こんなに作ってくれたのか。それじゃ時間掛かって当然だな」
「勝手な事してごめん! それに時間取られて肝心の看板に手が周らなくて、それで今日作ろうって」
「そうだったのか」
「本当にごめん! もっと早く相談してればあんな事にはならなかったのに……」
まるで去年の俺を見ている様な錯覚に陥った。
皆に相談すれば早く済ませられるのに、話しかけるのが怖くて出来なかった。
その結果、放課後に一人で作業する事になったのだ。
この二人もきっとそうなのだろう。
今日来ているのが何よりの証拠だ。
「もう謝んなくたっていいって。それより看板完成させようぜ。二人のお蔭で完成しそうだ」
「ありがとう」
それから俺達三人は最後の仕上げに取り掛かった。
俺が骨組みを作り、仕上げは前田と後藤のイラストで締めくくる。
こうして無事看板が完成した。
「おお、結構目立つんじゃないか」
俺がそう言うと
「でも殆ど佐藤君が作ったし……」
「そんな事ない。このイラストがなかったら此処までの完成度にならなかった」
「そう言って貰えると助かるよ」
「よし! これで皆に目にもの見せてやろうぜ」
と言うと、二人は戸惑いながらも
「お、おう!」
「そうだな」
と言って笑いあっていた。
気づけば外が暗くなっていた。
夢中で作業していて何も食べていない事を思い出し
「腹へったな。何か食べて帰ろうぜ」
「え、でも……」
「異世界ヒロインの話とかしたいんだ」
俺がそう言うと、二人は驚きを隠せないまま
「え! 佐藤君異世界ヒロイン知ってるの?」
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