自己顕示欲の強い妹にプロデュースされる事になりました

白石マサル

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第10章~彼氏彼女の事情~

クリスマスの相談

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 昨日は散々だった。
 落ち込んだ真弓さんを立ち直らせるのに一苦労したし、立ち直ったら立ち直ったで俺と沙月を連れ回してこれでもかと言う程の買い物に付き合わされた。
 全てが真弓さんの所為ではないけど、デートがダメになったので沙月には今度埋め合わせしないとな。

 そんな事を考えていたからか、無意識に足取りが重くなっている事を柚希に指摘される。

「どうしたんですか先輩? 元気ない様に見えますけど」

 今は登校中である。
 以前までは同じ学校に通っていても一度も一緒に登校した事など無かったのだが、柚希が計画変更してからは毎日一緒に登校している。
 これも良いアピールになるとの事だ。

「もぅ、聞いてるんですか~?」
「悪い悪い、ちょっと考え事してた」
「もしかして昨日のデートの事ですか? バイト先の店長の所為でデート出来なかったっていう」

 一瞬なんで柚希がその事を知ってるんだ? と思ったが、きっと沙月から聞いたのだろう。
 柚希に愚痴を言う位だからやっぱりどこかで埋め合わせはした方が良さそうだ。

「まぁな。埋め合わせしないとって考えてた所だ」
「先輩も成長しましたね」
「お蔭さまでな」


 そんなやり取りをしつつ学校へ向かい、学年が違うので昇降口で柚希と別れる。
 やはりというべきか、俺と沙月を見てヒソヒソと噂話をしている生徒がちらほら居る。
 そういった噂話はもう慣れっこになっているので気にしないで自分の教室に入っていく。

 教室に入り自分の机に鞄を置いていると

「あっ! トモー、早く早くー!」

 南が相変わらずの活発さで呼んできたので、いつもの定位置に向かう。
 俺が合流すると早速南が

「トモも参加するよね? 場所は何処がいいかな?」

 こういう所も南らしい。主語が抜けてるぞ主語が。

「なんの事だ?」
「クリスマスパーティーの事にきまってるじゃん!」
「ああ、そういえば前に話してたな」
「そうそう! それで25日が終業式だからその日の夜にやろう! ってなったんだけど」

 なるほど。24日は日曜だけど俺や中居、及川に気を使って25日にしたって事か。

「何か問題があるのか?」

 と皆に疑問を投げかけると、今度は水樹が答えた。

「場所をどうするかで悩んでたんだ」
「そういう事か」

 場所か。クリスマスパーティーじゃいつもの様にファミレスで済ますという訳にもいかないだろう。
 みんなでう~ん。と悩んでいると、田口が何か探る様な口調で

「えっと、場所とは関係ないんだけどちょっといいかな?」
「どうした田口」

 代表して水樹が答える。

「クリスマスパーティーなんだけど、恭子ちゃんも参加したいって言ってるんだけど駄目かな?」

 と申し訳なさそうに聞いてくる。
 田口の発言を受けて、俺も沙月を誘ってみようと思い

「俺も沙月を誘ってみようと思うんだけど、どうかな?」
「さすが佐藤君! 恭子ちゃんと沙月ちゃんは友達同士だしね~」

 俺と田口の提案を受けて水樹が中居にアイコンタクトを送ると

「別にいいんじゃねぇの。俺等も知らねぇ仲じゃないしな」
「ありがとう~中居君~」
「サンキュー中居」
「礼はいいっての。っつーか佐藤、お前の妹はどうするんだ?」
「あー、多分だけど参加すると思う」
「そうすっとやっぱり場所がネックになんな」

 確かに。グループだけで7人。そこに沙月、柚希、恭子ちゃんが加わると10人になる。
 この人数だと誰かの家でやるとしても、家の人に迷惑を掛けてしまう。
 再び全員がう~んと悩んでいると、及川が思いついた! といった感じで

「そうだ! 和樹の家の離れは?」
「佳奈子!」
「あっ!」

 中居に怒られる様に名前を呼ばれ「しまった!」という表情をしている。
 どうやら『離れ』に関しては秘密だったようだ。
 だがすかさず水樹が食いつく。

「離れってどういう事だ? 1年からの付き合いだけど初めて聞いたな」
「そりゃそうだろ、“今の家”には夏休みから住みだしたからな」

 水樹含め及川を除く全員が首を傾げると

「実は親父が単身赴任で福岡に行く事になってな。それに伴って引っ越そうって話になったんだ。そうすっと学校も転校しなくちゃならなくなるから、俺だけ残るって言ったらこっちに住んでるジィちゃんの家に居候する事になったんだよ。ジィちゃんの家は昔からある農家の家で無駄に広くてな。そんで敷地内にある離れを使わせて貰ってんだよ」

 中居がそんな事になっているとは驚いた。
 もしかしたら転校していたかもしれないのか。
 皆がそう思ったからこその沈黙が続いたが、水樹がその沈黙を破る。

「どうして黙ってたんだって思いもあるけど、家庭の事情じゃしょうがねぇな」
「悪ぃ」

 暗くなった雰囲気を吹き飛ばす様に田口がいつもの調子で

「よかったよ~。中居君居なくなったら寂しいもん~」
「きめぇよ」
「もしかして田口はソッチもイケるのか?」
「ちょ、ひどいっしょ~」
「「ははは」」

 田口のお蔭で暗い雰囲気が吹き飛ぶと

「はぁ、しょうがねぇな。クリスマスパーティーは離れでやってやるよ」

 と、中居が諦めた様に、そして何処か嬉しそうにそう言うと

「いいのか? おじいさんに迷惑掛かるんじゃないか?」
「うんうん、無理しなくても大丈夫だよ」
「そうそう、最終手段としてトモのバイト先もあるしね」

 皆が口を揃えて心配するが

「問題ねぇ。母屋からそこそこ離れてるからな」

 問題ないという言葉を受けて水樹が話を纏める。

「それじゃ25日の17時に中居ん家の離れでクリスマスパーティー決行ってことでいいな」
「「オッケー」」

 こうしてクリスマスパーティーの開催が決定した。

 
 その日の授業が終わり帰り支度をしていると、クラスメイトから

「佐藤くーん、校門で彼女待ってるよー」

 と声を掛けられ、窓から確認すると、沙月がこちらに手を振っていた。
 また柚希が呼び出したのか? まぁクリスマスパーティーの事を伝えるには丁度いいか。
 そう思いながら俺は沙月がいる校門まで急ぎ足で向かった。
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