自己顕示欲の強い妹にプロデュースされる事になりました

白石マサル

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第10章~彼氏彼女の事情~

癒やし効果?

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 水樹と友華さんの策略にハマった俺達は全員で一緒に周る事になった。
 最初こそ及川が「どうして一緒に周らなきゃいけないんですか?」と友華さんに詰め寄っていたが、友華さんに「皆一緒の方が楽しいじゃない。それとも一緒に周りたくない理由でもあるの?」と聞かれ、中居と喧嘩している事を隠したかったであろう及川が渋々折れた感じだ。
 沙月は肯定も否定もせず、ずっと及川と友華さんのやり取りを見ているだけだった。

 そんなこんなで俺達は今、動物公園の中を散策している最中だ。
 ここは名前の通り動物園と遊園地が合体した様な所なので一日では周り切れるか怪しいところだ。
 そして此処に来ると決まって遊園地から行くか、動物園から行くかで揉める事が多い。
 俺達も例に洩れず絶賛揉めている最中だ。

「絶っっっ対動物コーナーから周るの!」
「何言ってんだ、乗り物から乗るに決まってるだろ!」

 と及川と中居が口論している所に、水樹と友華さんが仲裁に入る。
 
「まぁまぁ、二人とも落ち着けって」
「そうだよ、折角来たんだから仲良くしましょ」

 二人が……主に友華さんが仲裁に入る事ですんなり言い争いが収まる。
 二人からしたら友華さんは学校の先輩で、あまり面識も無いからみっともない所を見せられないというのが大きいだろう。

「それじゃあ公平にじゃんけんで決めましょう」

 良い案を思いついたとばかりに手を叩いて友華さんがじゃんけんをするように言うと

「分かりました。手加減はしないからね和樹」
「おう、掛かって来い」

 じゃーんけーん、ぽん!

「やったー! それじゃあ動物コーナーから行こう!」
「くっそ、好きにしろ」

 こうして俺達は動物コーナーから見て周る事になった。

 動物コーナーに入って最初はゾウやキリンといった定番の動物が出迎えてくれた。
 奥に進みにつれて珍しい動物も見る事が出来た。
 中でもホワイトタイガーの所では、及川を始めとした女子達は勿論、乗り気じゃなかった中居も少し興奮していた。
 
「キャー、すごいすごい!」
「ああ、カッケェな」

 無意識なのか、及川は中居の手を握ってブンブン振っている。
 中居も特に気にした様子もなくホワイトタイガーを見ている。
 これは仲直りも近いか?
 と思って見ていると、友華さんの

「仲が良くて羨ましいですね」

 という一言で二人とも我に返り、直ぐに離れて気まずそうにしていた。
 友華さん、空気読んでください。

 ホワイトタイガーを後にして更に奥に進むと、ふれあいコーナーという看板が見えた。
 パンフレットで確認すると、ウサギや犬、ポニーに乗ったり出来るようだ。
 その事を皆に伝えると満場一致で寄って行こうとなった。

「あははは、和樹めっちゃ懐かれてんじゃん」
「う、うるせぇな! なんなんだコイツ等は!」

 ふれあいコーナーの一角にある色々な犬とふれあえるワンワンヴィレッジという所に居る。
 色々な犬種の子犬達とふれあえるという触れ込みだったのだが、何故か中居に子犬達が群がり、身動き取れなくなってしまっていた。
 それを見た及川が中居をからかうという図式になって、いつも通りの光景に仲直りは近いかもと思った。

 中居と及川の様子を見て、水樹にハメられたとはいえ、此処に来て良かったと思う。
 少しずつだけど、二人の仲が元に戻っていっている様に感じる。
 それに比べて俺は何の進展も無いな。と自己嫌悪に陥っていると

「友也さん見てください! この子凄い可愛いです!」
「あ、ああ。可愛いな」

 突然沙月に声を掛けられて動揺してしまった。

「何だかこの子友也さんに似てません?」
「そうか? どの辺が似てるんだ?」
「この優しそうな目とかめっちゃ似てますよ!」
「でもコイツ、雌だぞ?」
「じゃあ私に似てるって事で!」
「ははは、なんだそりゃ」

 おお! 自然と会話が出来ている。動物の癒し効果は凄いな。

 その後もウサギコーナーに移動してウサギを抱っこさせてもらって記念撮影をしてもらった。
 ウサギを抱く中居の姿に爆笑して、中居が不機嫌になったりしたが、思った以上に楽しめた。

 動物コーナーを抜けると丁度昼過ぎだったので近くのレストランで昼食を摂る事にした。
 レストラン自体はファミレスと変わらないが、動物コーナーから近いということもあり、至るところに動物の置物が置いてあった。
 それぞれメニューを見て皆が粗方何を頼むか決まった時、及川の悲痛な叫びが木霊した。
 
「うるせぇな、どうしたんだよ?」

 と、皆を代表して中居が聞くと

「……ない」
「は?」
「ミートパスタが無い!」

 どうやら大好きなミートパスタが無く、思わず叫んでしまったらしい。
 及川らしいな。と皆が呆れ、その後爆笑した。
 ミートパスタが無かった為、再びメニューと眺めると

「しょうがないからミートドリアでいいや」
「おま、どんだけミートソース好きなんだよ」
「良いでしょ別に!」

 及川のミートソース愛が炸裂する中、俺は文化祭準備の時を思い出した。

「そう言えば文化祭の準備の時、ミートパスタ4皿平らげてたな」
「ぶはっ!? マジかよ」
「味見で来て貰ったのに全部平らげるし、味の感想は全部美味しかった。だったもんな」
「なんだそりゃ、味見役失格だな」
「それでもうちょっと詳しく頼むって言ったら『ミートパスタは美味しいか不味いかの二択』とか言ってたな」
「くっ、くはは。実は味音痴なんじゃねぇのか?」

 俺と中居が笑っていると、バンッ! とテーブルに手を突き立ち上がった及川が俺達を睨み付けると

「ちょっと化粧室行ってくる」
「お、おう」
「あ、ああ」

 及川が席から見えなくなると、俺と中居以外の三人から説教された。
 自分が好きな物を馬鹿にされて笑われる事がどれだけ悔しいか理解しろ! 帰ってきたらちゃんと謝れ!
 俺と中居は、確かに嫌な気分にさせたな。と素直に反省した。
 何よりも沙月の凍える様な視線が一番効いたけど。

 暫くして及川が戻って来ると

「及川、さっきは悪かった。好きな物を馬鹿にされたら不愉快だよな」
「さっきは言い過ぎた。代わりといっちゃなんだが此処の代金は俺達が出すわ」

 いきなりの俺と中居の謝罪にビックリしていたが、中居の代金は出すという言葉に

「ホント? ホントに奢ってくれるの!」
「男に二言はねぇ」
「やったー!」

 そう言って及川は自分の席に戻ると、すぐに呼び出しベルを押した。
 そしてやって来た店員に

「ミートドリア二つ追加でお願いします!」

 忘れてた……及川って痩せの大食いだった。
 俺と中居は顔を見合わせ、その後財布の中身を確認した。
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