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2、ご主人様との出会い
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『天使と見まごうばかりの美しい男性』
これが私が初めてご主人様を見た時の第一印象だ。当時の彼は私より七歳年上の十七歳。青年期に差し掛かるときだというのに自信のある態度の彼は随分と大人びて見えたものだ。
その時からずっと彼には独特の雰囲気があった。カリスマ性とでもいうのだろうか、自然に人の目を惹きつけて離さない。彼はそんな魅力のある青年だった。
そうして私と目が合って彼が自然に微笑む。けれどもその時、私の背筋をぞくりと悪寒が駆け巡った。晴れやかな日に通りを横切る黒猫や、とても美しいのに毒を持つ花を見た時。……そう――これは何かよくないものを見た時の感覚。
(――彼に近づいてはいけない!)
私の小動物的勘が警鐘を鳴らす。そうして私のその類の勘は往々にしてよく当たった。全身を緊張させて彼の様子をうかがう。
「僕はリチャードだよ。よろしく、エマ。君、可愛いね」
流れるような美しい旋律の声が私の鼓膜を揺さぶる。
私、エマ・ソーントンは、その時父テムズと一緒にエマーソン伯爵家を訪問していた。私の手の中には幼少の頃から大事にしていたウサギのぬいぐるみがある。これだけは唯一借金でとられたりしなかったものだ。
凛々しいお顔のエマーソン伯爵の隣には伯爵夫人が楚々と並んで立っている。そうして彼らの一人息子のリチャードも彼らの前にいた。
私の父であるソーントン子爵は、三年前私の母を病気で亡くしてから無気力になり、怪しい人の誘いに乗って投資や投機に手を出してしまった。
借金に苦しみ最後には爵位まで手放すことになった父は、学生時代友人だったエマーソン伯爵に伯爵家の執事として働かないかと誘われたのだ。
すべてを失ったけれども心機一転やり直す気になった父。そんな大事なときに、私がここでお屋敷の一人息子の機嫌を損ねるわけにはいかない。
リチャード様の挨拶に、私は勇気を振り絞っておずおずと頭を下げた。
エマーソン伯爵と父が楽しそうに歓談している中、私は父の背後に隠れる形でリチャード様の視線から逃れる。
顔を逸らしているのに先ほどから感じるリチャード様からの視線の重圧感。どうして彼は穴が開くほどこんなに私を見ているのだろう。冷たい汗が背中を流れていく。
自慢ではないが私はごくごく平凡な女の子。
艶のない焦げ茶色の巻き髪はぐるんと跳ね上がっているし、アンバー色とは聞こえのいい瞳はほんの少し薄めの茶色だというだけ。
しかももう貴族令嬢という地位ですらない庶民だ。それと対照的に、彼は格の高い名門エマーソン伯爵家のあと継ぎで……そんな彼がわざわざ私に興味を惹かれる要素はどこにもないはず。
逃げ続けていた私の視線が偶然絡まってしまった瞬間、リチャード様はこれ以上ないというほどぞっとする笑みを浮かべた。そうして一言。
「お父様、僕はこの子が気に入りました。いまからエマを僕専用のメイドにしてください」
その時の私は、ガーンと雷が頭に落ちたのかと思ったくらいの衝撃を受けた。そうして落としかけた腕の中のぬいぐるみをひっしと握りしめる。
エマーソン伯爵様は奥様と顔を見合わせて、一瞬戸惑ったように言葉を失ったが、すぐに笑って優しく息子を言い含めようとする。
「はは、リチャードがそんなことを言い出すなんて初めてだな。よっぽどこの娘さんが気に入ったようだね。でもリチャード、エマはまだ十歳だ。だからお前の専属のメイドにするには少し早い。それにそんなにすぐにはメイドの仕事は覚えられないだろう」
「それでも僕は彼女がいいんです。僕のメイドはエマ以外考えられません。必要なことは僕が教えますから、お願いします」
伯爵様が何度諭そうとも、リチャードは頑として聞かない。そのうち二人の会話を聞いていて心苦しくなった私の父がそれを了承する。
「エマーソン伯爵、エマは年の割にしっかりとした娘です。次期当主であるリチャード様のお世話をするにはまだ未熟者だと思いますが、ほんの少しの手伝いならばできるでしょう」
「良かった! エマ、じゃあ君は今日から僕の専属メイドだよ。よろしくね」
落ち着いた耳に優しい声色。天使の満面の笑顔とともに差し出される絹のように細やかな手。見たこともないほど美しい天使が目の前で笑っているが、私にとってそれは恐怖でしかなかった。
私はあまりの怖さに手を出せずに、震えながらもなんとか代わりにお辞儀をした。
「よ、よろしくお願いいたします。リチャード様」
「ご主人様でしょ、エマ。さぁ、こっちに来て。僕がエマに屋敷の中を案内してあげるよ」
「えっ! あの……リチャ……ご主人様っ!」
それから彼は私の腕を掴んで部屋から半ば強引に連れ出した。言葉通りに屋敷を案内してくれるようだ。その気さくな様子に、あの時の嫌な予感は気のせいだったのかと思いなおす。
エマーソン家の屋敷はソーントン家のそれとは全く格が違った。豪華な内装に家具、私みたいな子供でもわかるほど値の張りそうな絵画。広大な庭園は隅々まで手入れされていてとても美しかった。
屋敷のありとあらゆる場所を案内してもらって、最後に誰もいない部屋に通された。彼は大きなガラス窓を背に私の顔を覗き込む。逆光で彼の表情ははっきりとは見えない。
「エマ、さっきどうして僕を見て顔色を変えたの? 僕からの握手を拒否されたのは君が初めてだったんだけど」
言い当てられてドキリと心臓が跳ねた。きっと彼は私が彼を恐ろしいと感じたことを知っているのだ。ということはいままで誰も彼の違和感に気が付かなかったのだろうか。
緊張を押し隠しながら視線を外して答えあぐねていると、リチャード様が手を伸ばして私の手を強引にとった。
まるで先ほどの握手をやり直すように……。そうしてすぐに手の平に触れる違和感に気が付く。どうやら彼手の中にはあらかじめ熟しきった苺が握られていたようだ。
先ほどの庭園でとってきたのだろう。握手した手の間から、赤い色をした果肉がどろりと滴り落ちていく。どういうことなのかとびくびくしながらも彼に視線を戻すと、ご主人様はそのきれいな顔に意地悪そうな笑みを浮かべていた。
「い……いやっ!」
反射的にその手を跳ねのけて後ずさる。でも手を払うときにかなり大きな音が出ていた。無礼なことをしてしまったと、心配になり顔を上げると、思いがけずご主人様は私に向かって手を出したまま更に楽しそうに笑っていた。
戦慄が全身に走って、足のつま先まで凍り付いたように冷たくなる。同時に瞼が熱くなって涙が頬を伝ってきた。
怯えている私を見て、ご主人様はさらに微笑みを深くする。そうしてさっきまでとは打って変わった口調で話し始めた。
「エマは本当に可愛いな。お前が俺のものだなんて、本当にぞくぞくする」
僕から俺に……そして丁寧な言葉遣いは荒くなり声のトーンまで低くなる。その急激な変化に恐怖が際限なくあふれ出してきて止まらない。
「あ、あの……ご主人……様……」
「よろしく、エマ。お前が泣くともっと愛らしくなる。気にいった。でもそのぬいぐるみはここで捨てろ」
「で、でも。ミミーは私がずっと持っている大事なぬいぐるみで……お母様との思い出だってあるんです」
「そうか、ならなおさら捨てろ。いまからお前は俺のものだ。俺が与えたものだけを持っていればいい。それ以外のものは下着一つ身に着けるんじゃない。――心配するな、俺が最高級の物を見繕ってやろう。それとも父親と一緒に路頭に迷う生活がいいのか?」
(そんなっ! せっかくお父様が新しい仕事を見つけてやり直そうとしているのに、私がその邪魔をするわけにいきません!)
私は泣きながら震える手でミミーを渡す。すると彼は手に取ったぬいぐるみを私の目の前で地面に落として、これ以上にない笑みを浮かべた。
「いい子だ、エマ。今日から俺と一生ずっと一緒だ。よろしく頼む」
その瞬間、全身が凍り付いた。これが私とご主人様との出会い。――最悪だ。
これが私が初めてご主人様を見た時の第一印象だ。当時の彼は私より七歳年上の十七歳。青年期に差し掛かるときだというのに自信のある態度の彼は随分と大人びて見えたものだ。
その時からずっと彼には独特の雰囲気があった。カリスマ性とでもいうのだろうか、自然に人の目を惹きつけて離さない。彼はそんな魅力のある青年だった。
そうして私と目が合って彼が自然に微笑む。けれどもその時、私の背筋をぞくりと悪寒が駆け巡った。晴れやかな日に通りを横切る黒猫や、とても美しいのに毒を持つ花を見た時。……そう――これは何かよくないものを見た時の感覚。
(――彼に近づいてはいけない!)
私の小動物的勘が警鐘を鳴らす。そうして私のその類の勘は往々にしてよく当たった。全身を緊張させて彼の様子をうかがう。
「僕はリチャードだよ。よろしく、エマ。君、可愛いね」
流れるような美しい旋律の声が私の鼓膜を揺さぶる。
私、エマ・ソーントンは、その時父テムズと一緒にエマーソン伯爵家を訪問していた。私の手の中には幼少の頃から大事にしていたウサギのぬいぐるみがある。これだけは唯一借金でとられたりしなかったものだ。
凛々しいお顔のエマーソン伯爵の隣には伯爵夫人が楚々と並んで立っている。そうして彼らの一人息子のリチャードも彼らの前にいた。
私の父であるソーントン子爵は、三年前私の母を病気で亡くしてから無気力になり、怪しい人の誘いに乗って投資や投機に手を出してしまった。
借金に苦しみ最後には爵位まで手放すことになった父は、学生時代友人だったエマーソン伯爵に伯爵家の執事として働かないかと誘われたのだ。
すべてを失ったけれども心機一転やり直す気になった父。そんな大事なときに、私がここでお屋敷の一人息子の機嫌を損ねるわけにはいかない。
リチャード様の挨拶に、私は勇気を振り絞っておずおずと頭を下げた。
エマーソン伯爵と父が楽しそうに歓談している中、私は父の背後に隠れる形でリチャード様の視線から逃れる。
顔を逸らしているのに先ほどから感じるリチャード様からの視線の重圧感。どうして彼は穴が開くほどこんなに私を見ているのだろう。冷たい汗が背中を流れていく。
自慢ではないが私はごくごく平凡な女の子。
艶のない焦げ茶色の巻き髪はぐるんと跳ね上がっているし、アンバー色とは聞こえのいい瞳はほんの少し薄めの茶色だというだけ。
しかももう貴族令嬢という地位ですらない庶民だ。それと対照的に、彼は格の高い名門エマーソン伯爵家のあと継ぎで……そんな彼がわざわざ私に興味を惹かれる要素はどこにもないはず。
逃げ続けていた私の視線が偶然絡まってしまった瞬間、リチャード様はこれ以上ないというほどぞっとする笑みを浮かべた。そうして一言。
「お父様、僕はこの子が気に入りました。いまからエマを僕専用のメイドにしてください」
その時の私は、ガーンと雷が頭に落ちたのかと思ったくらいの衝撃を受けた。そうして落としかけた腕の中のぬいぐるみをひっしと握りしめる。
エマーソン伯爵様は奥様と顔を見合わせて、一瞬戸惑ったように言葉を失ったが、すぐに笑って優しく息子を言い含めようとする。
「はは、リチャードがそんなことを言い出すなんて初めてだな。よっぽどこの娘さんが気に入ったようだね。でもリチャード、エマはまだ十歳だ。だからお前の専属のメイドにするには少し早い。それにそんなにすぐにはメイドの仕事は覚えられないだろう」
「それでも僕は彼女がいいんです。僕のメイドはエマ以外考えられません。必要なことは僕が教えますから、お願いします」
伯爵様が何度諭そうとも、リチャードは頑として聞かない。そのうち二人の会話を聞いていて心苦しくなった私の父がそれを了承する。
「エマーソン伯爵、エマは年の割にしっかりとした娘です。次期当主であるリチャード様のお世話をするにはまだ未熟者だと思いますが、ほんの少しの手伝いならばできるでしょう」
「良かった! エマ、じゃあ君は今日から僕の専属メイドだよ。よろしくね」
落ち着いた耳に優しい声色。天使の満面の笑顔とともに差し出される絹のように細やかな手。見たこともないほど美しい天使が目の前で笑っているが、私にとってそれは恐怖でしかなかった。
私はあまりの怖さに手を出せずに、震えながらもなんとか代わりにお辞儀をした。
「よ、よろしくお願いいたします。リチャード様」
「ご主人様でしょ、エマ。さぁ、こっちに来て。僕がエマに屋敷の中を案内してあげるよ」
「えっ! あの……リチャ……ご主人様っ!」
それから彼は私の腕を掴んで部屋から半ば強引に連れ出した。言葉通りに屋敷を案内してくれるようだ。その気さくな様子に、あの時の嫌な予感は気のせいだったのかと思いなおす。
エマーソン家の屋敷はソーントン家のそれとは全く格が違った。豪華な内装に家具、私みたいな子供でもわかるほど値の張りそうな絵画。広大な庭園は隅々まで手入れされていてとても美しかった。
屋敷のありとあらゆる場所を案内してもらって、最後に誰もいない部屋に通された。彼は大きなガラス窓を背に私の顔を覗き込む。逆光で彼の表情ははっきりとは見えない。
「エマ、さっきどうして僕を見て顔色を変えたの? 僕からの握手を拒否されたのは君が初めてだったんだけど」
言い当てられてドキリと心臓が跳ねた。きっと彼は私が彼を恐ろしいと感じたことを知っているのだ。ということはいままで誰も彼の違和感に気が付かなかったのだろうか。
緊張を押し隠しながら視線を外して答えあぐねていると、リチャード様が手を伸ばして私の手を強引にとった。
まるで先ほどの握手をやり直すように……。そうしてすぐに手の平に触れる違和感に気が付く。どうやら彼手の中にはあらかじめ熟しきった苺が握られていたようだ。
先ほどの庭園でとってきたのだろう。握手した手の間から、赤い色をした果肉がどろりと滴り落ちていく。どういうことなのかとびくびくしながらも彼に視線を戻すと、ご主人様はそのきれいな顔に意地悪そうな笑みを浮かべていた。
「い……いやっ!」
反射的にその手を跳ねのけて後ずさる。でも手を払うときにかなり大きな音が出ていた。無礼なことをしてしまったと、心配になり顔を上げると、思いがけずご主人様は私に向かって手を出したまま更に楽しそうに笑っていた。
戦慄が全身に走って、足のつま先まで凍り付いたように冷たくなる。同時に瞼が熱くなって涙が頬を伝ってきた。
怯えている私を見て、ご主人様はさらに微笑みを深くする。そうしてさっきまでとは打って変わった口調で話し始めた。
「エマは本当に可愛いな。お前が俺のものだなんて、本当にぞくぞくする」
僕から俺に……そして丁寧な言葉遣いは荒くなり声のトーンまで低くなる。その急激な変化に恐怖が際限なくあふれ出してきて止まらない。
「あ、あの……ご主人……様……」
「よろしく、エマ。お前が泣くともっと愛らしくなる。気にいった。でもそのぬいぐるみはここで捨てろ」
「で、でも。ミミーは私がずっと持っている大事なぬいぐるみで……お母様との思い出だってあるんです」
「そうか、ならなおさら捨てろ。いまからお前は俺のものだ。俺が与えたものだけを持っていればいい。それ以外のものは下着一つ身に着けるんじゃない。――心配するな、俺が最高級の物を見繕ってやろう。それとも父親と一緒に路頭に迷う生活がいいのか?」
(そんなっ! せっかくお父様が新しい仕事を見つけてやり直そうとしているのに、私がその邪魔をするわけにいきません!)
私は泣きながら震える手でミミーを渡す。すると彼は手に取ったぬいぐるみを私の目の前で地面に落として、これ以上にない笑みを浮かべた。
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