勘違い聖女とドS鬼畜王の攻防 

南 玲子

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レオールの災難

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ガクガク。ブルブル。

ど・どうしよう。どうして異世界に健司がいるんだろう。一ヶ月前っていえば・・・あっ!!

私は思い当たることがあるので、なぜ健司がこの世界にいるのかを知っているだろうものの方に振り向いた。

レ・オ・―・ルゥーーーー!!!

私が日本黒犬の顔を見ると、レオールはさっと視線を左上に泳がせた。やっぱりこいつだ!!確信した私はレオールを問い詰めた。私がもう二度と耳の後ろかきかき、顎の下なでなでしてやらないぞと脅すと直ぐにはいた。

「・・・いつだったか、ユリカの友達のミワコのところに行く前にユリカの住んでいたアパート行ったらそこにケンジがいたのだ。わしは気配も姿も消していたというのに、あいつは直ぐにわしに気がついて、ユリカの居場所を無理やり聞いたのだ」

「無理やりって、あなた地の守護精霊でなんでもできるんじゃないの?」

「言わないと、このアパートを燃やしてわしが取りに来た物を焼いてしまうといわれたのだ。ユリカに頼まれたことをやらないと、また役立たずだと思われるとおもった」

といってその可愛い頭を垂れた。黒豆芝のそんな可愛いしぐさに思わずきゅんとしたが、心を鬼にして聞いた。

「それでどうやって健司がこの異世界にこれたのよ?」

「それはわしがその時に聖女召還を行っている国を教えてやって、無理やり召還される聖女とケンジを入れ替えたからだ。わしくらいの精霊になると、このくらいのことは簡単にできる」

とドヤ顔でのたまわったので、指でひげを引っ張ってやった。

「なんでそんなことまでした訳?」

日本黒犬がしっぽを垂れて鳴きそうな声で言う。

「だってあの男わしの目の前でなにやら火のでる金属の塊を近づけて、わしのひげを3本燃やしながら、脅したんだぞ。あんな凶悪な人間の顔をわしは見たことがない」

ライターだな。このドS・鬼畜・悪魔・腹黒王にも勝ると劣らない、あの魔王、蓮条 健司が望んでいることを、この鬼畜に免疫のないレオールが逆らえるはずがないと思った。

「ケンジ・レンジョウ って誰なの?ユリカの知り合いらしいね」

はっと気がつく。そういえば未だ作戦会議室で将軍や参謀なんかが大勢いる前で、健司の事を大きな声で話していたわけで・・・っていうか一番聞かれてはいけない人に聞かれてしまったのかも知れない

「その話の様子だと、レオールがお前のいた世界からその男を連れてきたみたいだね」

はあぁ。やっぱりお見通しでしたか・・・。レオールの横で同じように頭を垂れる。

「お前とどういう関係なんだ?」

どうしよう。ここははっきり元彼だといっておくべきなのか。どっちを選択すれば私のセカンドバージンは守られるのか?とにかく、そこはぼやかしてふわふわした感じで説明しよう。

私は健司との関係は語らずに、どうやって健司がこの異世界に来たのかを最初から説明した。

「健司はお前の恋人なのか?」

ひょえー。妙に確信のこもった声でおっしゃる。どうしてわかったんだろう。私が疑問に満ちた顔で見ていると、デューク王は直ぐに説明してくれた。

「お前の住んでいたアパートにレオールが行った時にいたという事は、お前があの世界から突然消えて心配で、そのアパートにずっといたという事だ。私は偶然なんて信じないからね。そしてあいつはお前の居場所を知ると、躊躇もせずに自分のいた世界を捨ててこの世界に来た。もう帰れないというのにだ。これで友人だと思うほうがおかしい。おそらくかなりお前を気に入っている。離れたら生きていけないほどにね」

そ・そうなのだろうか。そういわれると少し照れくさい。でもなんだかおかしい。

「健司は確かに恋人だったけど、それは一年以上も前のことで別れたきり会ってません。付き合っているときは確かに私に執着していたとは思うけど、何もかも捨てて異世界に来るなんて・・・」

そうだ馬鹿げている。健司は今や世界を代表する企業のCEOだ。両親亡き後、死に物狂いで大きくした会社を捨ててまで、どうして私なんかを追いかけて異世界にまでやってくるのだ。しかも一年も前に別れた元彼女の為に・・・・。

「お前はまだその男が好きなのか。だから私とはやりたくないのか?」

へっ?デューク王そんな話はTPOをわきまえようよ!!今ここでする話じゃないから、ほらウレノール将軍が目線をおもいきりあさってのほうに向けて、あごひげを弄んでいるよ!

そんな私の心の叫びもお構いなしに、デューク王が私と距離をつめてくる。眉目秀麗で端正な顔が私の顔に近づいてくる。あっという間に私はデューク王の胸の中に抱かれていた。目の前が白色の超高級品の布地で包まれる。・・・っていうかこの服、いっぱい略綬が付いていて頬に当たってて痛いんだけど・・もしかしてわざとやってるのか?そんなことを思ってみたけどなんだかデューク王の様子がおかしい。

「デューク王?」

なんとか声を振り絞るも、何も答えずにぎゅっと腕を締め付けてくる。側頭部にあたるデューク王の顎の部分が少し震えているのがわかった。私は訳のわからないまま、腕を彼の背に回してやさしく抱きしめた。なんだか泣いているのかと思ったからだ。

しばらくすると、デューク王がそのままの状態で大きく震えだした。しかもその口からはなんともいえない声が漏れ出していた。

「・・・・く・・くく・・く・・」

最初わたしは彼が泣き出したと思っていたが直ぐに真実がわかった。デューク王は・・笑っていたのだ!だんだん笑い声が大きくなっていく。

「くく・・・ふはははは・・・!!!ははは!」

「面白い!!実に面白い!!異世界にきて一ヶ月足らずで5大エレメントの守護精霊を従え、あの大国ブレダ王国を手中に収めるほどの男がいるなんてね。きっと私といい勝負ができそうだ。しかもそいつもユリカに執着しているらしい」

やばい。私。終わったかも。よく考えたらこの異世界に2大ドSが集結してしまったという事だ。しかも二人とも私をおもちゃ認定している。私この先どうなるの?!?!?

そう思ってレオールの方を見ると、すぐさま目を逸らせた。レオールは健司に会った事があるから、おそらく分かっているのだろう。私がこれからどんな目にあうだろうかということは・・・・。

「レオール!当分、寝るときは私の寝室以外でねてね。しかも耳の後ろかきかき、顎の下なでなで禁止だからね!!」

日本黒犬はその小さな肩をがっくりと落とした。

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