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ドS王 健司 登場
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事件は突然やってくる。
「久しぶりだな、百合香。元気そうで何よりだ」
・・・と極上の笑みを浮かべて一角獣にまたがりながら、その人は言った。
私は結婚式を後5日に控え侍女業務を続けたい私と、それを反対するキンベル侍女長とのバトルを終え、なんとか王城の隅の部屋の掃除を勝ち取り、いそいそと侍女服に着替え、箒を持って掃除をしている最中だった。
隅の部屋といえど、かなり広い。私の東京のアパートより広い。まず埃をはたいてから、床を掃く。拭き掃除はその後だ。超・侍女見習いだけあって、私はこの2ヶ月でかなり侍女職を極めた。部屋の掃きだしの扉を閉める為に、王城の庭に続くテラスに向かったときに事件は起こった。
突然、空から馬が落ちてきたと思ったら、背中に見覚えのある人が乗っていて先ほどの台詞に繋がるという訳だ。私はというと・・・固まっていた。南極の永久凍土より固まっていた。頭の中も真っ白だった。
どれほどの時間がたったのか分からないが、気がつくと目の前にまで馬を降りた健司の顔が迫ってきていた。とたんにわれに返り、怯えている捨て猫よりも素速い動作で飛びしろぐ。
「けけけけけ・健司!!どうしてここに??!!」
一年前最後に見たのと同じさわやかな笑顔をして言う。
「百合香が居なくなったからだよ。あの日歩道橋から落ちて、そのまま消えてしまったのを見たときは肝が冷えた。ああ、あの時の女のことは心配しなくていい。3等親までの親族全て失職させて、二度と日本の会社では働けないようにしたからね」
やややや・やっぱりドS健在ですね。っていうか・・・・
「見てたの?!あの日!!」
「気がついてなかったの?別れてからも毎日、百合香に会いに行っていたのに・・・」
私は首がもげるくらいに首を横に振った。
「百合香のアパートは私が一棟全部買い上げたからね。百合香が隣人だと思っていた人は全員僕だ。それにブルーローズっていうキャバクラのオーナーは私だよ。百合香に虫がつかないように黒服には十分言い聞かせていたから」
な・・・なんですと!じゃなにか。私が毎晩ブルーローズでお茶を引いていたのも( 指名が入らないこと )こいつのせいだったというのか!
「まま・・まさか私の就職面接が154戦全敗なのも・・・もしかして・・」
「そうに決まっているじゃないか。前職の会社が倒産したのも僕の力だよ。だって百合香が悪いんだ。僕から逃げようとするから・・・。百合香がいないと僕の人生は全然面白くない」
やややや、私そんなに面白くないから・・・。冗談とか苦手だし、漫才とかもできないよ。
「百合香は本当に最高の女性だよ。僕をこの世界に導いてくれた。この世界は元いた世界よりも魔女や精霊がいて数段面白い。本当にわくわくするよ」
ドSストーカーなんて笑えないよ!私は箒を持った手を震わせながら健司の顔を見つめていた。その時、背後からいつもの声が聞こえてきた。ああ、この声をこんなに待ち詫びたのは今回が初めてだ。おそらく生きている限りもう2度とないだろうが助かった。
「お前がケンジ・レンジョウか?」
私は静かに振り返って、そこに輝くような金色のシルクのような髪と海よりも蒼い青をたたえたその眼を持った人物を確認すると、安堵のため息をこぼしてから、その名を呼んだ。
「ドSで鬼畜で悪魔の腹黒デューク王陛下!!」
おそらくかなりできる有能な侍従さん、よくやった。あなたがデューク王を呼んできてくれたんでしょう?侍従の黒い服を着たその人は、デューク王の後ろで静かに立っていた。
「久しぶりだな、百合香。元気そうで何よりだ」
・・・と極上の笑みを浮かべて一角獣にまたがりながら、その人は言った。
私は結婚式を後5日に控え侍女業務を続けたい私と、それを反対するキンベル侍女長とのバトルを終え、なんとか王城の隅の部屋の掃除を勝ち取り、いそいそと侍女服に着替え、箒を持って掃除をしている最中だった。
隅の部屋といえど、かなり広い。私の東京のアパートより広い。まず埃をはたいてから、床を掃く。拭き掃除はその後だ。超・侍女見習いだけあって、私はこの2ヶ月でかなり侍女職を極めた。部屋の掃きだしの扉を閉める為に、王城の庭に続くテラスに向かったときに事件は起こった。
突然、空から馬が落ちてきたと思ったら、背中に見覚えのある人が乗っていて先ほどの台詞に繋がるという訳だ。私はというと・・・固まっていた。南極の永久凍土より固まっていた。頭の中も真っ白だった。
どれほどの時間がたったのか分からないが、気がつくと目の前にまで馬を降りた健司の顔が迫ってきていた。とたんにわれに返り、怯えている捨て猫よりも素速い動作で飛びしろぐ。
「けけけけけ・健司!!どうしてここに??!!」
一年前最後に見たのと同じさわやかな笑顔をして言う。
「百合香が居なくなったからだよ。あの日歩道橋から落ちて、そのまま消えてしまったのを見たときは肝が冷えた。ああ、あの時の女のことは心配しなくていい。3等親までの親族全て失職させて、二度と日本の会社では働けないようにしたからね」
やややや・やっぱりドS健在ですね。っていうか・・・・
「見てたの?!あの日!!」
「気がついてなかったの?別れてからも毎日、百合香に会いに行っていたのに・・・」
私は首がもげるくらいに首を横に振った。
「百合香のアパートは私が一棟全部買い上げたからね。百合香が隣人だと思っていた人は全員僕だ。それにブルーローズっていうキャバクラのオーナーは私だよ。百合香に虫がつかないように黒服には十分言い聞かせていたから」
な・・・なんですと!じゃなにか。私が毎晩ブルーローズでお茶を引いていたのも( 指名が入らないこと )こいつのせいだったというのか!
「まま・・まさか私の就職面接が154戦全敗なのも・・・もしかして・・」
「そうに決まっているじゃないか。前職の会社が倒産したのも僕の力だよ。だって百合香が悪いんだ。僕から逃げようとするから・・・。百合香がいないと僕の人生は全然面白くない」
やややや、私そんなに面白くないから・・・。冗談とか苦手だし、漫才とかもできないよ。
「百合香は本当に最高の女性だよ。僕をこの世界に導いてくれた。この世界は元いた世界よりも魔女や精霊がいて数段面白い。本当にわくわくするよ」
ドSストーカーなんて笑えないよ!私は箒を持った手を震わせながら健司の顔を見つめていた。その時、背後からいつもの声が聞こえてきた。ああ、この声をこんなに待ち詫びたのは今回が初めてだ。おそらく生きている限りもう2度とないだろうが助かった。
「お前がケンジ・レンジョウか?」
私は静かに振り返って、そこに輝くような金色のシルクのような髪と海よりも蒼い青をたたえたその眼を持った人物を確認すると、安堵のため息をこぼしてから、その名を呼んだ。
「ドSで鬼畜で悪魔の腹黒デューク王陛下!!」
おそらくかなりできる有能な侍従さん、よくやった。あなたがデューク王を呼んできてくれたんでしょう?侍従の黒い服を着たその人は、デューク王の後ろで静かに立っていた。
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