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超大型魔獣との戦い
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そうしてその夜。
そこは宿屋の一室。当然のように愛のベッドで寝ようとしているダグラスの隣に、彼女は自分から体を横たえた。いつもとは違う愛の様子に、ダグラスが目を丸くする。
「――もしかして俺に抱かれてもいいって思ったのか? いいぞ、いくらでも満足するだけ抱いてやる」
(本当にダグラスったら、こんな時でもいつもと同じなんだから!)
伸ばされたダグラスの手を無言でパチンと叩いてから、愛は彼に背を向けてシーツを巻き込んだ。ダグラスが明日戻って来なかったらと想像するだけで胸が絞られるようになる。
(もう……こんなに胸が痛くなるなんて……こんなの疑いようがない。私はダグラスのことが好きなんだ)
そうして愛は聞こえるか聞こえないかの小さい声でつぶやいた。
「……明日、絶対に無事で帰ってきて。じゃないと私、明日からこんなわけのわからない場所で路頭に迷うことになる。ダグラスは私を帝国に連れて行くって約束したんだから、でなきゃ詐欺罪で告訴するわよ」
ダグラスとは出会ったときから喧嘩腰でしか会話をしなかった。こうして素直になるのは少し気恥ずかしい。心臓がドキドキしているのが分かる。でもどうしても彼に無事で帰ってきてほしかった。
なのにどれほど時間が経っても、背後にいるはずのダグラスからは何の反応もない。
(どうして何も言わないの? あぁ、やっぱりこんなこと言うんじゃなかった!)
愛の後悔が頂点に達したとき、いきなり首筋に指をあてられてビクッと体が動く。ダグラスは愛の首筋を指で撫でながら、しみじみと語り始めた。
「……初めてお前を見た時は、面白い少年が粋がってるくらいにしか思わなかったんだがなぁ。俺に血を流させてようやく興味が出た程度のものだ」
「悪かったわね、胸がなくて少年みたいで!」
「まあ聞け、アイ……それが脱がせてみたら女で、しかも山猫の魔獣並みに超絶気が強い。俺をベッドに組み敷いたのはお前が初めてだ。俺に抱かれるのは拒絶するくせに、夜中に何度も起きては俺が近くにいるか確認してる」
(き、気づいてたの?! あんなに寝起きが悪い癖に! 反則っ!)
「そ、それはダグラスがいないと急に魔獣が出てきたら怖いから……」
ダグラスの指はゆっくりと首から背中の骨を辿って下降していく。いつもなら強引にシャツの中に手を入れて胸を揉んでいるところなのに。
「俺の世話係なのに、まるっきり家事が駄目だし。だがなんにでも一生懸命なところがまたいい。どう見ても失敗してるのにドヤ顔で持ってこられたら受け取らんわけにいかん。たとえそれが激マズの茶だとしてもな」
(や、やっぱり失敗していたんだ。あのお茶!)
「ま、まずかったんだったら飲んでくれなくても良かったのに……」
彼の指が愛の背中を這いまわる。いつものようにがっつりと触れてこないからこそ、もどかしさが倍増する。
「その上、こんな風にいじらしく心配されたら落ちない男はいないだろう。お前と会ってからというもの、気が付いたらアイのことばかり考えている。お前は本当に困ったやつだ。騎士団長の俺をここまで惚れさせた女はアイだけだぞ」
「そ、そんな言葉は聞き飽きたわ……あなた毎日言ってるじゃないの」
あまりの恥ずかしさに、愛はシーツを更に巻き込んで毛虫のように丸くなった。全身が熱くなっていくのを感じる。
(どうしてこの人はいつも私が欲しい言葉をくれるの……?)
「そうか? でも俺は言い飽きてないからな。いくらでも言ってやる。俺はアイに惚れてる。だから今夜は抱かせろ。好きな女の隣で寝るだけというのももう限界だ。これでも俺は正常な成人男子だからな」
そこで愛は振り返った。ダグラスは隣で肘をついて横になっている。いつも余裕がある彼の表情に欲情が混じっている。半分冗談で半分本気なのだろう。愛の中でダグラスへの愛しさが込み上げてきて止められない。
(あぁ、私。ダグラスが好き……好きなんだわ)
愛はダグラスの顎に手を当てると顔を近づける。そうして戸惑いながらもそっとキスをした。
はじめはついばむようなキスを繰り返し、次第にそれは深く……深くなっていく。いつの間にか舌が絡み合い、唾液が淫靡な音を奏でていた。
二人の間に言葉はなかった。ただ互いを求める甘い吐息だけがシーツの上を交差する。
「んっ……は、あぁっ」
短い悦楽の声が愛の唇から漏れると、ダグラスはもったいないといわんばかりにそれを自身の唇でふさいだ。乳房をもてあそんでいた彼の指が降下して、愛の秘所へと移動する。すでに濡れそぼっていたそこは、ダグラスの指も素直に受け入れた。
(あ、すご……こんなに気持ちいいの初めて……)
彼の指はその豪快な見かけに反して、繊細に愛の股間をうごめく。初めは表面に触れるように愛のいい場所を探す。そうして彼女の反応を見ながらあっという間に愛の気持ちいい場所を探り当てた。
愛の小さな快楽の芽は、ダグラスの指先に翻弄され熱を帯び、徐々に膨らんでいく。それと同時に愛はかつてないほどの快感を覚えはじめる。
腰の奥がじーんと痺れてきて、ほんの少しの刺激でも敏感に反応してしまう。そうして愛はあっという間に指だけでイってしまった。
「あっ! あぁぁぁぁっん!」
背をのけぞらせ唇を噛みしめる。両足に力が入らなくなって震えが止まらなくなった。
「いい反応だ、アイ。あぁ、そんな顔をするな。俺まで昂って理性がぶっ飛びそうだ」
(そんなこと言われても、指だけでこんなに気持ちいいなんて……知らなかった……ぁあ、ん!)
堪えきれないというダグラスの声に、愛はゆるやかに羞恥心を失っていく。目の前の男が欲しい。征服欲にも似た激しい衝動が心を覆いつくした。
「……も、お願、い……もう挿れてちょうだい……もぅ、無理ぃ……」
何度目かの絶頂の後、愛はぐちゃぐちゃの顔でダグラスに懇願する。するとダグラスは欲情を孕んだ表情で愛を見つめ、忌々しそうに舌打ちをした。
「ちっ! 本当にお前はどれだけ俺を弄ぶんだ。こんな時だけ可愛く誘うなんて反則すぎるぞ、アイ!」
愛は返事の代わりに切ない目でダグラスを見上げた。目には涙が溜まっているようで彼の姿がぼんやりとしか見えない。どうしようもない気持ちになって、愛は自分の上に乗っているダグラスに向かって両手を広げて腕を伸ばした。
「……んっ。ダグラスぅ……」
「あぁっ! 畜生っ!」
ダグラスは自分の頭を乱暴に何度か掻くと、今までにないほどの熱量を孕んだ目をした。いままでの余裕のある彼とは全く違う。燃え盛る情愛の炎で焼き尽くされそう。
(あぁ、このまま食べられてしまうのかな……)
「手加減はしてやれそうにないが後で怒らないでくれよ……」
言葉を言い終わるか終わらないかのうちにダグラスは腰を押し込んだ。何度もイかされたため愛液でぐっちょりと濡れそぼっていたはずなのに……鋭い痛みが下半身に走る。
「んっ……あぁぁぁっ……!」
(……っ! お、大っきい!)
目の前に星が飛んでチカチカするような感覚の後、ダグラスの剛直を体内から感じる。幸福の感情が花が開くように込み上げてきて、全身の細胞が強引に目を覚まされられたよう。
「ダグラス……ダグラスぅ……」
愛の請うような声にダグラスは何か言おうと口を開いたが、そのまま閉じた。そうして愛の腰を両手で持つと、激しく腰を打ち付ける。ベッドの足が折れそうなほどに軋んで音を立てた。
何度も大きく体を揺さぶられて、愛は蜂蜜よりも甘い声を奏でる。そうして二人は欲情を昂らせたまま互いの体を貪った。もうどっちが天井なのか、誰が上に乗っているのかさえ分からない。互いに繋がったまま、野生の獣のように本能のまま交わる。
愛が何度イかされて、ダグラスが何度イったのかわからない。けれどもダグラスは決して彼女の中から出ようとはしなかった。まるでそれが惚れた証だとでもいうかのように。
そうして気が付くと、ベッドの中。愛はダグラスの腕の中で横になっていた。彼はぐっすりと眠っているようだ。今更恥ずかしさが込み上げてきて、顔が熱くなる。
彼を起こさないようベッドから抜け出そうとして、いきなり腕を掴まれた。
「アイ、どこに行くんだ。まさか逃げる気じゃないだろうな」
「違うわ、体を拭こうと思っただけ。あの……いろいろと汚れちゃってるでしょ?」
最後の方は照れくさくて視線をそらしてしまう。体の奥底に放たれたダグラスの体液を感じてしまうから。するとダグラスは機嫌を悪くしたようで、力づくで愛をベッドの中に引きずり込んだ。
「拭くな! そのままでいろ」
何だか機嫌が悪そうだ。怒らせてしまったのかと考えていると、ダグラスが言いにくそうに口を開いた。
「その、お前。初めてじゃないよ……な」
(あぁ、そんなこと。やっぱりわかるものなのね)
「大学生の時に付き合ってた人と……一人きりよ。それきり何年も男性とお付き合いしてないから。二十六歳にしては経験は少ない方だと思う」
悪いことをしたわけでもないので、愛は正直に答えた。するとダグラスが驚いてベッドから上半身を起こす。
「二十六! じゃあ俺と二歳しか違わないじゃないか! 俺はてっきり十七かそこらかと……だから手を出すのを渋ってたんだが。くそっ! なら強引にでも抱いておけばよかった」
ダグラスは充分すぎるほど強引だったと愛は心の中で思う。しかも愛のことを十七歳だと思っていて手を出したのなら、淫行条例にも引っかかるではないか。
「二年以下の懲役に百万円以下の罰金……」
試験のために覚えた数字が思い起こされ、ぼそりとつぶやいたがダグラスは聞いてもいないようだ。
「だが面白くないな。アイの初めてを奪った男がいるのは。畜生! お前のお前のゆるんだ顔を見た男がどこかにいると思うだけで殺してやりたくなる」
(わ、私。そんなに変な顔してたの?!)
「あなただって初めてじゃないでしょう? それに誰でも初めてはあるものよ。気にするなら他の女にすればいいわ。さぁ、もう寝るわよ。明日は頑張ってもらわないと私の未来がかかってるんだから」
無理やり話を終わらせて一緒にベッドに入る。その晩、彼は愛を抱き枕にして熟睡したらしいが、愛はよく眠れなかった。体にダグラスの余韻があったせいでもあるが、もちろん明日の超大型魔獣のことが気にかかる。
(お願い、絶対に生きて帰ってきてね。ダグラス)
愛は心から神に祈った。
そこは宿屋の一室。当然のように愛のベッドで寝ようとしているダグラスの隣に、彼女は自分から体を横たえた。いつもとは違う愛の様子に、ダグラスが目を丸くする。
「――もしかして俺に抱かれてもいいって思ったのか? いいぞ、いくらでも満足するだけ抱いてやる」
(本当にダグラスったら、こんな時でもいつもと同じなんだから!)
伸ばされたダグラスの手を無言でパチンと叩いてから、愛は彼に背を向けてシーツを巻き込んだ。ダグラスが明日戻って来なかったらと想像するだけで胸が絞られるようになる。
(もう……こんなに胸が痛くなるなんて……こんなの疑いようがない。私はダグラスのことが好きなんだ)
そうして愛は聞こえるか聞こえないかの小さい声でつぶやいた。
「……明日、絶対に無事で帰ってきて。じゃないと私、明日からこんなわけのわからない場所で路頭に迷うことになる。ダグラスは私を帝国に連れて行くって約束したんだから、でなきゃ詐欺罪で告訴するわよ」
ダグラスとは出会ったときから喧嘩腰でしか会話をしなかった。こうして素直になるのは少し気恥ずかしい。心臓がドキドキしているのが分かる。でもどうしても彼に無事で帰ってきてほしかった。
なのにどれほど時間が経っても、背後にいるはずのダグラスからは何の反応もない。
(どうして何も言わないの? あぁ、やっぱりこんなこと言うんじゃなかった!)
愛の後悔が頂点に達したとき、いきなり首筋に指をあてられてビクッと体が動く。ダグラスは愛の首筋を指で撫でながら、しみじみと語り始めた。
「……初めてお前を見た時は、面白い少年が粋がってるくらいにしか思わなかったんだがなぁ。俺に血を流させてようやく興味が出た程度のものだ」
「悪かったわね、胸がなくて少年みたいで!」
「まあ聞け、アイ……それが脱がせてみたら女で、しかも山猫の魔獣並みに超絶気が強い。俺をベッドに組み敷いたのはお前が初めてだ。俺に抱かれるのは拒絶するくせに、夜中に何度も起きては俺が近くにいるか確認してる」
(き、気づいてたの?! あんなに寝起きが悪い癖に! 反則っ!)
「そ、それはダグラスがいないと急に魔獣が出てきたら怖いから……」
ダグラスの指はゆっくりと首から背中の骨を辿って下降していく。いつもなら強引にシャツの中に手を入れて胸を揉んでいるところなのに。
「俺の世話係なのに、まるっきり家事が駄目だし。だがなんにでも一生懸命なところがまたいい。どう見ても失敗してるのにドヤ顔で持ってこられたら受け取らんわけにいかん。たとえそれが激マズの茶だとしてもな」
(や、やっぱり失敗していたんだ。あのお茶!)
「ま、まずかったんだったら飲んでくれなくても良かったのに……」
彼の指が愛の背中を這いまわる。いつものようにがっつりと触れてこないからこそ、もどかしさが倍増する。
「その上、こんな風にいじらしく心配されたら落ちない男はいないだろう。お前と会ってからというもの、気が付いたらアイのことばかり考えている。お前は本当に困ったやつだ。騎士団長の俺をここまで惚れさせた女はアイだけだぞ」
「そ、そんな言葉は聞き飽きたわ……あなた毎日言ってるじゃないの」
あまりの恥ずかしさに、愛はシーツを更に巻き込んで毛虫のように丸くなった。全身が熱くなっていくのを感じる。
(どうしてこの人はいつも私が欲しい言葉をくれるの……?)
「そうか? でも俺は言い飽きてないからな。いくらでも言ってやる。俺はアイに惚れてる。だから今夜は抱かせろ。好きな女の隣で寝るだけというのももう限界だ。これでも俺は正常な成人男子だからな」
そこで愛は振り返った。ダグラスは隣で肘をついて横になっている。いつも余裕がある彼の表情に欲情が混じっている。半分冗談で半分本気なのだろう。愛の中でダグラスへの愛しさが込み上げてきて止められない。
(あぁ、私。ダグラスが好き……好きなんだわ)
愛はダグラスの顎に手を当てると顔を近づける。そうして戸惑いながらもそっとキスをした。
はじめはついばむようなキスを繰り返し、次第にそれは深く……深くなっていく。いつの間にか舌が絡み合い、唾液が淫靡な音を奏でていた。
二人の間に言葉はなかった。ただ互いを求める甘い吐息だけがシーツの上を交差する。
「んっ……は、あぁっ」
短い悦楽の声が愛の唇から漏れると、ダグラスはもったいないといわんばかりにそれを自身の唇でふさいだ。乳房をもてあそんでいた彼の指が降下して、愛の秘所へと移動する。すでに濡れそぼっていたそこは、ダグラスの指も素直に受け入れた。
(あ、すご……こんなに気持ちいいの初めて……)
彼の指はその豪快な見かけに反して、繊細に愛の股間をうごめく。初めは表面に触れるように愛のいい場所を探す。そうして彼女の反応を見ながらあっという間に愛の気持ちいい場所を探り当てた。
愛の小さな快楽の芽は、ダグラスの指先に翻弄され熱を帯び、徐々に膨らんでいく。それと同時に愛はかつてないほどの快感を覚えはじめる。
腰の奥がじーんと痺れてきて、ほんの少しの刺激でも敏感に反応してしまう。そうして愛はあっという間に指だけでイってしまった。
「あっ! あぁぁぁぁっん!」
背をのけぞらせ唇を噛みしめる。両足に力が入らなくなって震えが止まらなくなった。
「いい反応だ、アイ。あぁ、そんな顔をするな。俺まで昂って理性がぶっ飛びそうだ」
(そんなこと言われても、指だけでこんなに気持ちいいなんて……知らなかった……ぁあ、ん!)
堪えきれないというダグラスの声に、愛はゆるやかに羞恥心を失っていく。目の前の男が欲しい。征服欲にも似た激しい衝動が心を覆いつくした。
「……も、お願、い……もう挿れてちょうだい……もぅ、無理ぃ……」
何度目かの絶頂の後、愛はぐちゃぐちゃの顔でダグラスに懇願する。するとダグラスは欲情を孕んだ表情で愛を見つめ、忌々しそうに舌打ちをした。
「ちっ! 本当にお前はどれだけ俺を弄ぶんだ。こんな時だけ可愛く誘うなんて反則すぎるぞ、アイ!」
愛は返事の代わりに切ない目でダグラスを見上げた。目には涙が溜まっているようで彼の姿がぼんやりとしか見えない。どうしようもない気持ちになって、愛は自分の上に乗っているダグラスに向かって両手を広げて腕を伸ばした。
「……んっ。ダグラスぅ……」
「あぁっ! 畜生っ!」
ダグラスは自分の頭を乱暴に何度か掻くと、今までにないほどの熱量を孕んだ目をした。いままでの余裕のある彼とは全く違う。燃え盛る情愛の炎で焼き尽くされそう。
(あぁ、このまま食べられてしまうのかな……)
「手加減はしてやれそうにないが後で怒らないでくれよ……」
言葉を言い終わるか終わらないかのうちにダグラスは腰を押し込んだ。何度もイかされたため愛液でぐっちょりと濡れそぼっていたはずなのに……鋭い痛みが下半身に走る。
「んっ……あぁぁぁっ……!」
(……っ! お、大っきい!)
目の前に星が飛んでチカチカするような感覚の後、ダグラスの剛直を体内から感じる。幸福の感情が花が開くように込み上げてきて、全身の細胞が強引に目を覚まされられたよう。
「ダグラス……ダグラスぅ……」
愛の請うような声にダグラスは何か言おうと口を開いたが、そのまま閉じた。そうして愛の腰を両手で持つと、激しく腰を打ち付ける。ベッドの足が折れそうなほどに軋んで音を立てた。
何度も大きく体を揺さぶられて、愛は蜂蜜よりも甘い声を奏でる。そうして二人は欲情を昂らせたまま互いの体を貪った。もうどっちが天井なのか、誰が上に乗っているのかさえ分からない。互いに繋がったまま、野生の獣のように本能のまま交わる。
愛が何度イかされて、ダグラスが何度イったのかわからない。けれどもダグラスは決して彼女の中から出ようとはしなかった。まるでそれが惚れた証だとでもいうかのように。
そうして気が付くと、ベッドの中。愛はダグラスの腕の中で横になっていた。彼はぐっすりと眠っているようだ。今更恥ずかしさが込み上げてきて、顔が熱くなる。
彼を起こさないようベッドから抜け出そうとして、いきなり腕を掴まれた。
「アイ、どこに行くんだ。まさか逃げる気じゃないだろうな」
「違うわ、体を拭こうと思っただけ。あの……いろいろと汚れちゃってるでしょ?」
最後の方は照れくさくて視線をそらしてしまう。体の奥底に放たれたダグラスの体液を感じてしまうから。するとダグラスは機嫌を悪くしたようで、力づくで愛をベッドの中に引きずり込んだ。
「拭くな! そのままでいろ」
何だか機嫌が悪そうだ。怒らせてしまったのかと考えていると、ダグラスが言いにくそうに口を開いた。
「その、お前。初めてじゃないよ……な」
(あぁ、そんなこと。やっぱりわかるものなのね)
「大学生の時に付き合ってた人と……一人きりよ。それきり何年も男性とお付き合いしてないから。二十六歳にしては経験は少ない方だと思う」
悪いことをしたわけでもないので、愛は正直に答えた。するとダグラスが驚いてベッドから上半身を起こす。
「二十六! じゃあ俺と二歳しか違わないじゃないか! 俺はてっきり十七かそこらかと……だから手を出すのを渋ってたんだが。くそっ! なら強引にでも抱いておけばよかった」
ダグラスは充分すぎるほど強引だったと愛は心の中で思う。しかも愛のことを十七歳だと思っていて手を出したのなら、淫行条例にも引っかかるではないか。
「二年以下の懲役に百万円以下の罰金……」
試験のために覚えた数字が思い起こされ、ぼそりとつぶやいたがダグラスは聞いてもいないようだ。
「だが面白くないな。アイの初めてを奪った男がいるのは。畜生! お前のお前のゆるんだ顔を見た男がどこかにいると思うだけで殺してやりたくなる」
(わ、私。そんなに変な顔してたの?!)
「あなただって初めてじゃないでしょう? それに誰でも初めてはあるものよ。気にするなら他の女にすればいいわ。さぁ、もう寝るわよ。明日は頑張ってもらわないと私の未来がかかってるんだから」
無理やり話を終わらせて一緒にベッドに入る。その晩、彼は愛を抱き枕にして熟睡したらしいが、愛はよく眠れなかった。体にダグラスの余韻があったせいでもあるが、もちろん明日の超大型魔獣のことが気にかかる。
(お願い、絶対に生きて帰ってきてね。ダグラス)
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