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第一王子と第二王子
しおりを挟む王宮での夜会の後、私宛に王宮からの呼び出しがありました。
私は急いで王宮へ向かいました。私が着くとすぐに謁見の間へと案内されました。
壇上には国王陛下がみえました。
「陛下、ルナール・フォックスが参りました。」
私はカーテシーをしました。
「よく来てくれた。ルナール、今日は折り入って話があったのでな。」
話‥‥ゲーテ王子との婚約破棄の事かしら?
「ルナールは、ニーチェとは夜会ですでに会ったと聞いたが‥‥。」
「はい。殿下には恐れ多くも夜会の帰りに家まで送って頂きました。」
「ほお、あのニーチェがな‥‥。ルナール、話というのは、そなたとゲーテの婚約を解消し、改めてそなたにはニーチェと婚約してもらおうと思っているのだが‥どうかな?」
「‥‥第一王子殿下と私がですか‥。私で本当に宜しいのでしょうか。」
「ニーチェから申し出たのだ。ニーチェは以前呪いの力により、身体に障害を生じてしまっていたが、隣国で留学中に優秀な魔術師に呪いを解いて治して貰ったという。今では何の問題もなく、私の後継者としてもふさわしい。‥ルナール、そなたにはニーチェの支えとなって欲しい。」
「‥‥謹んでお受けします。」
‥‥ニーチェ様、何故私との婚約を陛下に申し出たのですか。ニーチェ様がいったい何をお考えなのか、私には分かりかねます‥‥ですが、私はあなたについて行くと覚悟を決めました。
私とゲーテ王子の婚約解除と、改めて結ばれた私とニーチェ王子の婚約の話は、瞬く間に貴族達の間に広まりました。
そしてゲーテ王子とリリー侯爵令嬢との婚約の話もすぐに広まりました。
ゲーテ様、本当におめでとうございます。愛する人と結ばれて、これでやっとゲーテ様も幸せになれますね。
ねえゲーテ様、いえ「兵十」さん。「ごん」はこれで安心してあなたの元から離れられます。
そして、これから私は前世の「ごん」ではなく、やっと今世のルナールとして生きていけるのですよね。
‥‥ランクス様、ごめんなさい。私はあなたへの愛を諦めます。そして、この国をニーチェ様と守り続け、ゲーテ王子とリリー様の幸せも見守り続けたいと思います。さようなら。
「くそっ!ニーチェめ、呪いを解いて帰ってくるなんて、話が違うじゃないか。」
ゲーテ王子は、とても荒れていました。普段は温厚で清らかなイメージのゲーテ王子ですが、実際はとても陰湿な男だったのです。
ゲーテ王子にとってニーチェ王子は目の上のたん瘤のような存在でした。
ニーチェ王子がいる限り、自分は国王にはなれない、愛しいリリーを王妃にしてやる事もできない、そう思っていたようです。
そして秘密裏に紹介してもらった悪い魔女に頼んで、ニーチェ王子に呪いをかけていたのです。
ところで、ゲーテ王子はご存知なのでしょうか?
悪い魔女の呪いとは、かけられた側が呪いを解いた時、かけた本人に返ってくるのだという事を‥‥
グワァ、グワァッ、
ゲーテ王子は自分にはね返ってきた呪いにより、足の節々がポキポキと折れ、杖なしでは歩けない体になってしまったのでした。
「キャーッ、ゲーテ様!大丈夫ですかっ。」
ゲーテ王子に呪いが返ってきた事により、事態は大きく変わろうとしていました。
リリーは今、鬼の形相でルナールのもとへ走っていました。
ルナールに何をしようとしてるのでしょうか。
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