隣の席の美少女が何故か憐れむような目でこちらを見ているけど、僕には関係がないのでとりあえず寝る ひとりが好きなぼっちだっているんですよ?

プル・メープル

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第20話 来客(複数)は突然に

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唯斗ゆいとさん、遊びに行きましょう!」

 土曜日の朝9時、インターホンの音で起こされ、パジャマ姿のまま玄関を開けると同時に、唯斗はそんなことを言われた。

「……悪夢かな、もう一回寝よ」
「ちょ、ちょっと待ってください!現実ですから!」

 声の主である花音かのんは、閉めようとする玄関の扉に足を挟んで止めると、「うう、痛いです……」と涙目になる。

「刑事ドラマとかだと、普通にやってたのに……」
「あれは硬い靴だから出来るんじゃない?」
「なるほどです!」

 という話はともかく、朝から人の家に来て遊びのお誘いなんて非常識にも程がある。やっぱりあの時、彼女の話に耳を傾けたこと自体が間違いだったのかもしれない。

「今日は用事があるんだ」
「どんな用事ですか?」
「睡眠」
「用事……なのですか?」
「僕の人生は睡眠でできてるからね」
「……やっぱり可哀想です。遊びに行きましょう!」

 そう言うと、花音は唯斗の腕を掴んで強引に玄関から引っ張り出した。と同時に、ドアに隠れて見えていなかった他のメンバーたちの姿が視界に入る。

「よう、小田原おだわら
「迎えに来たよ~♪」
「ぐんも」

 クールな見た目の女の子、色々とユルい女の子、スマホから目を離さない女の子。全員夕奈ゆうなの友達だったことは覚えているけど、どうしても名前を思い出せない。
 というか、そもそも名前知ってたっけ?
 唯斗が頭を悩ませていると、クールな女の子が「瑞希みずき風花ふうか、こまる」と順番に教えてくれた。覚えている限りは覚えておこう。

「遊びに行くって、この5人で?」
「6人ですよ?」

 そう言われて最後の一人を探して見ると……いた。唯斗の背後で額を抑えながらうずくまっている夕奈が。
 どうやら、引っ張り出された時に勢いよく開いた扉がぶつかったらしい。これはかなり痛そうだ。

「頭固くてよかったね」
「心配せい、心配を」
「扉、へこんでないかな」
「私の方をだよ!」
「いいツッコミ、怪我はなさそう」
「変な確認の仕方すな」

 唯斗は『夕奈って四六時中このテンションなんだなぁ』と思いつつ、花音の方へ向き直った。

「悪いけど5人だけで遊んできて。僕は遠慮しとく」
「ちょっと待ってください!わざわざみんなで来たのに、ただで帰るなんて出来ません!」

 花音の言葉に、他の4人が「無理に連れてこられたんだけど……」という目で見ていることはさておき、確かにここまで来てもらってただ返すのも悪い気がする。
 唯斗はリビングに戻って財布を取ってくると、一人300円ずつ手渡した。

「……なんですか、これ」
「電車賃」
「そういう意味で言ったんじゃないです!」

 なんだ、違うのか。なにか怒ってるみたいだから、お金が無駄になったことかと思ったのに。
 唯斗は全員からお金を回収すると財布の中にしまい、100円足りないことに気がついて夕奈からちゃんと返してもらった奪い取った
 「私のワンプレイがぁぁぁ」とか言ってるけど、人の金で行くゲーセンは楽しいのかって話だよね。

「なあ、小田原。夕奈はともかく、私たちは純粋にお前と遊びたくて誘いに来たんだ。それを理由もなく断るのって失礼じゃないか?」
「……言われてみれば確かにそうだね」

 唯斗は瑞希の言葉に頷くと、「歩く騒音機以外は上がっていいよ」と家の中へ招き入れる。夕奈も入ってきたけど、まあおでこ痛そうだし今日は許そう。

「出かける準備するからリビングで待ってて」
「じゃあ、遠慮なくお邪魔する」
「おっけ~」
「りょ」

 3人に続いて花音もぺこりとお辞儀して家に上がる。礼儀がしっかりとしてるんだね。
 どこか慣れた感じでリビングに入っていく夕奈には、そこはかとなくイラッとするけど。
 5人の姿が廊下から無くなったのを確認して、唯斗は2階の自室へと向かう。まあ、遊びに行くだけだし服なんてなんでもいいよね。
 この前、天音あまねが言ってた組み合わせで着ようかな。考えるの面倒だし。
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