伝説の勇者が闇堕ちした日に、ポンコツは爆誕する

空木卯々

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第四話

下水道探索⑤

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◇◇◇◇◇


バァァン!!



まさに、イルが一刻でも早く戻りたい、
出入口付近で
けたたましい何かの音がした。

いや、
音の質感からして、
鉄扉が勢いよく閉じたのだろう。

「ひっ⁈
な、何⁈ 扉?なになに?」

パニックになりかけたイルは、
思わずリーンにしがみつく。
しがみ付いたのは無意識だが、
華奢ながら柔らかで清楚な
花の香を纏うリーンの感触に
心の底で歓喜するイル。
そんな事を喜んでる場合ではないが…


「…念の為にと、開けていた鉄扉が
閉じてしまったみたいだな…」

下水道内の換気の為と…
万一の時の退路を確保する為に
入り口の扉は開き、重し代わりに
石で固定しておいたのだが…

「だ、誰の仕業だよう⁈
扉…石で固定しておいたのに…」

情けなく語尾が震える。
イルのずんぐりした醜く暑苦しい腕を
己から引き剥がしながら、
リーンは冷静に答える。

「突風が吹いただけかもな」

「ね、ねぇ、扉…見に行こうよ!
閉じ込められてたら怖いよ」

リーンに再度引っ付きながら(どさくさ紛れに)
イルは先を急かした。

昔の面影はどこへやら…
イルは完全にお化けを怖がる
子供となっている。
だが…

「いや、先に網の点検をやるぞ」

中々自分から離れないイルを
杖で小突きながら引き剥がし、
リーンは網の方へ進む。


小さい下水道を塞ぐ網の点検は
あと一ヶ所…
先にすぐそこの、網の場所まで行き、
問題がなければ、
出口の扉へ向かうつもりだった。


「…、網が破られてる…」


最後の一ヶ所の網は、
残念ながら破られ、
口を大きく開けていた。

「ど、ど、どうしよう?」

急に閉まる扉…
破壊された網…
この下水道に…自分ら以外に
何かがいるのか⁈

「ふむ…仮修理するしか無かろう」

一応、修理用の網や器具も携帯してきた。
…が、イルは恐怖で
居ても立っても居られなかった。

「ね、ねぇ、
やっぱり、その前に出口の扉…見に行こうよ」

「心配し過ぎだぞ……まぁでも…
それくらい慎重なほうが
冒険者としていいのかもな、
特に今は…」

少し呆れた口調ながらも、
リーンもイルの提案に同意し、
一旦出入口の様子だけ
見に行く事にした。

破れた網の場所から五分もかからず、
出入口に着く。
恐る恐るイルは鉄扉に力を入れ、
押してみるが…

すぐにイルの顔色が変わる。


「あ、開かない…!」


二人は下水道内に
閉じ込められる形となった。


◇◇◇◇◇


(第四話⑥へ続く)
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