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触れる、溶ける。【アイスバース】
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第5話
久しぶりに丸1日の休日の取れた辰巳は、そろそろ食材と日用品を買い足そうと身支度を済ませていた。
しばらくしてチャイムが鳴り、不思議に思いながら玄関へ向かう。
本来オートロックのマンションである為、直に部屋のインターホンが鳴ることは無いはずだった。
スコープを覗き来客者を確認すると私服姿の遊馬が紙袋を手にソワソワしているのが見えた。
「おはよう」
ドアを開けて声を掛ける。
「お、おはようございますっ…あっ、お出かけのご予定ですか?出直しますね!」
辰巳の身なりを見るなり、そう言って慌てて帰ろうとしている遊馬の手を辰巳は思わず捕まえていた。
「ぁ、あの」
何も言わずに掴まれた手に、遊馬はどうしていいか分からなくなっているようだ。
「あぁ、悪い。」
パッと手を離し、辰巳は頭を搔いた。
「出かけるついでだ、飯でも一緒にどうだ?君が嫌じゃなければだが。」
「嫌じゃないです!この前のお礼をさせて下さい。それと、ほんの少しですが先日のお詫びに受け取ってください。」
そう言って持っていた紙袋を手渡された。
その後遊馬は一度荷物を取りに部屋へと戻り、改めて辰巳の部屋を訪れた。
「さぁ、行こうか。」
辰巳の車に揺られ、おしゃれなカフェに連れて来られた。
目の前に座り、パスタを口に運ぶ辰巳を眺める。
「なんか、かっこいいですね。」
そんな言葉が思わず口から出てしまい、慌てて両手で口を塞いだ。
「はっはっはっ、中々言われないから嬉しいよ。」
そう答えながら、少し遠くへ視線を流した。
──────────────────
いつかの夏の日
友人の子供が姿を消した。
彼は"アイス"と呼ばれる者だったようだ。
彼の両親は何年も必死に行方を追っていたが、数年前に事故に遭い2人とも亡くなった。
運命のジュースに出会ったアイスは消えてしまうなど、おとぎ話だと思っていたのだ。
目の前で、級友が消えてしまうまでは。
その日から、辰巳は恋愛が出来なくなった。
──────────────────
上の空になりつつも、遊馬と過ごす時間はあっという間に過ぎていった。
久しぶりに丸1日の休日の取れた辰巳は、そろそろ食材と日用品を買い足そうと身支度を済ませていた。
しばらくしてチャイムが鳴り、不思議に思いながら玄関へ向かう。
本来オートロックのマンションである為、直に部屋のインターホンが鳴ることは無いはずだった。
スコープを覗き来客者を確認すると私服姿の遊馬が紙袋を手にソワソワしているのが見えた。
「おはよう」
ドアを開けて声を掛ける。
「お、おはようございますっ…あっ、お出かけのご予定ですか?出直しますね!」
辰巳の身なりを見るなり、そう言って慌てて帰ろうとしている遊馬の手を辰巳は思わず捕まえていた。
「ぁ、あの」
何も言わずに掴まれた手に、遊馬はどうしていいか分からなくなっているようだ。
「あぁ、悪い。」
パッと手を離し、辰巳は頭を搔いた。
「出かけるついでだ、飯でも一緒にどうだ?君が嫌じゃなければだが。」
「嫌じゃないです!この前のお礼をさせて下さい。それと、ほんの少しですが先日のお詫びに受け取ってください。」
そう言って持っていた紙袋を手渡された。
その後遊馬は一度荷物を取りに部屋へと戻り、改めて辰巳の部屋を訪れた。
「さぁ、行こうか。」
辰巳の車に揺られ、おしゃれなカフェに連れて来られた。
目の前に座り、パスタを口に運ぶ辰巳を眺める。
「なんか、かっこいいですね。」
そんな言葉が思わず口から出てしまい、慌てて両手で口を塞いだ。
「はっはっはっ、中々言われないから嬉しいよ。」
そう答えながら、少し遠くへ視線を流した。
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いつかの夏の日
友人の子供が姿を消した。
彼は"アイス"と呼ばれる者だったようだ。
彼の両親は何年も必死に行方を追っていたが、数年前に事故に遭い2人とも亡くなった。
運命のジュースに出会ったアイスは消えてしまうなど、おとぎ話だと思っていたのだ。
目の前で、級友が消えてしまうまでは。
その日から、辰巳は恋愛が出来なくなった。
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上の空になりつつも、遊馬と過ごす時間はあっという間に過ぎていった。
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