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***

「お母様、見てください。バラが綺麗に咲いています」
「本当ねえ~~。とっても綺麗だわ」

 美しいブロンドの髪に澄んだ青空のような目を輝かせ、バラを眺めている我が子の天使ぶりに目を細め、微笑ましく眺める。

 五歳になる我が子は絵本の中に出てくる王子様そのものです。
 マジ天使。目の中に入れても痛くない。
 
 
 腕には二歳になる小天使が、これまたブロンドの髪をフワフワさせ、クリクリとした大きなこげ茶の目をパチクリさせて、おとなしく腕に抱かれている。


 どちらも夫によく似ていて、将来は美男美女になると思う。
 そこは私にあまり似なくて良かった、と本当に思う。


 結局あの後、婚約式、結婚式とトントン拍子に進んでいき、今では王妃として、二児の母として夫であるランスのの傍で日々幸せに暮らしている。


 今でも朝まで求められることもしばしばあるけれど。

 どうやら、夫であり国王でもあるランスロットは、この国で一番魔力と精力が強く、当時二十六歳だったあの年で婚約者が一人もいなかったのは、あの強すぎる性欲に誰もついていけなかったらしい。


 うん、わかるわかる。
 
 確かに、強すぎる精力に、体力の限界を感じることもしばしばあるが、情事の最中に何度も「愛している」とせつなく囁かれる言葉と、縋りつくように抱きしめられれば、それ以上に愛されていることを感じてしまい、結局はランスの満足いくまで応じてしまう私は、もしかしてやっぱりドMなのかな?


「ミサト、ここにいたのか」
「おとーしゃま」

 腕の中の娘はとくに父親っ子であり、ランスに向かって両手を伸ばしている。
 ランスも息子には厳しい面もあるが、娘にはデレデレであり、目じりを下げて娘を抱き上げる。

「いい子にしていたか?」
「はい!」

「お父様、ちゃんとお母さまを守っていましたよ!」
「いい子だ」

 頭を撫でられ、嬉しそうにしている。

 その様子を微笑ましく眺め、幸せ感一杯に浸り、『人生分からないもんだなぁ』 としみじみ思う。


 こんな幸せの形も悪くないよね。


 自分の人生の宝物である三人。
 違うか。四人だ。
 そっとお腹をさすり目を細める。
 私、今とっても幸せだな。


 隣にいるランスを見上げ、そっと耳元で囁く。


「ランス、愛してる」
「俺もだよ。ミサト、世界で一番愛してる」

 この上ない幸せが胸いっぱいに溢れた。
 夢を叶えてくれた神様、ありがとうございます。



***

 「ねえ、あなた。一番最初に会った日の事覚えてる? あの時の事を、あなたは運命だ、って言ってたけど、一体私の何が気に入ったの?」

「ああ、あの時の事か。あの時ミサトが着ていた珍妙な服を、引ん剥いた時に見えた胸だな。形のいい胸を一目で気に入ったんだ」

「……」


 一週間、おさわり禁止令を出されたランスだったが、その後、同じく一週間寝室から出られなかったミサトに、子供達もお城の者達も皆、生暖かい目で見守っていた。
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