6 / 6
6
しおりを挟む
***
「お母様、見てください。バラが綺麗に咲いています」
「本当ねえ~~。とっても綺麗だわ」
美しいブロンドの髪に澄んだ青空のような目を輝かせ、バラを眺めている我が子の天使ぶりに目を細め、微笑ましく眺める。
五歳になる我が子は絵本の中に出てくる王子様そのものです。
マジ天使。目の中に入れても痛くない。
腕には二歳になる小天使が、これまたブロンドの髪をフワフワさせ、クリクリとした大きなこげ茶の目をパチクリさせて、おとなしく腕に抱かれている。
どちらも夫によく似ていて、将来は美男美女になると思う。
そこは私にあまり似なくて良かった、と本当に思う。
結局あの後、婚約式、結婚式とトントン拍子に進んでいき、今では王妃として、二児の母として夫であるランスのの傍で日々幸せに暮らしている。
今でも朝まで求められることもしばしばあるけれど。
どうやら、夫であり国王でもあるランスロットは、この国で一番魔力と精力が強く、当時二十六歳だったあの年で婚約者が一人もいなかったのは、あの強すぎる性欲に誰もついていけなかったらしい。
うん、わかるわかる。
確かに、強すぎる精力に、体力の限界を感じることもしばしばあるが、情事の最中に何度も「愛している」とせつなく囁かれる言葉と、縋りつくように抱きしめられれば、それ以上に愛されていることを感じてしまい、結局はランスの満足いくまで応じてしまう私は、もしかしてやっぱりドMなのかな?
「ミサト、ここにいたのか」
「おとーしゃま」
腕の中の娘はとくに父親っ子であり、ランスに向かって両手を伸ばしている。
ランスも息子には厳しい面もあるが、娘にはデレデレであり、目じりを下げて娘を抱き上げる。
「いい子にしていたか?」
「はい!」
「お父様、ちゃんとお母さまを守っていましたよ!」
「いい子だ」
頭を撫でられ、嬉しそうにしている。
その様子を微笑ましく眺め、幸せ感一杯に浸り、『人生分からないもんだなぁ』 としみじみ思う。
こんな幸せの形も悪くないよね。
自分の人生の宝物である三人。
違うか。四人だ。
そっとお腹をさすり目を細める。
私、今とっても幸せだな。
隣にいるランスを見上げ、そっと耳元で囁く。
「ランス、愛してる」
「俺もだよ。ミサト、世界で一番愛してる」
この上ない幸せが胸いっぱいに溢れた。
夢を叶えてくれた神様、ありがとうございます。
***
「ねえ、あなた。一番最初に会った日の事覚えてる? あの時の事を、あなたは運命だ、って言ってたけど、一体私の何が気に入ったの?」
「ああ、あの時の事か。あの時ミサトが着ていた珍妙な服を、引ん剥いた時に見えた胸だな。形のいい胸を一目で気に入ったんだ」
「……」
一週間、おさわり禁止令を出されたランスだったが、その後、同じく一週間寝室から出られなかったミサトに、子供達もお城の者達も皆、生暖かい目で見守っていた。
「お母様、見てください。バラが綺麗に咲いています」
「本当ねえ~~。とっても綺麗だわ」
美しいブロンドの髪に澄んだ青空のような目を輝かせ、バラを眺めている我が子の天使ぶりに目を細め、微笑ましく眺める。
五歳になる我が子は絵本の中に出てくる王子様そのものです。
マジ天使。目の中に入れても痛くない。
腕には二歳になる小天使が、これまたブロンドの髪をフワフワさせ、クリクリとした大きなこげ茶の目をパチクリさせて、おとなしく腕に抱かれている。
どちらも夫によく似ていて、将来は美男美女になると思う。
そこは私にあまり似なくて良かった、と本当に思う。
結局あの後、婚約式、結婚式とトントン拍子に進んでいき、今では王妃として、二児の母として夫であるランスのの傍で日々幸せに暮らしている。
今でも朝まで求められることもしばしばあるけれど。
どうやら、夫であり国王でもあるランスロットは、この国で一番魔力と精力が強く、当時二十六歳だったあの年で婚約者が一人もいなかったのは、あの強すぎる性欲に誰もついていけなかったらしい。
うん、わかるわかる。
確かに、強すぎる精力に、体力の限界を感じることもしばしばあるが、情事の最中に何度も「愛している」とせつなく囁かれる言葉と、縋りつくように抱きしめられれば、それ以上に愛されていることを感じてしまい、結局はランスの満足いくまで応じてしまう私は、もしかしてやっぱりドMなのかな?
「ミサト、ここにいたのか」
「おとーしゃま」
腕の中の娘はとくに父親っ子であり、ランスに向かって両手を伸ばしている。
ランスも息子には厳しい面もあるが、娘にはデレデレであり、目じりを下げて娘を抱き上げる。
「いい子にしていたか?」
「はい!」
「お父様、ちゃんとお母さまを守っていましたよ!」
「いい子だ」
頭を撫でられ、嬉しそうにしている。
その様子を微笑ましく眺め、幸せ感一杯に浸り、『人生分からないもんだなぁ』 としみじみ思う。
こんな幸せの形も悪くないよね。
自分の人生の宝物である三人。
違うか。四人だ。
そっとお腹をさすり目を細める。
私、今とっても幸せだな。
隣にいるランスを見上げ、そっと耳元で囁く。
「ランス、愛してる」
「俺もだよ。ミサト、世界で一番愛してる」
この上ない幸せが胸いっぱいに溢れた。
夢を叶えてくれた神様、ありがとうございます。
***
「ねえ、あなた。一番最初に会った日の事覚えてる? あの時の事を、あなたは運命だ、って言ってたけど、一体私の何が気に入ったの?」
「ああ、あの時の事か。あの時ミサトが着ていた珍妙な服を、引ん剥いた時に見えた胸だな。形のいい胸を一目で気に入ったんだ」
「……」
一週間、おさわり禁止令を出されたランスだったが、その後、同じく一週間寝室から出られなかったミサトに、子供達もお城の者達も皆、生暖かい目で見守っていた。
22
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる