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修道女、星に祈る
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時刻もすでに深夜だし、このあたりで今日の話は終わると思うだろう?
違うのだ。
ティーナが気を持ち直した後、とりあえず今日はこの部屋に付随した予備の部屋(といっても広い)に泊める事になった。
何といっても今夜は夜会。宿泊客が多く、ただでさえ空き部屋が少ないうえに、そこが安全かどうかを判断する時間的余裕もない。
ここの続き部屋ならば調べてあるというルシエラの言葉に、何か企んでいる気はしたものの、疲労もピークに達していたメイラはつい同意してしまった。
メイラ自身が、ティーナがさらされているものとは比較にならない危険に付け狙われているのを忘れていたわけではない。巻き込む恐れがあるから駄目だと言うべきだった。すぐに父に責任を押し付け……もとい、一任しようとしてはみたのだが、とたんにまた涙ぐみ「やはりご迷惑ですわよね」と嘆かれてしまえば、一晩だけだと受け入れざるを得ない。
コンコン、と部屋の扉がノックされたのはそんな時だ。
こんな時刻に? といぶかしむメイラをよそに、マローが帯剣に手を置きながら来客を迎え入れる。
近衛の女性騎士にせっつかれ、入室してきたのは、見覚えのないくすんだ金髪の男だった。
……誰?
困惑したように室内を見回した男が、「ひっ」と怯えるティーナの姿に険しい表情になる。
それだけで、男の正体がわかってしまった。
おそらくは、何番目か分からないがティーナの義兄だ。
寝ていたところをベッドから強引に連れ出したのかもしれない。乱れた髪形と、着崩した服装……上着を着ていないどころか、シャツのボタンすら半分ほどしか止められていない。
「ティーナ! 一人で勝手にどこに行っていたんだ?!」
さも彼女が悪い、と言いたげな口ぶりに、メイラと同じタイミングでリオネル卿がイラッとしたのがわかった。
メイラは細かく震えているティーナの髪をひと撫でした。
彼女に辱めを与えようと計画していた一件に、この男がどこまで関わっているのかはわからない。がっつり主犯側の人間かもしれないし、逆に何も知らない可能性もある。
しかし、今の彼女の心底怯え憔悴した様子が見えているだろうに、心無い台詞を投げつける事自体が許しがたかった。
「……ルシエラ?」
男を部屋に招くのは感心しないと言っていたその口で、会いたくもない男を部屋に連れてきたのは間違いなく彼女の采配だ。
ジロリと睨むと、まだ気弱な女官の仮面を下ろす気がないルシエラが、怯えたように俯いた。
「御命令通りにお連れしました」
しおらしい白金髪のつむじを見ながら呼吸数回分の間をおいて、ようやくメイラの理解が追いついてきた。
確かに、ティーナを狼の群れに放り込んだ義兄を連れてこいとは言ったけれども!!
「わたくし、またなにか失敗してしまいましたでしょうか」
「……」
うるり、と濡れた瞳で見つめられ、言うべき言葉が頭から滑り落ちてしまった。
ここまでくれば、呆れも通り越して感心してしまう。
美しく嫋やかな女官であるルシエラは、誰が何をどう言おうが被害者の立場に立ち、相手を悪者にしてしまえるのだ。
意図的に作られたそのキャラクターに慄くべきか、怒るべきか。
迷いつつ、やはり釘を刺しておかねばなるまいと表情をけわしくすると、何を思ったか問題の義兄殿がいかつい顔を顰めながらメイラを睨み始めたではないか。
あっさりとルシエラの手管におちた男を、単純と言うべきか、人を疑わない気質だと言うべきか。
えてしてこういう人間は、自分が正しいと思う方が正義だと盲目的に信じて疑わない。
おそらく今彼の頭の中にあるのは、虐められている薄幸の女官と、当たりのキツイ尊大女とでもいったところだろうか。
メイラは、まったく興味はないとばかりに窓の外の方を向いて紅茶を飲んでいる父を恨みがましく一瞥してから、ため息交じりに首を振った。
「いい加減にしなさい」
「そんな、わたくしは精一杯っ」
ルシエラの、悲し気に俯けた顔は、非の打ちどころがないほどに美しい。繊細で、いまにも泣き崩れてしまうようなこの表情を見れば、男女違わずほとんどの人間が憐憫の情を抱くのだろう。
そして彼女を虐めるメイラは悪役で、きっと酷く嫌な女だと思われているのだ。
「……報告を」
「は、はい。御命令通りに、ハインズ伯爵家の御次男さまをお探ししましたところ、ファーン男爵未亡人の部屋に入られ、事に及ばれる寸前でございましたので、大急ぎで徴集致しました」
「……っ」
身もふたもない報告に真っ赤になったのは、当の本人と、聞きたくもないのに義兄の女性関係を聞かされた義妹だった。
「せっかくのお楽しみのところ、お邪魔するのは大変申し訳ないと思ったのですが……御方さまがお呼びでしたのでやむなく」
いや、こちらのせいにしないで欲しい。
それにしても、義理とはいえ妹の所在が不明なのに、よく女のベッドに潜り込もうとしたものだ。
「ああそう。ご苦労様」
急に、何もかもが面倒くさくなってきた。
疲れているのだ。すぐにもベッドに潜り込みたいのだ。
何の説明もせず、理解不能な行動を取るルシエラの御遊びに付き合ってあげる気力はないし、自身が正しいと信じ切っている男の相手もしたくない。
「夜も遅いので、手早く済ませましょう。……用件はひとつ。今夜貴方の義妹さんはわたくしが預かります。どうやら良からぬ輩に狙われているようで、それを貴方は守る気もなさそうですから」
「……はっ?」
「義理とはいえ妹、しかもパートナーの所在がわからなくなっているのに、探そうともせず楽しんでいらした方には何も言う資格はありません。彼女が無断外泊したなどという不名誉な噂が出ても困りますから、一応お知らせしただけです。……お引き取り頂いて」
「はい、御方さま」
呆然とするティーナの義兄の腕を、後ろから近衛の女性騎士が掴んだ。
彼の方もおそらくは騎士なのだろう、がっちりとしていて、体格的には背後の女性よりも恵まれている。とっさに腕を振り払おうとしたようだが、握る女性騎士の手にギリリと音が聞こえてくるほどの力が籠められ、それはかなわなかった。
「ま、待ってください!」
そこまで来てようやく、打ちひしがれ萎れている義妹の様子に気づいたのだろう。今更焦ったような顔をされても遅いのだ。
「いったい何がどう」
「化粧室で、使用人の男に乱暴されそうになっていました」
「はっ? どうしてそんな事に……。ティーナ、共もつれず化粧室に行ったのか? なんというはしたない!」
「……はしたない?」
メイラは、ビクリと肩を揺らし、再び全身で震えはじめたティーナの背中をそっと撫でた。
「ご自身が原因の一旦を担っているというのに、無事だったのかと気遣いもしないのですね」
「……わたしがですか?」
「そんな訳はないと胸を張るのはおやめなさい。腹立たしいだけです」
メイラはそっとティーナの頬に手を添えて、涙にぬれた顔を覗き込んだ。
デリカシーの欠片も見受けられないこの男は、実際の加害者ではないのかもしれないが、吐く言葉言葉で彼女を傷つけている。
「大丈夫よ、大丈夫」
今にも気絶してしまいそうなその様子に、不用意に彼を近づけてしまった事を悔やんだ。
「あとの事は……マロー、お願いできる?」
そう言ったきり、メイラは二度とティーナの義兄の方は見なかった。
そのかわりに、いまだ居座る気満々で紅茶のお代わりを所望する父と、対称的に落ち着かない様子のその孫とを、どうすればこの部屋から追い出せるか思案する。
まさか泊まるつもりでは……ないわよね?
もうこのまま男どものことは無視して、ティーナに休むように言ってもいいのではないだろうか。
不安そうに震えるウサギ……ではなく姪の、こげ茶色の髪をひたすらずっと撫でながら、長い長い一日がまだ終わってくれない事に軽い絶望感を抱いた。
足元が揺れたのは、そんな時だった。
違うのだ。
ティーナが気を持ち直した後、とりあえず今日はこの部屋に付随した予備の部屋(といっても広い)に泊める事になった。
何といっても今夜は夜会。宿泊客が多く、ただでさえ空き部屋が少ないうえに、そこが安全かどうかを判断する時間的余裕もない。
ここの続き部屋ならば調べてあるというルシエラの言葉に、何か企んでいる気はしたものの、疲労もピークに達していたメイラはつい同意してしまった。
メイラ自身が、ティーナがさらされているものとは比較にならない危険に付け狙われているのを忘れていたわけではない。巻き込む恐れがあるから駄目だと言うべきだった。すぐに父に責任を押し付け……もとい、一任しようとしてはみたのだが、とたんにまた涙ぐみ「やはりご迷惑ですわよね」と嘆かれてしまえば、一晩だけだと受け入れざるを得ない。
コンコン、と部屋の扉がノックされたのはそんな時だ。
こんな時刻に? といぶかしむメイラをよそに、マローが帯剣に手を置きながら来客を迎え入れる。
近衛の女性騎士にせっつかれ、入室してきたのは、見覚えのないくすんだ金髪の男だった。
……誰?
困惑したように室内を見回した男が、「ひっ」と怯えるティーナの姿に険しい表情になる。
それだけで、男の正体がわかってしまった。
おそらくは、何番目か分からないがティーナの義兄だ。
寝ていたところをベッドから強引に連れ出したのかもしれない。乱れた髪形と、着崩した服装……上着を着ていないどころか、シャツのボタンすら半分ほどしか止められていない。
「ティーナ! 一人で勝手にどこに行っていたんだ?!」
さも彼女が悪い、と言いたげな口ぶりに、メイラと同じタイミングでリオネル卿がイラッとしたのがわかった。
メイラは細かく震えているティーナの髪をひと撫でした。
彼女に辱めを与えようと計画していた一件に、この男がどこまで関わっているのかはわからない。がっつり主犯側の人間かもしれないし、逆に何も知らない可能性もある。
しかし、今の彼女の心底怯え憔悴した様子が見えているだろうに、心無い台詞を投げつける事自体が許しがたかった。
「……ルシエラ?」
男を部屋に招くのは感心しないと言っていたその口で、会いたくもない男を部屋に連れてきたのは間違いなく彼女の采配だ。
ジロリと睨むと、まだ気弱な女官の仮面を下ろす気がないルシエラが、怯えたように俯いた。
「御命令通りにお連れしました」
しおらしい白金髪のつむじを見ながら呼吸数回分の間をおいて、ようやくメイラの理解が追いついてきた。
確かに、ティーナを狼の群れに放り込んだ義兄を連れてこいとは言ったけれども!!
「わたくし、またなにか失敗してしまいましたでしょうか」
「……」
うるり、と濡れた瞳で見つめられ、言うべき言葉が頭から滑り落ちてしまった。
ここまでくれば、呆れも通り越して感心してしまう。
美しく嫋やかな女官であるルシエラは、誰が何をどう言おうが被害者の立場に立ち、相手を悪者にしてしまえるのだ。
意図的に作られたそのキャラクターに慄くべきか、怒るべきか。
迷いつつ、やはり釘を刺しておかねばなるまいと表情をけわしくすると、何を思ったか問題の義兄殿がいかつい顔を顰めながらメイラを睨み始めたではないか。
あっさりとルシエラの手管におちた男を、単純と言うべきか、人を疑わない気質だと言うべきか。
えてしてこういう人間は、自分が正しいと思う方が正義だと盲目的に信じて疑わない。
おそらく今彼の頭の中にあるのは、虐められている薄幸の女官と、当たりのキツイ尊大女とでもいったところだろうか。
メイラは、まったく興味はないとばかりに窓の外の方を向いて紅茶を飲んでいる父を恨みがましく一瞥してから、ため息交じりに首を振った。
「いい加減にしなさい」
「そんな、わたくしは精一杯っ」
ルシエラの、悲し気に俯けた顔は、非の打ちどころがないほどに美しい。繊細で、いまにも泣き崩れてしまうようなこの表情を見れば、男女違わずほとんどの人間が憐憫の情を抱くのだろう。
そして彼女を虐めるメイラは悪役で、きっと酷く嫌な女だと思われているのだ。
「……報告を」
「は、はい。御命令通りに、ハインズ伯爵家の御次男さまをお探ししましたところ、ファーン男爵未亡人の部屋に入られ、事に及ばれる寸前でございましたので、大急ぎで徴集致しました」
「……っ」
身もふたもない報告に真っ赤になったのは、当の本人と、聞きたくもないのに義兄の女性関係を聞かされた義妹だった。
「せっかくのお楽しみのところ、お邪魔するのは大変申し訳ないと思ったのですが……御方さまがお呼びでしたのでやむなく」
いや、こちらのせいにしないで欲しい。
それにしても、義理とはいえ妹の所在が不明なのに、よく女のベッドに潜り込もうとしたものだ。
「ああそう。ご苦労様」
急に、何もかもが面倒くさくなってきた。
疲れているのだ。すぐにもベッドに潜り込みたいのだ。
何の説明もせず、理解不能な行動を取るルシエラの御遊びに付き合ってあげる気力はないし、自身が正しいと信じ切っている男の相手もしたくない。
「夜も遅いので、手早く済ませましょう。……用件はひとつ。今夜貴方の義妹さんはわたくしが預かります。どうやら良からぬ輩に狙われているようで、それを貴方は守る気もなさそうですから」
「……はっ?」
「義理とはいえ妹、しかもパートナーの所在がわからなくなっているのに、探そうともせず楽しんでいらした方には何も言う資格はありません。彼女が無断外泊したなどという不名誉な噂が出ても困りますから、一応お知らせしただけです。……お引き取り頂いて」
「はい、御方さま」
呆然とするティーナの義兄の腕を、後ろから近衛の女性騎士が掴んだ。
彼の方もおそらくは騎士なのだろう、がっちりとしていて、体格的には背後の女性よりも恵まれている。とっさに腕を振り払おうとしたようだが、握る女性騎士の手にギリリと音が聞こえてくるほどの力が籠められ、それはかなわなかった。
「ま、待ってください!」
そこまで来てようやく、打ちひしがれ萎れている義妹の様子に気づいたのだろう。今更焦ったような顔をされても遅いのだ。
「いったい何がどう」
「化粧室で、使用人の男に乱暴されそうになっていました」
「はっ? どうしてそんな事に……。ティーナ、共もつれず化粧室に行ったのか? なんというはしたない!」
「……はしたない?」
メイラは、ビクリと肩を揺らし、再び全身で震えはじめたティーナの背中をそっと撫でた。
「ご自身が原因の一旦を担っているというのに、無事だったのかと気遣いもしないのですね」
「……わたしがですか?」
「そんな訳はないと胸を張るのはおやめなさい。腹立たしいだけです」
メイラはそっとティーナの頬に手を添えて、涙にぬれた顔を覗き込んだ。
デリカシーの欠片も見受けられないこの男は、実際の加害者ではないのかもしれないが、吐く言葉言葉で彼女を傷つけている。
「大丈夫よ、大丈夫」
今にも気絶してしまいそうなその様子に、不用意に彼を近づけてしまった事を悔やんだ。
「あとの事は……マロー、お願いできる?」
そう言ったきり、メイラは二度とティーナの義兄の方は見なかった。
そのかわりに、いまだ居座る気満々で紅茶のお代わりを所望する父と、対称的に落ち着かない様子のその孫とを、どうすればこの部屋から追い出せるか思案する。
まさか泊まるつもりでは……ないわよね?
もうこのまま男どものことは無視して、ティーナに休むように言ってもいいのではないだろうか。
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