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ソノゴノ日記
しおりを挟む××日目
ルウォーと暮らし始めてから一月以上が経った。
オレは変わらず家の中に閉じ込められたままで、でもルウォーと過ごす時間はこれ以上なく幸せなので、外に出られなくてもオレは何の不満もない。
でも、ルウォーはオレを一人残して家を出て行くのが気がかりなようで、毎朝玄関でオレの腹に数分顔をうずめて動かない。
肩を叩くとやっと顔を上げて、それからオレを何度も振り返りながら家を出て行く。
その時のルウォーといったら、離れるのが寂しいと言わんばかりに耳も尻尾もへたりと垂れていて、見送っているのはオレの方なのに、ペットを置いて家を出て行く飼い主の気分を味わっている。
××日目
ルウォーがまたよく分からないものを買ってきた。
丸くてもふもふしててクッションかと思いきや、座るとングェだかンギョだかよく分からない音が延々鳴り続ける。
触り心地はいいのにとにかく音がうるさくて、部屋の隅に追いやったらルウォーがまた残念そうな顔をしてた。
そんな残念そうな顔をされても、こうも音がうるさいんじゃクッションとして使えない。
××日目
ルウォーはやたらとオレの腹やら首やら手やらの匂いを嗅いでくる。
犬だから匂い嗅ぐのがクセなのか?
風呂にはちゃんと入ってるから臭くはないはずだし別に良いんだけど、さすがに一時間近くすんすんすんすん嗅がれた時は嫌になって、ルウォーの顔を引き剥がしたら、なんかものすごい顔してた。
この世の終わりみたいな顔っていうのかな。耳も尻尾もへたりと垂れてて、それがかわいそうな気がしてルウォーの頭を撫でてみたら、一瞬でご機嫌になってた。
ルウォーは意外と単純だ。
××日目
今日は驚くことがあった。
ルウォーがなんと、日本のマンガを持って帰ってきた。
まさか異世界で日本のマンガを見ることになるとは。いったいどんな魔法を使ったんだ?異世界から物を取り寄せる魔法だろうか。
ルウォーがにこにこしながらオレに手渡してきたのは、小学生の頃女の子たちの間で流行ってた、変身もののマンガだった。アニメもやってたのは知ってるけど、観たことないからどんな話かはよく知らない。
マンガは陽に焼けてところどころ変色していて、表紙はちょっと汚れてた。
状態が良いとはいえない上に、オレみたいな高校生の男が読むものでもない。
どうしてルウォーがこれを魔法で用意したのかは分からない。
分からないけど、オレはなんでか無性に泣けた。
ルウォーから受け取ったマンガを手にしたまま、気づいたら泣いてた。
自分でもびっくりだ。
ルウォーはオレ以上にびっくりして、あわあわしてた。
ルウォーの気持ちが何より嬉しかった。
一人で家にいるオレのために、気を紛らわせられるようにと用意してくれたのが分かったからだ。
たぶん読んでも面白さは分からないと思うし、全然オレの趣味じゃないマンガだ。
それでもオレにとって、少し汚れたマンガは宝物のように輝いてみえた。
ありがとうって言ってみたけどやっぱり伝わらなかったので、代わりにルウォーに抱きついてみた。ルウォーは嬉しそうにしっぽをぱたぱた振ってた。
マンガは大事に大事に読もうと思う。
××日目
日記に書くのは恥ずかしいんだけど、誰にも相談できない悩みなので書いて気を紛らわそうと思う。
最近の悩みというのは、ルウォーとのセックスについてだ。
ルウォーは犬だからか、とにかくいたるところを舐めてくる。しかもそれがめちゃくちゃ気持ちいいから困る。
ここには書けないようなところまで舐められて変な声まで出ちゃうし、しかも、最近は舐められてない時でもなんというか、身体が変な気分になるというか。
さすがに書いてて恥ずかしくなってきた。
でも、ルウォーとのセックスは気持ちよくて満たされた気持ちになれるから好きだ。ルウォーのアレはでかくて、正直腹がキツくてまだ気持ち良いとまでは思えないけど、それでもルウォーに触れられている時は一等幸せだ。
いつもルウォーはオレを気持ちよくさせようと頑張ってくれている、と思う。
たまにはオレもルウォーに何かしてあげたい。ちょっと頑張ってみようかな。
応援ありがとうございます!
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