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1章 始まりのはじまり
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腹が満腹になり一息ついてから本部へと向かう。昨日通った道をゆっくりと歩きながら庭を眺めると、色とりどりの花が咲いており、綺麗に整備されていた。きっとユキノさんが手入れしてくれているんだろう。
正面玄関の扉を開き中に足を踏み入れると、昨日とは違い人がいた。だいたい30人くらいか。意外と少ないな。これが標準なのか。
そのまま足を進めると、全身に突き刺さるのは視線、視線、視線だ。それのほとんどが悪意や嫌悪、中にはキリヤのように楽しんでいる感じのものもある。キリヤに目をやると、ひらひらと手を振ってきた。それに軽く手を挙げて答え、真っ直ぐ中心に進む。
そんなに見つめるのやめてくれないかな。痛い、痛いんですよ視線が。
ひそひそと、なんてことはなくこちらに聞こえる声で俺について話している。あんなチビが、とか俺より年下じゃね、つぅか顔地味すぎありえなくね?ないわーあのチビとか聞こえてくる。
よーしとりあえず今チビって言った奴全員出てこい。
こめかみを震わせながら全員の前に立つと、視線が一層キツくなる。息を浅く吸って吐いてから話だした。
「チビとか地味とか色々聞こえたんだけど、俺がここの隊長なのは決まったことだから、異議は却下で」
あからさまに歓迎されていない相手に対して丁寧に話しても意味はない。それよりもはっきりと言った方が良いだろうと思って言ったのだが、言うと同時に部屋の中で不満が爆発した。
黙れだうぜぇ、出ていけふざけんな、ドチビ殺すぞ。罵詈雑言の嵐だ。そんな喚きにため息を吐きながら、どう事態を収集しようかと考えていたが、部屋に巻き起こっていた嵐は次の一言で収まる。
「ちょっとーみんないったんストップ。シオンちゃんが困ってるでしょー」
このユルい喋り方はキリヤだ。続くように別の奴が口を開く。
「そうだぞ。いったん全員口を閉じろ。まだ話してる途中だろ、隊長さん」
ソイツは、ゆるくパーマのかかった明るめの茶色の髪を後ろへ流している、兄貴肌って感じのする端正な顔立ちの男だった。たぶんこの中で一番年上っぽい。声に落ち着きがある。
2人が声をかけると、途端にざわつきがおさまった。
「ほら、ツバキもそんなに睨まない。新しく来た人なんだから歓迎するべきだろ」
「…うるせえよ。カエデ、お前どういうつもりだ」
「どうもしないよ。ただ人が話してる時は大人しく聞くもんだろ」
眉を下げて笑みを浮かべながらそう言う姿は、年下の弟を窘める兄だ。驚いた。まともな奴もいるんだな。カエデに窘められたツバキはそっぽを向いたまま、何やらぶつぶつ言っている。まんま弟みたいだなコイツ。
コイツ等の力関係が分かってきた。この3人に他が付き従ってるってカンジか。周りを見渡しながら1人納得する。
「とりあえずさぁ話続けていいよーシオンちゃん」
使いたかったら後ろのボードに名前とか書いていいしーと声をかけてくる。ボードに名前って学院みたいだな、なんて思いながらもいそいそとボードに向かう。
ボードに名前書くとか楽しすぎるじゃん!
うきうきしながらボードに向かい、チョークのような棒をとって真ん中にでかでかと汚く名前を書く。他に何を書こうか。やっぱ趣味とか?
正面玄関の扉を開き中に足を踏み入れると、昨日とは違い人がいた。だいたい30人くらいか。意外と少ないな。これが標準なのか。
そのまま足を進めると、全身に突き刺さるのは視線、視線、視線だ。それのほとんどが悪意や嫌悪、中にはキリヤのように楽しんでいる感じのものもある。キリヤに目をやると、ひらひらと手を振ってきた。それに軽く手を挙げて答え、真っ直ぐ中心に進む。
そんなに見つめるのやめてくれないかな。痛い、痛いんですよ視線が。
ひそひそと、なんてことはなくこちらに聞こえる声で俺について話している。あんなチビが、とか俺より年下じゃね、つぅか顔地味すぎありえなくね?ないわーあのチビとか聞こえてくる。
よーしとりあえず今チビって言った奴全員出てこい。
こめかみを震わせながら全員の前に立つと、視線が一層キツくなる。息を浅く吸って吐いてから話だした。
「チビとか地味とか色々聞こえたんだけど、俺がここの隊長なのは決まったことだから、異議は却下で」
あからさまに歓迎されていない相手に対して丁寧に話しても意味はない。それよりもはっきりと言った方が良いだろうと思って言ったのだが、言うと同時に部屋の中で不満が爆発した。
黙れだうぜぇ、出ていけふざけんな、ドチビ殺すぞ。罵詈雑言の嵐だ。そんな喚きにため息を吐きながら、どう事態を収集しようかと考えていたが、部屋に巻き起こっていた嵐は次の一言で収まる。
「ちょっとーみんないったんストップ。シオンちゃんが困ってるでしょー」
このユルい喋り方はキリヤだ。続くように別の奴が口を開く。
「そうだぞ。いったん全員口を閉じろ。まだ話してる途中だろ、隊長さん」
ソイツは、ゆるくパーマのかかった明るめの茶色の髪を後ろへ流している、兄貴肌って感じのする端正な顔立ちの男だった。たぶんこの中で一番年上っぽい。声に落ち着きがある。
2人が声をかけると、途端にざわつきがおさまった。
「ほら、ツバキもそんなに睨まない。新しく来た人なんだから歓迎するべきだろ」
「…うるせえよ。カエデ、お前どういうつもりだ」
「どうもしないよ。ただ人が話してる時は大人しく聞くもんだろ」
眉を下げて笑みを浮かべながらそう言う姿は、年下の弟を窘める兄だ。驚いた。まともな奴もいるんだな。カエデに窘められたツバキはそっぽを向いたまま、何やらぶつぶつ言っている。まんま弟みたいだなコイツ。
コイツ等の力関係が分かってきた。この3人に他が付き従ってるってカンジか。周りを見渡しながら1人納得する。
「とりあえずさぁ話続けていいよーシオンちゃん」
使いたかったら後ろのボードに名前とか書いていいしーと声をかけてくる。ボードに名前って学院みたいだな、なんて思いながらもいそいそとボードに向かう。
ボードに名前書くとか楽しすぎるじゃん!
うきうきしながらボードに向かい、チョークのような棒をとって真ん中にでかでかと汚く名前を書く。他に何を書こうか。やっぱ趣味とか?
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豆子様
アルファポリスさんでの改めての連載、ありがとうございます!そして、ムーンさんでの新たなお話の投稿ありがとうございます( ;∀;)
最近こちら(アルファポリスさん)の方が読みやすく感じてしまい(笑)改めてこちらで追いかけていきたいと思います!!
まだまだ暑いのでどうぞご自愛下さい。