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間章 番外編
閑話 頑張れ!看護師さん(後編)
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視聴覚検査エリアの惨状を横目に、案内係は不安に駆られながらも、問題の男性確保を優先するため素通りする。
その先で視力検査を終え、採血検査に向かう朝日たちの後ろ姿を見つけた。
「すっ、すみません。神崎様でいらっしゃいますか?」
「はい、そうですけど?」
呼び止められた朝日が振り向く――。
「遅いわね……何かあったのかしら……!! ――はいっ、ナビ本部です」
待機中の案内係が、いまだ連絡がないことに心配を募らせていた矢先、連絡の着信ランプが光った! 呼び出し音が鳴る暇もない速さでインカムを繋ぎ、早口で確認を急ぐ。
「ああ、良かった。それで、例の男性。神崎さんはどうでしたか?」
『それが……とんでもない美少年なんです。それだけでなくて、ほんとヤバいんです。なのでちょっと見てきますね』
「はい? 貴女、見てくる? 一体……何を……言って……」
『だから神崎様って、超可愛いんです。素敵なんです。あっ! ……早くしないと行ってしまわれるじゃないですか。じゃあ、見てきますね』
「いや、だから見てくる見てくるって貴女!? ちょっと、確保、神崎さんの確保を――」
『うへへ。可愛い……可愛いよう……』
あっ、これダメな奴だ。なにかを察してインカムを外し、天を仰ぐ待機中の案内係であった。
それとほぼ時を同じくして、看護師ステーションでは看護十三隊十一番隊隊長『柊明日火』と副隊長の『鳴四場エミリ』がこの惨状に気づき、必死に各ラインの立て直しを指示し始めるところである。
そんな朝日は――看護師さんたちリアクション好きなんだなぁ……。とあえて追究はせず、次の採血検査会場に到着していた。今までと違い採血検査は個室型になっており、部屋は五つ程ある。二番の部屋が空き表示になっており、そこに入ることにした。
「採血か……うーん、注射ってあんまり気がのらないよね」
「うん。だから採血担当はメンタル強くないとできないらしいよ」
「はい?」
朝日の耳にこれまた想像の難しい説明が返ってくる。どういうことかと確認をすると――。
深夜子によると、男性健康診断での採血担当者は嫌われ者の役どころで、男性にとっては注射器を刺すイコール苦痛を与える女性、という扱いらしい。
罵詈雑言を浴びせる者も多く。担当看護師は罵られても宥めすかし、ひたすら気を使わなければならない。実際、この採血担当になって耐えきれず退職する者も珍しい話では無い、とのことだ。
さて、その話しを聞いた。いや、聞いてしまった朝日の頭の中では、採血の担当看護師はとても可哀想な女性のイメージが出来上がってしまうことになった。
「次の方どうぞ」
採血検査では個室対応のため、深夜子は待機室へ、朝日は診察室へと別れる。
「こんにちは。今日はよろしくお願いしますね」
「あ……はい? ……よ、よろしくお願いします」
さすがはメンタルが必要と言われる採血担当の看護師である。朝日の容姿と愛想のよさに、動揺はするが対応は崩れない。すぐに採血前の問診へとうつる。
「神崎朝日さん……ですね。あまりに素敵な男性でびっくりしました。それで、今日の体調はいかがですか?」
「あっ、あの……僕、採血の注射とか全然平気ですからっ、気にしないでくださいね」
「はい!?」
いきなり採血対象の男性に気を使われる。多分、健康診断採血の歴史始まって以来の事態であろう。危うく思考が停止しかける看護師であったが、見事踏みとどまり問診を進める。
「え……えーと。本日は……採血と言うことですが、こちらの注射器は痛みの少ない最新型です。なので安心して――」
「僕なら、痛くても平気です! 看護師さんは僕たちの為に頑張ってくれてるんですから! 文句とか言ったりしないですから!」
「はへ!?」
お気遣いマックスハートの朝日に容赦なくペースを崩される看護師。こんなすれ違いの会話が続くこと数分。
「――うっ、ううう……それで、それでね……本当はあたし、辛くて……辛くて……」
「ですよね。大変なお仕事ですもんね。でも、こんなに優しい看護師さんに酷いことを言うなんて、信じれないです」
「優しい! 優しいって言ってくれるの!? て、天使?」
いつの間にか美少年の人生相談室に成り変わっていた。あれやこれやと朝日が看護師を慰め、しばらくしてから落ち着いたようである。
「ありがとう! あたし……頑張れる気がしてきた!」
「良かったです。じゃあ、そろそろ採血をお願いしますね」
「あっ、そうだったわ。あたしったら……うふふ」
職務を忘れてしまうとは恥ずかしい。看護師はさっと我に帰り朝日の腕を取って、ゴムチューブを軽く巻き血管を浮きだたせる。そして、注射器を手にして腕の血管に針を向けようとしたその時!
――突如、彼女の脳裏に先ほどまでの光景がフラッシュバックする。
自分の事を心配してくれた。
仕事について励ましてくれた。
愛らしい笑顔を向けてくれた。
何より自分を優しいと言ってくれた。
そんな心優しい美少年に、こんな野蛮な針を刺して苦痛をあたえる?
「えっ? ……あり得ない……そんなの……そんな……」
「ちょっ!? な、なんか注射器が三本に見えるくらいに手が震えてますよ?」
ガクガクと震えながら、真っ青な顔で注射器と朝日の顔を交互に見る看護師……そして。
「いやぁあああっ、こんな子にっ! こんな可愛くて優しい子に採血なんて残酷なマネ、あたしできないっ!!」
「えええー?」
逃げる様に部屋を出て行く採血担当であった。
「うわっ!? あれ、朝日君何かあった?」
驚いた深夜子が付き添いの待機部屋から顔を覗かせている。そして部屋に残されたインカムから、雑音と共に何やら聞こえてくるのであった。
『隊長! さ、採血担当が一名逃げ出しました……』
『なんだとぉ! そ、それでも名誉ある十一番隊の隊員かぁっ!?』
そのあと、医師と看護師が数人かがりでなんとか朝日の採血を終わらせる。そのままその医師たちに囲まれながら、内科検診の会場へと移動となった。
その内科検診会場では、何やらもの凄く一仕事終えた感が漂っていた。あちらこちらから安堵の会話が聞こえてくる。どうやら、朝日はこの内科検診を終えれば、レントゲンなどの機械による検診を残すのみとなっており、もう問題はないであろうという判断である。
それに内科部門は、自身も優秀な内科医師の一人である柊明日火直轄の部隊だ。皆、朝日の美貌を楽しめる程度の自制心は持ちあわせている。
しかし、そんな彼女らの余裕は医師が、聴診器をとって発した一言のあと、崩壊する。
「それでは最後に心音などを聞かせてもらいますね」
「あっ、はい。ちょっと待ってくださいね」
おもむろに上半身の診察衣を脱ぎ始める朝日がそこにいた――。
「み、見えちゃってるううっ! これはあたしが隠さねばぁ! いやっふう!」
「ちょっと、深夜子さん!? なんで抱きついて来るのさ! これじゃ服着れないよ? それに、なんか、みんな困ってるみたいだし……」
「くっ……あのMapsは何故……事態を悪化させているのだ?」
そう呟くのは看護十三隊十一番隊第九席内科部隊所属『最峰川キヤラ』である。彼女は朝日についても充分に把握し、隊長の柊とも相談した結果。もう無事に終わるはずだと認識していた。
しかし事態は一転。担当医師は満面の笑みをたたえ卒倒。歓喜の悲鳴を上げた看護師たちにつられて、別ラインの医師と看護師まで集まり、次々とパニックにおちいる始末。
現在、隊長と副隊長は別のライン復帰に手を取られているはず。ならばここは自分が納めるしかないと考える。この現場で最も上席者たる最峰川は、その責務を果たすべく声を張りあげた。
「皆、落ち着けーーーっ! 我々は名誉ある看護十三隊の十一番隊だぞ! この様なことで己を見失ってどうするっ、看護道の心得を思い出せ!」
『看護道の心得』
男性医療の歴史は、Mapsなどの男性保護業と違い非常に古い。当然、その長い歴史の中で、彼女たちは男性対応や自制心を養う為に色々と研鑽を重ね、淑女たり得る教えを説いた、その四十八ヶ条の心得こそが男性医療に携わる者達の教訓となっている。
無論、医師や看護師たちはそれを暗記し、朝礼などで日々斉唱することによって男性への節度ある対応を戒めているのだ!
最峰川は有象無象に成り果てそうな周りにいるものを一喝。その一節を皆で斉唱し、場を収めることを試みる。
「よぉし、全員!『男子ニ見惚レヌ対処法』を斉唱だ! 私に続けぇ!」
「「「「「応!!」」」」」
「看護道の三十三『男子ニ見惚レヌ対処法』! 看護師よ。禁欲の仮面・恋慕・懸想・オトコの名を冠す者に潔癖・節制――」
「んーと、とにかく。ち、ちく……おっぱい隠して! 朝日君」
「えっ? え……と、こう? かな?」
「「「「「てっ、てっ、手ブラぁあああああっ!?」」」」」
嗚呼、誰が言ったのだろうか……手ブラはヘタな上半身裸よりエロいと。嗚呼、わかる。こんな美少年の手ブラ……嗚呼、無理だ。これは無理だ。絶対にあがらえぬ、全てをなぎ払う圧倒的な破壊がそこにある。言葉で拒絶しようと、心で拒絶しようと、魂がそれを理解しているのだ――最峰川キヤラ、七月某日のブログより抜粋。
そして、会場は一瞬にして壊滅した。そんな中で薄れゆく意識を繋ぎ止め、最後の意地をみせる最峰川がいた。
「タダでは、タダではやられんぞ……それでも隊長なら……隊長なら、きっとなんとかしてくれるハズだ……!!」
もう目も見えない。音もほとんど聞き取れない。それでも震える手で、インカム呼び出しに応答をオンにする。
『どうしたっ!? 何がっ、一体何があった!?』
「た、隊長……そ……その、男性が……美少年が……内科検診時に突然上半身裸に――あふん!」
見事に散りゆく最峰川……そんな彼女の想いは届かず。当日、十一番ルートは健康診断続行が不可能となり閉鎖と相成った。そして復旧には丸一日以上の時間を要したと言う。
その先で視力検査を終え、採血検査に向かう朝日たちの後ろ姿を見つけた。
「すっ、すみません。神崎様でいらっしゃいますか?」
「はい、そうですけど?」
呼び止められた朝日が振り向く――。
「遅いわね……何かあったのかしら……!! ――はいっ、ナビ本部です」
待機中の案内係が、いまだ連絡がないことに心配を募らせていた矢先、連絡の着信ランプが光った! 呼び出し音が鳴る暇もない速さでインカムを繋ぎ、早口で確認を急ぐ。
「ああ、良かった。それで、例の男性。神崎さんはどうでしたか?」
『それが……とんでもない美少年なんです。それだけでなくて、ほんとヤバいんです。なのでちょっと見てきますね』
「はい? 貴女、見てくる? 一体……何を……言って……」
『だから神崎様って、超可愛いんです。素敵なんです。あっ! ……早くしないと行ってしまわれるじゃないですか。じゃあ、見てきますね』
「いや、だから見てくる見てくるって貴女!? ちょっと、確保、神崎さんの確保を――」
『うへへ。可愛い……可愛いよう……』
あっ、これダメな奴だ。なにかを察してインカムを外し、天を仰ぐ待機中の案内係であった。
それとほぼ時を同じくして、看護師ステーションでは看護十三隊十一番隊隊長『柊明日火』と副隊長の『鳴四場エミリ』がこの惨状に気づき、必死に各ラインの立て直しを指示し始めるところである。
そんな朝日は――看護師さんたちリアクション好きなんだなぁ……。とあえて追究はせず、次の採血検査会場に到着していた。今までと違い採血検査は個室型になっており、部屋は五つ程ある。二番の部屋が空き表示になっており、そこに入ることにした。
「採血か……うーん、注射ってあんまり気がのらないよね」
「うん。だから採血担当はメンタル強くないとできないらしいよ」
「はい?」
朝日の耳にこれまた想像の難しい説明が返ってくる。どういうことかと確認をすると――。
深夜子によると、男性健康診断での採血担当者は嫌われ者の役どころで、男性にとっては注射器を刺すイコール苦痛を与える女性、という扱いらしい。
罵詈雑言を浴びせる者も多く。担当看護師は罵られても宥めすかし、ひたすら気を使わなければならない。実際、この採血担当になって耐えきれず退職する者も珍しい話では無い、とのことだ。
さて、その話しを聞いた。いや、聞いてしまった朝日の頭の中では、採血の担当看護師はとても可哀想な女性のイメージが出来上がってしまうことになった。
「次の方どうぞ」
採血検査では個室対応のため、深夜子は待機室へ、朝日は診察室へと別れる。
「こんにちは。今日はよろしくお願いしますね」
「あ……はい? ……よ、よろしくお願いします」
さすがはメンタルが必要と言われる採血担当の看護師である。朝日の容姿と愛想のよさに、動揺はするが対応は崩れない。すぐに採血前の問診へとうつる。
「神崎朝日さん……ですね。あまりに素敵な男性でびっくりしました。それで、今日の体調はいかがですか?」
「あっ、あの……僕、採血の注射とか全然平気ですからっ、気にしないでくださいね」
「はい!?」
いきなり採血対象の男性に気を使われる。多分、健康診断採血の歴史始まって以来の事態であろう。危うく思考が停止しかける看護師であったが、見事踏みとどまり問診を進める。
「え……えーと。本日は……採血と言うことですが、こちらの注射器は痛みの少ない最新型です。なので安心して――」
「僕なら、痛くても平気です! 看護師さんは僕たちの為に頑張ってくれてるんですから! 文句とか言ったりしないですから!」
「はへ!?」
お気遣いマックスハートの朝日に容赦なくペースを崩される看護師。こんなすれ違いの会話が続くこと数分。
「――うっ、ううう……それで、それでね……本当はあたし、辛くて……辛くて……」
「ですよね。大変なお仕事ですもんね。でも、こんなに優しい看護師さんに酷いことを言うなんて、信じれないです」
「優しい! 優しいって言ってくれるの!? て、天使?」
いつの間にか美少年の人生相談室に成り変わっていた。あれやこれやと朝日が看護師を慰め、しばらくしてから落ち着いたようである。
「ありがとう! あたし……頑張れる気がしてきた!」
「良かったです。じゃあ、そろそろ採血をお願いしますね」
「あっ、そうだったわ。あたしったら……うふふ」
職務を忘れてしまうとは恥ずかしい。看護師はさっと我に帰り朝日の腕を取って、ゴムチューブを軽く巻き血管を浮きだたせる。そして、注射器を手にして腕の血管に針を向けようとしたその時!
――突如、彼女の脳裏に先ほどまでの光景がフラッシュバックする。
自分の事を心配してくれた。
仕事について励ましてくれた。
愛らしい笑顔を向けてくれた。
何より自分を優しいと言ってくれた。
そんな心優しい美少年に、こんな野蛮な針を刺して苦痛をあたえる?
「えっ? ……あり得ない……そんなの……そんな……」
「ちょっ!? な、なんか注射器が三本に見えるくらいに手が震えてますよ?」
ガクガクと震えながら、真っ青な顔で注射器と朝日の顔を交互に見る看護師……そして。
「いやぁあああっ、こんな子にっ! こんな可愛くて優しい子に採血なんて残酷なマネ、あたしできないっ!!」
「えええー?」
逃げる様に部屋を出て行く採血担当であった。
「うわっ!? あれ、朝日君何かあった?」
驚いた深夜子が付き添いの待機部屋から顔を覗かせている。そして部屋に残されたインカムから、雑音と共に何やら聞こえてくるのであった。
『隊長! さ、採血担当が一名逃げ出しました……』
『なんだとぉ! そ、それでも名誉ある十一番隊の隊員かぁっ!?』
そのあと、医師と看護師が数人かがりでなんとか朝日の採血を終わらせる。そのままその医師たちに囲まれながら、内科検診の会場へと移動となった。
その内科検診会場では、何やらもの凄く一仕事終えた感が漂っていた。あちらこちらから安堵の会話が聞こえてくる。どうやら、朝日はこの内科検診を終えれば、レントゲンなどの機械による検診を残すのみとなっており、もう問題はないであろうという判断である。
それに内科部門は、自身も優秀な内科医師の一人である柊明日火直轄の部隊だ。皆、朝日の美貌を楽しめる程度の自制心は持ちあわせている。
しかし、そんな彼女らの余裕は医師が、聴診器をとって発した一言のあと、崩壊する。
「それでは最後に心音などを聞かせてもらいますね」
「あっ、はい。ちょっと待ってくださいね」
おもむろに上半身の診察衣を脱ぎ始める朝日がそこにいた――。
「み、見えちゃってるううっ! これはあたしが隠さねばぁ! いやっふう!」
「ちょっと、深夜子さん!? なんで抱きついて来るのさ! これじゃ服着れないよ? それに、なんか、みんな困ってるみたいだし……」
「くっ……あのMapsは何故……事態を悪化させているのだ?」
そう呟くのは看護十三隊十一番隊第九席内科部隊所属『最峰川キヤラ』である。彼女は朝日についても充分に把握し、隊長の柊とも相談した結果。もう無事に終わるはずだと認識していた。
しかし事態は一転。担当医師は満面の笑みをたたえ卒倒。歓喜の悲鳴を上げた看護師たちにつられて、別ラインの医師と看護師まで集まり、次々とパニックにおちいる始末。
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『看護道の心得』
男性医療の歴史は、Mapsなどの男性保護業と違い非常に古い。当然、その長い歴史の中で、彼女たちは男性対応や自制心を養う為に色々と研鑽を重ね、淑女たり得る教えを説いた、その四十八ヶ条の心得こそが男性医療に携わる者達の教訓となっている。
無論、医師や看護師たちはそれを暗記し、朝礼などで日々斉唱することによって男性への節度ある対応を戒めているのだ!
最峰川は有象無象に成り果てそうな周りにいるものを一喝。その一節を皆で斉唱し、場を収めることを試みる。
「よぉし、全員!『男子ニ見惚レヌ対処法』を斉唱だ! 私に続けぇ!」
「「「「「応!!」」」」」
「看護道の三十三『男子ニ見惚レヌ対処法』! 看護師よ。禁欲の仮面・恋慕・懸想・オトコの名を冠す者に潔癖・節制――」
「んーと、とにかく。ち、ちく……おっぱい隠して! 朝日君」
「えっ? え……と、こう? かな?」
「「「「「てっ、てっ、手ブラぁあああああっ!?」」」」」
嗚呼、誰が言ったのだろうか……手ブラはヘタな上半身裸よりエロいと。嗚呼、わかる。こんな美少年の手ブラ……嗚呼、無理だ。これは無理だ。絶対にあがらえぬ、全てをなぎ払う圧倒的な破壊がそこにある。言葉で拒絶しようと、心で拒絶しようと、魂がそれを理解しているのだ――最峰川キヤラ、七月某日のブログより抜粋。
そして、会場は一瞬にして壊滅した。そんな中で薄れゆく意識を繋ぎ止め、最後の意地をみせる最峰川がいた。
「タダでは、タダではやられんぞ……それでも隊長なら……隊長なら、きっとなんとかしてくれるハズだ……!!」
もう目も見えない。音もほとんど聞き取れない。それでも震える手で、インカム呼び出しに応答をオンにする。
『どうしたっ!? 何がっ、一体何があった!?』
「た、隊長……そ……その、男性が……美少年が……内科検診時に突然上半身裸に――あふん!」
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