くすぐられて目覚めた夜

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くすぐりの二重奏

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くすぐりの余韻に身を震わせる綾乃。
けれどそれは、まだ序章に過ぎなかった。

「綾乃様、もう少し、深くまで…お連れしてもよろしいでしょうか」

礼司の声は、まるで深夜のワインのように艶やかに響く。
蒼一郎は微笑みを浮かべながら、礼司の指先とまったく逆のリズムで、綾乃の太ももの内側にそっと指を這わせた。

「ひゃあっ…!あ、あっ…そ、そこ…っ、変な感じになっちゃう…っ!」

「ええ、そうでしょうとも。だって、綾乃様のとっておきの場所ですから」

礼司は耳元で囁きながら、脇腹をくすぐる指を、腰のくびれへとゆっくり移していく。
蒼一郎は膝裏からふくらはぎへ、そして足の甲を包み込むように撫で回しながら、足首を掴み、甘く、確実に動きを封じていく。

「いやぁ…んっ、もう、無理ぃ…っ!からだ、勝手に笑って…!」

綾乃の声が、もはや悲鳴にも似た甘い震えを帯びる。
けれど、ふたりの執事の指先は迷わない。
礼司が背中から背骨に沿ってくすぐりを刻めば、蒼一郎は足指の間を爪の先でそっとこちょこちょと摘まみ、逃げ場を与えない。

「こんなにも敏感になって…素直で、愛らしい反応ですね」

「まるで音楽を奏でるように。綾乃様のすべてが、私たちの旋律に応えてくださっている」

綾乃は、身をよじって逃げようとするたびに、余計な刺激を受けてしまう。
脇をくすぐれば、足が跳ね、そこをすかさず蒼一郎が捕らえる。
太ももをなぞれば、上半身がくねり、礼司の指が背中を執拗に撫でる。
まるで、どこにも逃げ道のない夢の中。

「やっ…ふたりでそんな…ずるい…っ、しあわせになっちゃう…っ!」

「それでよろしいのです、綾乃様」

礼司が耳元で囁いた瞬間、蒼一郎の指が内腿を駆け上がり、くすぐりという名の愛撫が、鼠径部のすぐそばで旋律を奏でる。

「やああっ!そ、そんなとこまで…っ、ああああっ…!」

綾乃の笑いと喘ぎが、天井の高みへと舞い上がっていく。
けれど、その声こそが、ふたりの執事にとって最も甘美な賛美歌。
手を止める理由など、どこにもなかった。

「綾乃様、あなたの喜ぶ顔が、私たちにとってすべてです」

「もっと…もっと、奏でさせてください」

手のひらが、指先が、舌が――
まるで指揮者と楽器のように、見事な調和で綾乃の身体をくすぐり尽くす。

そして彼女は、甘く、激しく笑いながら、歓喜の波に溶けていった。
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