くすぐり愛 ― 偏執の紳士と聖女ティアナ

文字の大きさ
13 / 17

再会のくすぐり

しおりを挟む
夜の帳が降りていた。
薄いレースのカーテンが風に揺れ、月光が室内にやさしく降り注ぐ。

ティアナはひとり、ベッドの上に腰掛けていた。
身に纏うのは、絹のナイトドレス。肩先から鎖骨のあたりまで、ほのかに透ける布が彼女の肌の白さを際立たせる。

──指先が、触れた。
あの夜。彼の指が、肌をなぞり、音もなくくすぐったあの感触を──ふいに、思い出す。

「レオニス……」

その名を呟いたちょうどそのとき、扉が、静かにノックされた。

彼の帰還は、知らせを受けていた。
けれど実際に彼がこの扉の向こうに立っていると気づいた瞬間、ティアナの心臓は、急に不規則に鼓動を刻み始めた。

──鍵を開けると、彼がいた。
黒の礼服の上着を手に持ち、旅の疲れを微塵も見せない、穏やかで鋭いその瞳。
ティアナの視線と、彼の視線が、静かに重なる。

「……おかえりなさい、レオニス様」

彼は微笑んだ。
一歩、また一歩と、ティアナに近づく。

「ただいま、ティアナ。ずいぶん、君の夢を見ていたよ──指先の感触までも、覚えているほどにね」

彼の手が、そっとティアナの頬に触れる。
その温もりと同時に、彼女の頬がほんのりと熱を帯びた。

「そんな…意地悪。思い出すだけで……」

レオニスは彼女の手を取り、ゆっくりとベッドに導いた。
ティアナは、彼の胸元に顔を預けるようにして、軽く息を吐く。

──そして。

レオニスの指先が、そっと、ティアナの耳の後ろを撫でた。
ごく軽く、まるで絹糸がすべるような感触。

「っ……ふっ……く、すぐったい……」

反射的に肩が跳ねる。
けれど彼の指先は動きを止めず、まるで“忘れかけていた旋律を思い出すように”、静かに、そして執拗に肌をたどってゆく。

耳の後ろから、首筋、鎖骨へ。
そのくすぐりは、笑わせるというよりも、「心をほぐし、開かせる儀式」のように思えた。

「ティアナ……この辺りが、特に敏感だったね」

レオニスは囁きながら、今度は指先を彼女の脇の下のあたりへ滑らせる。
服の上からではあるけれど、彼女の柔らかな肉がぴくりと震えた。

「やっ…! だ、だめ……そこは……ぁ、ふふ……」

くすぐったさを堪えながらも、ティアナの笑いは、甘く濡れていた。
“やめて”の中に、“もっと”が混ざる──

くすぐったさというのは、不思議な感覚だった。
快楽とも違い、痛みでもなく、けれど抗えない。
逃れようとするほど、身体の奥の奥まで入り込んできて、自分でも知らなかった快感の芽を震わせてくる。

レオニスは、そんなティアナの揺れを、楽しむかのように、けれどとても優しく受け止めていた。

「ほら、ここも──君は、覚えていたかい?」

そう言って、彼の指が今度はお腹の下腹部に触れる。
そっと、ゆっくりと円を描くように、くすぐりが続けられる。

「ぁ……うそ……そこ……ふ、ぁ……だめぇ……」

声が、甘く震える。
ティアナは自分の身体が、自分の意思とは別に、震え、熱を帯びていくのを感じていた。

レオニスは、ただ“くすぐるだけ”。
けれどその指先が触れるたび、ティアナの身体は記憶を呼び起こされ、愛されることを思い出していく。

「ティアナ。君の身体は、言葉よりも雄弁だ。──ずっと、俺の指を待っていたようだね」

「そんな……ぁ、レオニス様が、わたくしを……こんなふうに……」

「……くすぐりは、“心の封印”をほどく儀式だ。
君がどんなに言葉で拒んでも、この指は、君の真実を引き出す──
ほら、こうして……」

ティアナの太もも内側。
触れられた瞬間に、彼女の身体は小さく跳ね、笑いと息の混ざる声が漏れた。

「ん……っ、ふふっ……あっ、だめ……いや……ぁ……」

その声は、拒絶でも命令でもない。
くすぐられながら、自らを許し、委ねていく声──愛される悦びを、歌うような声だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

👨一人用声劇台本「寝落ち通話」

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
彼女のツイートを心配になった彼氏は彼女に電話をする。 続編「遊園地デート」もあり。 ジャンル:恋愛 所要時間:5分以内 男性一人用の声劇台本になります。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

処理中です...