くすぐり愛 ― 偏執の紳士と聖女ティアナ

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やめて、だけど、やめないで

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ティアナの身体は、レオニスの指先によってくすぐられ、愛撫され、
そして今──抱き寄せられたまま、静かな余韻の中に揺れていた。

けれど、それは「終わり」ではなかった。
むしろ、すべてはここから始まるために、くすぐられていたのだと──彼女の身体は、うっすらと理解しはじめていた。

レオニスの手が、背中をすべり、腰へ。
そして、彼女の体温に包まれた足の間、わずかな隙間へ、指が音もなく入り込んでいく。

「っ……また、そこ……ふふ、あっ……」

笑ってはいけない。
けれど、笑ってしまう。
しかもそれは、次第に熱を帯びた笑いへと変わってゆく。

──ティアナの背中が小さくのけ反る。
レオニスは、その動きを受け止めるように彼女を支えながら、くすぐる手を止めない。

「ティアナ……君の身体は、僕の指の動きだけで、こんなにも……」

「やぁ……っ、も、もう……レオニス様の、指が……ふぁ……」

「……ほら、ここも忘れてはいけない」

そう囁いた彼の指が、今度は彼女の内腿の付け根──脚を閉じたときに隠れてしまうそのやわらかで敏感な部分に、そっと触れた。

「ふぁっ……そ、そこ……ぁ……ぁは……やめ……っ、だめ……」

ティアナの声は、もう「笑い」だけではなかった。
恥じらい、快感、そして微細な罪悪感すらまじったような震え。

その場所が、どうしようもなくくすぐったいこと。
そして、くすぐられるたびに、どうしようもなく濡れてしまう自分がいること。
彼女自身がいちばん、戸惑っていた。

だが──レオニスはそのすべてを、慈しむように受け止めていた。

「大丈夫だ、ティアナ。
ここは君の“もっとも繊細な扉”だ。くすぐられるたびに、内側から震えて……
心が、身体を許してゆく──そういう場所だよ」

指先は、押し込まず、掻きむしらず。
ただ、そっと“ふれる”だけ。
それだけでティアナの太腿は震え、背筋にぞくりとした甘い衝撃が走った。

「ぁ……んっ……ふふ……やっ……いや……でも……」

「……やめる?」
レオニスは静かに問うた。
けれど、その声には、“やめられないことを知っている者”の慈愛があった。

ティアナは、目を伏せ、唇を噛み──そして、ごくわずかに首を横に振った。

「……もっと……くすぐってください……レオニス様」

それは、命令でも、願いでもない。
ただ、心の奥から漏れ出た、無垢な愛の音だった。

そして──彼のくすぐる手が、ふたたび彼女の身体をたどりはじめる。

今度は、胸の下からゆっくりと脇にかけて。
やわらかく、ふくらみを避けるように、でも輪郭をなぞるように。

「ひゃ……っ、んっ……ふ、ふふっ……やぁっ……」

ふくらみのすぐ下をなぞられたとき、くすぐったさとともに、奥の奥が痺れるような快感が走った。
笑っているのに、同時に、身体が疼いていく──その矛盾が、彼女をとろけさせていく。

くすぐりという名の愛撫。
愛撫という名のくすぐり。

その境界が消えていく夜の中で、ティアナの心はゆっくりと溶けて、彼に染められていった。

やがて、レオニスはくすぐる手を緩め、彼女の身体をそっと抱きしめた。
何も語らず、ただ、胸の鼓動だけを聴かせるように。

ティアナはその胸元で目を閉じ、くすぐられたあとの余韻に身を委ねていた。

──くすぐったさの中に、
笑いと涙と快感が混じっていたあの夜。

それは「愛する」という行為の、もっとも静かで繊細なかたちだった。
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