くすぐり愛 ― 偏執の紳士と聖女ティアナ

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秘められた場所へのくすぐり──羞恥と悦びの揺らぎ

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夜はますます深まり、風は窓辺で音もなく揺れていた。
ベッドの上、ティアナは微睡みの中で、レオニスのぬくもりに包まれていた。

けれど──
彼の指が、ふいに「まだ触れていない場所」を求めて彷徨いはじめたとき、
ティアナの身体は、眠りからそっと引き戻された。

「……ねえ、ティアナ。まだ君が知らない、“笑いの扉”があると思わないかい?」

その低く響く声に、ティアナは戸惑いを浮かべる。

「……もう、じゅうぶんに……レオニス様には……全部知られてしまったと思っておりましたのに」

「それは、君が“知っている範囲”での話だよ。
君がまだ知らない君自身──そこを、今日は見つけてあげたいんだ」

その言葉は、優しくて甘くて──けれど、どこか背徳の予感を孕んでいた。

ティアナは思わず、シーツをぎゅっと掴んだ。
くすぐったいという感覚に、これ以上翻弄されたら、自分は壊れてしまうかもしれない。
けれど──
その壊れ方を、レオニスになら委ねてもいいと思える自分がいた。

「……ええ。どうか、わたくしに教えてください。
わたくしがまだ、知らぬ“わたくし”を──レオニス様の、指で」

レオニスのくすぐる手が、ゆっくりと彼女の耳の裏側のさらに奥、小さな窪みに滑り込んだ。

「ひゃっ……あっ、なに……っ、ふふっ、そこ、しら……ない……っ、や、あっ、くふっ……!」

予想もしなかった場所に、軽くふれるだけ。
それだけでティアナの背中がびくん、と弾けるように跳ねた。

「ここ……随分反応がいい。まるで、鍵穴のようだ」

彼の言葉が耳朶にこぼれ落ちる。
くすぐったくて、恥ずかしくて、でも逃げられない。

「っ、やっ……恥ずかしい……そんな場所……っ、知られたくなかった……のに……っ」

「知られたくない場所こそ、愛する者には見せるべきだと思わないかい?」

そう囁かれた瞬間、ティアナの胸が熱くなった。
“羞恥”と“悦び”が混ざりあって、形を失っていく。

次に、レオニスの指は、彼女の手のひらの中心から、薬指と小指の股の間へ。
そこは、かすかなくすぐったさが“芯”に響いてくる場所──

「ひゃあっ……そこ、なに……っ、あっ……ふぁ……やめて、っ、だめぇ……っ」

けれど、レオニスは一切強くは触れない。
ただ、“皮膚の意識をなぞる”ように、軽く、軽く、くすぐる。

ティアナの脚が、シーツの上で無意識にのたうった。
それでも彼のくすぐる手は、さらに“逃げられない深み”へと入ってくる。

次は、脚の付け根──太腿の内側と胴体の境界線。
自分でも滅多に触れない、極めて個人的で、くすぐられるなんて想定外の場所。

「だっ、だめっ、そんな……そこ……っ、あっ……あっは、ふっ、ひゃんっ……!!」

ティアナの声は、もう笑いと喘ぎの中間に落ちていた。
羞恥に火照る頬に、涙がにじみはじめる。

でも、苦しいのではない。
心の深部が解放されていく感覚に、身体が追いつけないだけだった。

「レオニス様……わたくし……くすぐられると、なぜこんなに……っ、感じて……しまうの……」

「それは、ティアナがもう、“笑い”と“快感”の境界を越えているから。
羞恥が悦びになる地点まで、今夜、来たんだよ」

そして、最後に彼の指が辿り着いたのは、
彼女の脇腹と胸のふくらみの間──微妙に沈む柔らかな谷間。

「っ……そこ、そこだけは、だめ……っ」

「なぜ?」

「わたくし……そこだけは……くすぐられると、笑いではなく……なにか、もっと奥が疼いてしまって……」

「……それで、いいじゃないか」

囁くと同時に、指先がそこに、そっと触れた。

「……あっ……ふ、ふあぁっ……ぁぁ……っ、ああっ、レオニス様ぁ……っ!」

ティアナの身体が小刻みに震えた。
笑うというより、くすぐったさで絶頂へと達していくような、深い悦びの波が、彼女をさらっていった。

息も絶え絶えに、ティアナはレオニスの胸に崩れ落ちた。

くすぐられた場所。
くすぐられた感情。
そのすべてが、彼の中に刻まれていくことを、
なぜか心地よく、そして誇らしく感じていた。

「……レオニス様。わたくし、くすぐられるたびに、貴方に愛されていると感じますの」

「そして俺は、ティアナの“いちばん深いところ”を、笑わせながら抱いていたよ」

ふたりはそのまま、肌と肌を重ねて静かに目を閉じた。
くすぐられた記憶が、体温とともに身体に残り、
次の夜へと、静かに種を蒔いていった。
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