くすぐり紳士クラブのお話

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もう一度、最初の夜の別の場面を

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深く張りのあるソファに腰を落ち着けた沙耶は、脚を組み替えながら、ふと目を伏せた。
その仕草にどこか、自分でも気づかない緊張がにじむ。

対する紳士は、静かな眼差しのまま、少し身を乗り出した。
「沙耶さん。くすぐられるという体験に、まだどこか迷いがありますか?」

「……ええ、正直に言えば、はい」
沙耶は素直にうなずき、唇を軽く噛む。

「でも、それと同じくらい…いえ、それ以上に興味があるの。どんな気持ちになるのか、自分でも知りたいのよ」

「とても素直で、勇気ある言葉ですね」
紳士の声音は、柔らかな絹のように包み込む。

「くすぐりは、単なる戯れとは違います。身体が敏感に反応するからこそ、自分を委ねる覚悟と、信頼が必要になる」

「……それは、痛みを伴わないのに、どうしてこんなに怖いのかと思っていた理由に似てるかも」
沙耶の声には、かすかな驚きと、気づきの色が浮かんでいた。

「そうです。痛みではなく、快感に似たくすぐったさが、心の奥をそっと刺激する。逃げたくなるのに、どこか求めてしまう。その境目を、ふたりで見つけていくのです」

沙耶は、ソファの肘掛けに手を添えて、小さく息をついた。
「じゃあ……私は、逃げてもいいの?笑い転げて、やめてって言っても、それでも――信じてもいいの?」

「もちろんです」
紳士ははっきりと頷いた。

「その反応も、あなたの大切な意思表示です。ただし、面談の中で“どこまで挑戦してみたいか”を、あらかじめ私に預けていただければ…あなたの限界を尊重しながら、でもその手前で、ふわりと責めることができます」

沙耶は笑った。
その笑みには、緊張の影が薄れ、好奇心と甘えが混じっている。

「なんだか……面白い人ね」
「それは褒め言葉として、いただきます」
「じゃあ、お願い。ちょっとだけ、ほんの少しだけ、私をくすぐって…確かめてみたい」

紳士は静かに立ち上がると、テーブル越しにゆっくりと手を伸ばした。

「では、まずは指先で――あなたの“笑いの扉”を、そっとノックさせていただきましょう」

沙耶の手首がやんわりと取られ、わきの下がひらかれる。
その中心を、くすぐり紳士の指先が、ふわり――と、撫でた。

「ふ、くっ……」
一瞬のくすぐったさに、沙耶の肩がびくりと跳ねた。

「今の感覚、どうでしたか?」

「……っ、笑っちゃいそうだった。思ったより、ずっと……やさしい」

「それなら、もう少し続けましょう」
紳士はにっこりと微笑んだ。「今日の沙耶さんには、“触れられる喜び”を感じていただくのが目的ですから」
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