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女同士、ツボを心得たくすぐり
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その女は、まるで一幅の絵画だった。
深紅の絹のドレスは腰から流れるように広がり、
背筋は一本の茎のように伸び、白磁の肌が月明かりを照り返す。
その手には、肘上までの長いシルクの手袋――
指先が、わずかに綾乃を指し示すだけで、空気が震えた。
「お初にお目にかかります、綾乃様。
私は“セシリア”――この館で、女性だけに悦びを捧げる者。」
セシリアと名乗った貴婦人の声は、低く、澄んでいた。
その語り口には、どこか母のような慈しみと、狩人のような鋭さが同居していた。
「私の指先は、女の身体が持つ“恥じらいの微熱”に触れるためにあります。
とくに――“くすぐられながら愛されたい”と願うお嬢様には、ね。」
その言葉に、綾乃の頬が熱を帯びる。
図星を指されたような――いや、もっと深く、心の奥を覗き込まれたような感覚。
「ふふ……この微細な反応が、私の好物ですのよ。」
セシリアはゆっくりと綾乃に近づく。
シルクの手袋をはめた指先が、まずは頬に、次に耳朶に、そして首筋に。
「さあ、脱ぎましょう。すべてを――心も、衣も。」
綾乃は息を呑みながら、言われるがままにワンピースの肩紐を外し、そっと布を滑らせていく。
下着姿になった綾乃を、セシリアは美術品を眺めるように微笑みながら、柔らかいソファに導いた。
「恥ずかしがらないで。これは女同士の儀式――
身体の悦びに、“触れられることを許す”という高貴な契約。」
セシリアは椅子の後ろに回ると、綾乃の両手を頭の後ろに上げさせ、
その脇腹と肋骨のあいだに、シルクの指先を滑り込ませた。
「ひあっ――! く、くすぐった……!」
綾乃の声が跳ねる。シルク越しの感触は、素肌よりもむしろ官能的だった。
それは羽根でもブラシでもない――“人の手”だからこその生々しさが、絹の膜に包まれて濾過される。
「ふふ、女のくすぐったさは、脳よりも子宮で感じるのですわ。
この辺りなど――」
指が、肋骨から下腹部へと下りていく。
腹筋のわずかな溝をなぞるように、指が這い、時折立ち止まってはくすぐる。
「うあ……やっ、そこ……っ、だめ、変な感じ……!」
「ええ、その“変な感じ”が快感の芽ですのよ。」
セシリアの指は容赦なく綾乃の腹部を嬲り、
脇腹へ戻ってから、今度は脇のくぼみにゆっくりと指を沈める。
「ひっ、ははっ……や、やだ……! 笑っちゃ……んふ、んあ……!」
くすぐったさと羞恥と、微かな熱の波が交互に押し寄せて、綾乃の身体はくねる。
手を拘束されているわけでもないのに、逃げられない――それが、“女性にくすぐられる”という支配だった。
「ここも忘れてはなりませんわ――」
セシリアの手が、足元へと滑り降りる。
膝裏、足首、土踏まず。シルク越しのタッチが、そこだけ体温を奪っていくようにくすぐったく、そして艶めかしい。
「きゃあっ、あっ、や、そこ……! だめ、足、弱いの……!」
「足は女の“拒絶”の象徴ですものね。でも、本当は誰よりも感じやすい。
特に貴女のような方は……ほら、この指の動きに……」
セシリアは、土踏まずを螺旋を描くように撫でながら、くすぐりというより“焦らし”を与えていく。
綾乃は目を閉じて、身をよじりながら笑い声と喘ぎを漏らし続けた。
どれほどの時間が過ぎたのか――
セシリアは満足そうに微笑みながら、最後に綾乃の頬へと手を添えた。
「貴女は素晴らしいわ。くすぐられながら悦びに変えるその才能……
あの執事殿が嫉妬してしまうのも、無理ないですわね。」
その言葉に、綾乃の心が微かにざわめいた。
「彼が……?」
「ええ。彼はあまりにも“独占欲”が強すぎるのよ。
貴女が他の誰かの手で笑うことを、きっと――許せないわ。」
――その瞬間、綾乃の心に宿った快感が、淡い罪悪感へと変わる。
だがその一方で、彼の“嫉妬”を想うと、なぜか胸の奥が疼くのだった。
深紅の絹のドレスは腰から流れるように広がり、
背筋は一本の茎のように伸び、白磁の肌が月明かりを照り返す。
その手には、肘上までの長いシルクの手袋――
指先が、わずかに綾乃を指し示すだけで、空気が震えた。
「お初にお目にかかります、綾乃様。
私は“セシリア”――この館で、女性だけに悦びを捧げる者。」
セシリアと名乗った貴婦人の声は、低く、澄んでいた。
その語り口には、どこか母のような慈しみと、狩人のような鋭さが同居していた。
「私の指先は、女の身体が持つ“恥じらいの微熱”に触れるためにあります。
とくに――“くすぐられながら愛されたい”と願うお嬢様には、ね。」
その言葉に、綾乃の頬が熱を帯びる。
図星を指されたような――いや、もっと深く、心の奥を覗き込まれたような感覚。
「ふふ……この微細な反応が、私の好物ですのよ。」
セシリアはゆっくりと綾乃に近づく。
シルクの手袋をはめた指先が、まずは頬に、次に耳朶に、そして首筋に。
「さあ、脱ぎましょう。すべてを――心も、衣も。」
綾乃は息を呑みながら、言われるがままにワンピースの肩紐を外し、そっと布を滑らせていく。
下着姿になった綾乃を、セシリアは美術品を眺めるように微笑みながら、柔らかいソファに導いた。
「恥ずかしがらないで。これは女同士の儀式――
身体の悦びに、“触れられることを許す”という高貴な契約。」
セシリアは椅子の後ろに回ると、綾乃の両手を頭の後ろに上げさせ、
その脇腹と肋骨のあいだに、シルクの指先を滑り込ませた。
「ひあっ――! く、くすぐった……!」
綾乃の声が跳ねる。シルク越しの感触は、素肌よりもむしろ官能的だった。
それは羽根でもブラシでもない――“人の手”だからこその生々しさが、絹の膜に包まれて濾過される。
「ふふ、女のくすぐったさは、脳よりも子宮で感じるのですわ。
この辺りなど――」
指が、肋骨から下腹部へと下りていく。
腹筋のわずかな溝をなぞるように、指が這い、時折立ち止まってはくすぐる。
「うあ……やっ、そこ……っ、だめ、変な感じ……!」
「ええ、その“変な感じ”が快感の芽ですのよ。」
セシリアの指は容赦なく綾乃の腹部を嬲り、
脇腹へ戻ってから、今度は脇のくぼみにゆっくりと指を沈める。
「ひっ、ははっ……や、やだ……! 笑っちゃ……んふ、んあ……!」
くすぐったさと羞恥と、微かな熱の波が交互に押し寄せて、綾乃の身体はくねる。
手を拘束されているわけでもないのに、逃げられない――それが、“女性にくすぐられる”という支配だった。
「ここも忘れてはなりませんわ――」
セシリアの手が、足元へと滑り降りる。
膝裏、足首、土踏まず。シルク越しのタッチが、そこだけ体温を奪っていくようにくすぐったく、そして艶めかしい。
「きゃあっ、あっ、や、そこ……! だめ、足、弱いの……!」
「足は女の“拒絶”の象徴ですものね。でも、本当は誰よりも感じやすい。
特に貴女のような方は……ほら、この指の動きに……」
セシリアは、土踏まずを螺旋を描くように撫でながら、くすぐりというより“焦らし”を与えていく。
綾乃は目を閉じて、身をよじりながら笑い声と喘ぎを漏らし続けた。
どれほどの時間が過ぎたのか――
セシリアは満足そうに微笑みながら、最後に綾乃の頬へと手を添えた。
「貴女は素晴らしいわ。くすぐられながら悦びに変えるその才能……
あの執事殿が嫉妬してしまうのも、無理ないですわね。」
その言葉に、綾乃の心が微かにざわめいた。
「彼が……?」
「ええ。彼はあまりにも“独占欲”が強すぎるのよ。
貴女が他の誰かの手で笑うことを、きっと――許せないわ。」
――その瞬間、綾乃の心に宿った快感が、淡い罪悪感へと変わる。
だがその一方で、彼の“嫉妬”を想うと、なぜか胸の奥が疼くのだった。
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