くすぐり執事とくすぐら令嬢

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礼司の心の内 ― “彼女の笑いを奏でる”喜び

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綾乃がくすぐったさに身を震わせるそのたびに、礼司の心には、甘やかな火が灯る。
それは欲望とも言えるが、もっと深く――彼女のすべてを知り、支配ではなく「委ねられている」と感じる悦び。

彼女の耳に指先をそっと差し入れたとき、礼司の心は静かに高鳴っていた。
目を閉じ、声も抑えきれずにくすぐったがる綾乃の様子は、どんな宝石よりも美しい。

「この細い耳の中に、こんなにも敏感な快楽があるとは……」

ただ笑わせるだけではない。
くすぐることで、彼女の“無防備な反応”を引き出す。
その信頼と、素直な心と、秘めた悦びに触れられるこの時間は――
礼司にとって最高の芸術を奏でる瞬間に等しい。

脇の下や脇腹をくすぐるときも同じ。
逃げようとしながらも、彼に体を預けてくる綾乃。
彼はその様子を、決して見下すような目では見ない。

「彼女を笑わせることは、彼女を愛し尽くすこと」

指先の動き一つひとつが、愛撫にも似た想いの表現。
いじわるになれるのも、彼女が心を許してくれるからこそ。

「どこがいちばん弱いのか、どんな笑い方をするのか――
全部、私が知っていたい。そして、私だけが引き出したい……」

彼にとって、くすぐるという行為は、愛の対話そのもの。
言葉では届かない想いを、皮膚と神経を通して伝える。
そして、彼女の“笑い”という純粋な音色が、それに応えてくれる――

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