不死の魔法使いは鍵をにぎる

:-)

文字の大きさ
35 / 201

屋敷への許可

しおりを挟む
どうしたもんかと眺めていると、シュワーゼの兄が来たほうから女が駆けてくる。



「シュワーゼさんブルデさん喧嘩しないでください」

「レフラ」



ぎゃーぎゃー騒ぐ声を聞きつけたのか、噂の先生とやらが来たようだ。
偉ぶった態度で兄弟に苦言する。



「ブルデさん一緒に探してくれてありがとうございます。でも往来で喧嘩するのはよろしくないですよ。シュワーゼさん。かくれんぼは屋敷の中と言ったはずです。ただでさえ魔法勉強の時間をかくれんぼに変更したのに、約束を破ってはいけませんよ」



「ごめん」と落ち込む兄に対して、「はーい」と気のない返事でふてぶてしい態度のシュワーゼ。



「それで、あなたは誰ですか?」



一通り兄弟に物申してからこちらを向いた。
不信感を露わに軽くにらみつけてくる。

面倒だなと目をそらすと、代わりにシュワーゼが答えた。



「ぼくの先生になってもらう人。屋敷に連れていくね」

「シュワーゼさん!?」



女の顔から血の気がひいて膝から崩れ落ちる。
ああ、女からしてみれば解雇宣言か。



「ぼくはこの人から教わる。レフラからは兄さんが教わるよ。父さんにもそう言っておくね」



衝撃を受ける女とそれを慰める兄。
その横をすり抜けてシュワーゼは歩き出す。






「巻き込んでごめんね。でもこれで屋敷も自由に出入りできるから」

「あの女技術ないのか」

「ないね。知識ばっか。教わることが正直ないんだよね。知識ならもう十分持ってるもの。ぼくの魔力の異常にも気づかないし。魔力感知能力低いよ」



魔力の異常、とはユーゲンのときに感じたなんとも言えない気持ち悪さだろうか。









魔力は一人ひとり違う個性がある。

さらりとしているもの。
やわらかいもの。
とげとげしいもの。

人によっては匂いや色を感じるという者もいる。
感じ方は人によって違うが、魔力にはその人固有の質があるのだ。




ユーゲンの魔力には“これ”と明言することのできない気持ち悪さがあった。
複数の特徴がまだらに存在して混ざり切っていないような気持ち悪さ。








「黒色肌だから魔力量はある。でも意思通りには動いてくれない。3割くらいかな。実感として動かせてるのは。動かせても全然魔法として発現しないんだけどね。成功するのはたまにだな。

それをあの人、的外れなこと言うんだよ。理論を理解すればできるようになるとか。自分の魔力をきちんと感じてくださいとか。

理論は理解してるし、魔力もちゃんと感じてるんだけど」



あの女とシュワーゼは相当相性が悪いらしい。
ノーラやユーゲンのときに誰かに対する怒りの発言は聞かななかった。



「まずは呪いを解く方法が知りたいよね。理由は突き詰めたいけどきっと呪いのせいだろうから」






そうこう言っているうちに屋敷へ着いたらしい。

各敷地を区切る柵から屋敷入口までが長い。
そして広い屋敷に比べたら可愛く見える、それでも田舎地域の一般家庭程はある大きさの施設が敷地内に点々と建っている。



「まずは父さんに会わなきゃ。ゲルハルトの許可もらわないとね。この時間だとどこにいるかな」





屋敷へと足を踏み入れ、通りがかった使用人に聞く。


執務室に居たシュワーゼの父親との話はすんなりとまとまった。

シュワーゼが思うように好きにするといい、という態度。
信頼されているからこその放任。

生まれ変わりで蓄積された知識を生かして、動きやすい環境づくりをうまいこと行っていたようだ。





「よし。これで大丈夫だね。これからはゲルハルトは自由に出入りできる。ゲルハルトから会いに来てくれると嬉しいな。ぼくは特区の外にはあんまり出れないから。じゃあぼくの自室に行こうか。お互いの状況把握をしたい。昨日はぼくが興奮してて話せなかったからね」


よくわかってるじゃないか。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。

しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。

夫に捨てられた私は冷酷公爵と再婚しました

香木陽灯
恋愛
 伯爵夫人のマリアーヌは「夜を共に過ごす気にならない」と突然夫に告げられ、わずか五ヶ月で離縁することとなる。  これまで女癖の悪い夫に何度も不倫されても、役立たずと貶されても、文句ひとつ言わず彼を支えてきた。だがその苦労は報われることはなかった。  実家に帰っても父から不当な扱いを受けるマリアーヌ。気分転換に繰り出した街で倒れていた貴族の男性と出会い、彼を助ける。 「離縁したばかり? それは相手の見る目がなかっただけだ。良かったじゃないか。君はもう自由だ」 「自由……」  もう自由なのだとマリアーヌが気づいた矢先、両親と元夫の策略によって再婚を強いられる。相手は婚約者が逃げ出すことで有名な冷酷公爵だった。  ところが冷酷公爵と会ってみると、以前助けた男性だったのだ。  再婚を受け入れたマリアーヌは、公爵と少しずつ仲良くなっていく。  ところが公爵は王命を受け内密に仕事をしているようで……。  一方の元夫は、財政難に陥っていた。 「頼む、助けてくれ! お前は俺に恩があるだろう?」  元夫の悲痛な叫びに、マリアーヌはにっこりと微笑んだ。 「なぜかしら? 貴方を助ける気になりませんの」 ※ふんわり設定です

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

救国の代償で白髪になった聖女、一度のミスを理由に「無能の戦犯」として追放される ~隣国の覇王に拾われ、愛され、奇跡の力を見せつける~

スカッと文庫
ファンタジー
聖女アリシアは、百年に一度の大氾濫から国を守るため、禁忌の魔力全解放を行い、単身で数万の魔物を殲滅した。その代償として、彼女の美しい金髪は真っ白な「白雪色」に染まり、魔力は一時的に枯渇してしまう。 しかし、その功績はすべて現場にいなかった「偽聖女セシリア」に奪われ、アリシアは「結界を一部損壊させた戦犯」「魔力を失った役立たず」として、婚約者の王太子ギルバートから国外追放を言い渡される。 「失敗したゴミに、この国の空気は吸わせない」 泥の中に捨てられたアリシア。しかし、彼女を拾ったのは、敵対国として恐れられていた帝国の「武徳皇帝」ラグナールだった。彼はアリシアの白髪が「高純度の神聖魔力による変質」であることを瞬時に見抜き、彼女を帝国の宝として迎える。 数ヶ月後。アリシアが帝国の守護聖女として輝きを取り戻した頃、王国では「一度きりの奇跡」だったセシリアの魔力が尽き、本当の滅亡が始まっていた。 「今さら結界が解けたと泣きつかれても、もう私の魔力は一滴も残っていません」

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

私は私で幸せになりますので

あんど もあ
ファンタジー
子爵家令嬢オーレリーの両親は、六歳年下の可憐で病弱なクラリスにかかりっきりだった。 ある日、クラリスが「オーレリーが池に落ちる夢を見た」と予言をした。 それから三年。今日オーレリーは、クラリスの予言に従い、北の果ての領地に住む伯爵令息と結婚する。 最後にオーレリーが皆に告げた真実とは。

処理中です...