不死の魔法使いは鍵をにぎる

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村での教育

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そうして私は隠れた村で魔法を教えることになった。




座学は村民を二つに分けて10人弱を教える形。
実技は細かく分けて2、3人を教える形だ。

結界範囲を広げて新しくできた敷地に、教育用の簡易小屋が設けられた。



魔法史の大まかな流れ、基礎魔法、魔力の練り方、魔法陣や魔具など、隠れた村の住民はほぼ知らず、教えることは大量にある。



水を出す、火をつけるなどのごく簡単かつ生活に役立つ魔法は村民全員使えるようだ。

しかし魔力練り方は我流で効率の悪い者が多い。
魔力を10練ったら魔法として発現できているのはせいぜい3程度という有様。

長く染みついた我流の練り方を改善するのは困難だ。
程度に差はあれど全員苦労している。










教育を行うのは夕方からだ。

村民たちは今まで通り日中は各自の仕事を行い、自由だった夕方からの時間に教育用の簡易小屋へとやってくる。
私も日中は調査などで自由に動き回り、夕方から隠れた村へ行き教育を施すという毎日だ。



顔を合わせるにつれ、村民たちとはだんだんと打ち解けてくる。

半面改め、ベスツァフからは敬語が消えた。
警戒心が解ければわりと人懐こい性格のようだ。

何も用がなく絡んでくるときもある。





「ゲルハルト見て。綺麗な花だろ」

「ああ。それは食べられる花だな」

「そうなのか?観賞用に育ててたんだけど。食べるのは生で?」

「生でも食べられるが湯がいた方が甘みが出て美味しい」

「へえ。試してみる」






ベスツァフは植物を育てるのが好きらしく、観賞用の花だけでなく、実りは少ないものの果実や野菜なども育てている。
時たま生った実を分けてくれる。


だったらと土から不要な魔力を取り除くバウムの方法を教えたら喜んでいた。
しかしいざ実行したら魔力の取り出しがうまくいかないらしい。
魔力の練り方が下手くそだからだろう。

そう述べたら熱心に魔力操作を練習するようになった。




他にも、物資調達の経費にするために木を削って像を作っている者、衣服を作っている者などがいる。
住民が村から出て物資調達に行く際に着ける面なども手作りなのだそうだ。

どこから仕入れたのかも知らぬ、適当に商人から手に入れている私の面を見て、こんな技法があるのかと感心していた。







隠れた村の者たちは、長寿の者が多いらしい。
最高齢は150歳だと聞いた。
以前のこの村での結界張で、長く務めたのだそうだ。
足腰が弱っているという事だったが、話してみたら豪快に笑う元気な者だった。










調査と魔法教育と、数日に一度はバウムと話をして過ごすこと数年。
また新たな魔王が立った。

その報を聞いたのは、物資調達に行くベスツァフに付いて村に出向いた時だった。
村に足を踏み入れて、叫ぶ声が聞こえる。




新しい魔王が出た、と。
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