不死の魔法使いは鍵をにぎる

:-)

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外部の協力者

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王都から離れたこの村に報が届くくらいだから、行動の早い勇者はすでに討伐に向けて出発しているだろう。
さして気にも留めずベスツァフに続いて私は店に入る。

店に入るや否や声をかけられた。







「ベスツァフが人を連れてるなんて珍しいじゃないか。後継者育ててんのかい」







隠れた村の事情を知ってる風の言葉。
問題ないのかと驚いたが、聞けば店員も同族なのだそうだ。


面をしてフードを被って、怪しい身なりの者から購入する客など少ない。
また、異形がばれないためにも長時間他の村に滞在することは避けたい。

そこで協力者の出番だ。

持参した、隠れた村で制作していた像や衣服等は協力者に渡して、必要な物資をもらう。
協力者は渡された像や衣服等を金に変えて、また次の必要物資に備える。




なるほど。
事情を聞いてから改めて店員を見ると納得できる容姿だ。


褐色肌に人より少し大きい頭。


最近になって気が付いたのだが、褐色肌の村の者も問題にはならない程度に普通の人間とは違う部分があった。

人よりも足が大きい。
手が大きい。
頭が大きい。
背が高い。
もしくはその逆。


対して気にはならないのだが、一度目に入ると違いがわかる。
そんな程度の。









「これを頼む」


ベスツァフが必要物資を書いた紙を渡して、店員は物を用意しながら口を開く。



「さっき魔王が出たって報があったからね。気を付けて帰るんだよ」

「うん。今回は同行者がいるから問題ないよ」

「もしかしてあれかい。村で魔法を教えてるっていう」

「そうだよ。この人がゲルハルト」



紙から目線を外して勢いよくこちらを向いた店員。
ベスツァフの返答を聞いて私の肩を勢いよく叩く。



「そうか。そうかい。あの村をよろしく頼むよ」

「あ、ああ」



叩かれる勢いで体が揺れ声がぶれた。
ベスツァフが要求した物資に加えて、村で教育をしてくれている礼だと、店員は果物の砂糖漬けをくれた。
村へ戻る道中、時たま襲い来る魔物を蹴散らしながら話す。



「ゲルハルトのことを話したら、お礼がしたいから連れてきてほしいと言われてたんだ。でもまさか、貴重な砂糖漬けまで渡すなんてな」



広く普及しているとはいえ、砂糖は安価ではない。
砂糖を大量に消費する砂糖漬けは贅沢品なのだ。



「そうだな。有難くいただこう」



深く頷いてそう言うと、ベスツァフも改まって礼を述べてきた。

「我も、村のみなもゲルハルトに感謝している」


枝を避け獣道を進みながら言葉を続ける。



「まだまだだが、少しずつ技術は向上してきてる。段違いの知識も入ってきて、みな顔が生き生きとしている気がする。ゲルハルトに教えを乞うてよかった」



礼を言われて悪い気はしない。
素直に受け取っておこう。



「それはよかった」






今までは一人で行っていた物資調達に何故私も誘われたのか不思議だったが、協力者である店員に合わせるためだったのか。

限られた交流関係であり、その中での協力は不可欠であることから、隠れた村や褐色肌の村の一族は結びつきが強い。
村で教育を行っているという話を聞いただけで礼をしたいとなるほどに。



あの村ではきっと、裏切りや手のひら返しなどは起こらないのであろう。
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