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歌で引き継ぐ思い
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そうですね。
あなた方が何をどこまで知っているのかわからないので、全てお話ししますね。
何度か話してるけど、ダモンもちゃんと聞いておいてね。
まだ全てを理解はできないだろうけど。
昔々、大昔の話です。
人間と魔物と動物とが、互いに捕食し捕食されていたとき。
仲良くはないですが険悪でもなく、それぞれ食物連鎖に則って生命を維持していた時代です。
私たちの祖となる人間、正確には先祖の父親なのですが、その方は人間の王の元で働いていました。
名前はフォルファと言います。
フォルファ様は素晴らしいお方です。
ダモン、覚えておいてね。
あるとき、フォルファ様は王から命じられたのです。
魔物が畑を荒らす、何か対策を考えなさい、と。
フォルファ様は研究者でした。
それまで行なっていた対策は、畑を柵で囲うような、しょうもない方法です。
動物なら効くかもしれませんが、魔物にそんなものは無駄ですよね。
紙切れのようなものです。簡単に壊せます。
そこでフォルファ様が対策を考えることになりました。
考え出されたのが魔法陣です。
フォルファ様がこの世に魔法陣を作り出しました。
地面に大きく魔法陣を描き、それに魔力を流すことで魔物と人間とが意思疎通を図れるようになったのです。
フォルファ様と魔物は何度か交流をし、契約を交わしました。
人間は作物の一部を魔物に渡すこと。
代わりに魔物は畑を荒らさないこと。
そして、お互いに領域を定めて侵害しないこと。
フォルファ様がしたことは素晴らしいことです。
単純に競えば、人間が魔物に敵うことはありません。
しかし小癪な奴らは徒党を組み、罠を張り、武器を使い、魔物を殺しにかかります。
時には何もしていない仲間が殺されることもありました。
互いに譲り合う形になりましたが、フォルファ様がそれを終わりにしてくれたのです。
しかし愚かな人間にはこの素晴らしさを理解できませんでした。
魔法陣を恐れ、魔物と人間の意思疎通を拒否し、フォルファ様を虐げました。
王の元から追い出され、住処もなくし、この時に奥方様も亡くされたと言われています。
傷ついたフォルファ様は魔物の元に来られ、そして復讐を誓いました。
命じられて作った魔法陣は踏みにじられ、交流を重ねて取り付けた契約は無かったことにされ、あまつさえ奥方の命も奪われてしまったのです。
フォルファ様はどれだけ悲しんだことでしょう。
魔物はフォルファ様の復讐に力を貸すことにしました。
フォルファ様を追い出した王を、奥方様を殺した王の部下を、許してはならないと。
魔物たちを従えてフォルファ様は人間たちを、王の元を攻めました。
けれどフォルファ様は人間、力なく弱い人間です。
魔物が力を貸していても、人間の数には敵いませんでした。
フォルファ様をとても親しく思っていた魔物は悲しみました。
フォルファ様と魔法陣なしでも交流できるようにと、言葉を覚えた者さえいたのです。
思いを引き継ぎ、フォルファ様の復讐を遂げることを魔物は決めました。
フォルファ様の悲しみを捨ておくことはできません。
復讐を引き継ぐことを決めた魔物は、あえて魔王だと名乗りました。
魔物を従え君主のようにも見えたフォルファ様の姿を、“魔王”だと恐れ慄いた人間が居ましたが、その名を襲名したのです。
フォルファ様の恨みの姿を忘れさせないように。
人間たちの侵した罪を知らしめるように。
この時に歌も作りました。後世に伝え思いを引き継ぐために。
ダモン、教えた歌は覚えてるね。
ダモンが親になったときには、同じように自分の子供に教えるようにね。
これが歌の2番までの話です。
残念なことに王を倒せた試しがないので、歌を伝え、思いを引き継ぎ、魔王様はいまも王都を攻めています。
人間というのはとても厄介です。
寿命は短く、愚かで弱い生き物ですが、時折とんでもない知恵や力を持った者が現れます。
勇者という者は本当に、正義の面で魔王様を倒していくのです。
忌々しい。
ああ、少し逸れてしまいましたね。
歌の3番ですが、あれは魔物ではなく、私たち混ざり者が後から付け足した部分ですね。
フォルファ様には子供がおられました。
王に追い出された当時、10にも満たない幼い子だったと言います。
フォルファ様が人間への復讐にかかるようになって、半分は魔物が面倒を見ました。
そのうちに、フォルファ様の子は魔物と恋に落ちたと言います。
魔物しかいない地で育てば、当然かもしれませんね。
相手が上位の魔物だったため、魔物は人間の姿へと変え、フォルファ様の子と子孫を作りました。
それが私たち混ざり者の始まりですね。
魔物側の特色が強く表れれば多種多様な姿となりますし、人間側の特色が強く表れれば人間の姿に近づきます。
フォルファ様の子は、人間との争いに巻き込まれないよう、平和な地で子育てをできるように、それまでの土地を離れて居を構えました。
そこにはやがて混ざり者が集まるようになり、村が形成されます。
それが私たちのこの村ですね。
つまりは、フォルファ様がいたことで魔法陣などの技術が伝えられ、私たち混ざり者も産まれることになったわけです。
この起源を忘れないようにと、歌の3番が付け加えられました。
フォルファ様との繋がりは少しでも残したいですからね。
私たちの体には、フォルファ様に繋がる尊い血が流れているわけです。
あなた方が何をどこまで知っているのかわからないので、全てお話ししますね。
何度か話してるけど、ダモンもちゃんと聞いておいてね。
まだ全てを理解はできないだろうけど。
昔々、大昔の話です。
人間と魔物と動物とが、互いに捕食し捕食されていたとき。
仲良くはないですが険悪でもなく、それぞれ食物連鎖に則って生命を維持していた時代です。
私たちの祖となる人間、正確には先祖の父親なのですが、その方は人間の王の元で働いていました。
名前はフォルファと言います。
フォルファ様は素晴らしいお方です。
ダモン、覚えておいてね。
あるとき、フォルファ様は王から命じられたのです。
魔物が畑を荒らす、何か対策を考えなさい、と。
フォルファ様は研究者でした。
それまで行なっていた対策は、畑を柵で囲うような、しょうもない方法です。
動物なら効くかもしれませんが、魔物にそんなものは無駄ですよね。
紙切れのようなものです。簡単に壊せます。
そこでフォルファ様が対策を考えることになりました。
考え出されたのが魔法陣です。
フォルファ様がこの世に魔法陣を作り出しました。
地面に大きく魔法陣を描き、それに魔力を流すことで魔物と人間とが意思疎通を図れるようになったのです。
フォルファ様と魔物は何度か交流をし、契約を交わしました。
人間は作物の一部を魔物に渡すこと。
代わりに魔物は畑を荒らさないこと。
そして、お互いに領域を定めて侵害しないこと。
フォルファ様がしたことは素晴らしいことです。
単純に競えば、人間が魔物に敵うことはありません。
しかし小癪な奴らは徒党を組み、罠を張り、武器を使い、魔物を殺しにかかります。
時には何もしていない仲間が殺されることもありました。
互いに譲り合う形になりましたが、フォルファ様がそれを終わりにしてくれたのです。
しかし愚かな人間にはこの素晴らしさを理解できませんでした。
魔法陣を恐れ、魔物と人間の意思疎通を拒否し、フォルファ様を虐げました。
王の元から追い出され、住処もなくし、この時に奥方様も亡くされたと言われています。
傷ついたフォルファ様は魔物の元に来られ、そして復讐を誓いました。
命じられて作った魔法陣は踏みにじられ、交流を重ねて取り付けた契約は無かったことにされ、あまつさえ奥方の命も奪われてしまったのです。
フォルファ様はどれだけ悲しんだことでしょう。
魔物はフォルファ様の復讐に力を貸すことにしました。
フォルファ様を追い出した王を、奥方様を殺した王の部下を、許してはならないと。
魔物たちを従えてフォルファ様は人間たちを、王の元を攻めました。
けれどフォルファ様は人間、力なく弱い人間です。
魔物が力を貸していても、人間の数には敵いませんでした。
フォルファ様をとても親しく思っていた魔物は悲しみました。
フォルファ様と魔法陣なしでも交流できるようにと、言葉を覚えた者さえいたのです。
思いを引き継ぎ、フォルファ様の復讐を遂げることを魔物は決めました。
フォルファ様の悲しみを捨ておくことはできません。
復讐を引き継ぐことを決めた魔物は、あえて魔王だと名乗りました。
魔物を従え君主のようにも見えたフォルファ様の姿を、“魔王”だと恐れ慄いた人間が居ましたが、その名を襲名したのです。
フォルファ様の恨みの姿を忘れさせないように。
人間たちの侵した罪を知らしめるように。
この時に歌も作りました。後世に伝え思いを引き継ぐために。
ダモン、教えた歌は覚えてるね。
ダモンが親になったときには、同じように自分の子供に教えるようにね。
これが歌の2番までの話です。
残念なことに王を倒せた試しがないので、歌を伝え、思いを引き継ぎ、魔王様はいまも王都を攻めています。
人間というのはとても厄介です。
寿命は短く、愚かで弱い生き物ですが、時折とんでもない知恵や力を持った者が現れます。
勇者という者は本当に、正義の面で魔王様を倒していくのです。
忌々しい。
ああ、少し逸れてしまいましたね。
歌の3番ですが、あれは魔物ではなく、私たち混ざり者が後から付け足した部分ですね。
フォルファ様には子供がおられました。
王に追い出された当時、10にも満たない幼い子だったと言います。
フォルファ様が人間への復讐にかかるようになって、半分は魔物が面倒を見ました。
そのうちに、フォルファ様の子は魔物と恋に落ちたと言います。
魔物しかいない地で育てば、当然かもしれませんね。
相手が上位の魔物だったため、魔物は人間の姿へと変え、フォルファ様の子と子孫を作りました。
それが私たち混ざり者の始まりですね。
魔物側の特色が強く表れれば多種多様な姿となりますし、人間側の特色が強く表れれば人間の姿に近づきます。
フォルファ様の子は、人間との争いに巻き込まれないよう、平和な地で子育てをできるように、それまでの土地を離れて居を構えました。
そこにはやがて混ざり者が集まるようになり、村が形成されます。
それが私たちのこの村ですね。
つまりは、フォルファ様がいたことで魔法陣などの技術が伝えられ、私たち混ざり者も産まれることになったわけです。
この起源を忘れないようにと、歌の3番が付け加えられました。
フォルファ様との繋がりは少しでも残したいですからね。
私たちの体には、フォルファ様に繋がる尊い血が流れているわけです。
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私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
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