不死の魔法使いは鍵をにぎる

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魔王城へ向かうために

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ダモンの村から視認できない程度に距離を取り、森の中で一夜を明かす。
いつもの通り引っ付いて眠っているヘフテとダモンを横目に、今後についての話し合いだ。


魔王城に行かなければならない、というのは意見が一致している。
魔王に会い、この忌まわしい呪いを解く。




問題は、どう魔王城に行き、どう魔王と話を付けるかだ。







「魔物と遭遇するね。道中は絶対に。ヘフテの魔具を使う?戦闘は避けられるよね」

「それよりも、ダモンの村で使ってた仲間か確かめる陣を使う方がいいだろう」






魔具について聞いた時にあれだけ嫌がっていたのだ。
再び頼んだところで、ヘフテが魔具を渡してくれるとは思わない。

となると、魔物との衝突を避けられるあの魔具を使うためにはヘフテとダモンが同行する形になる。

それは避けるべきだ。





「魔王はダモンの村に顔を出している。ならあの魔法陣は魔物に対しても有効なはずだ」





魔物の仲間である混ざり者なのかどうか、見た目では判断できない。
敵味方の判断材料は必ず必要になる。





「わかった。そうしよう。ゲルハルトの結界もあるもんね。最悪の場合は。姿を隠しちゃえば魔物との戦闘もない。
じゃあ城まで行けたとする。行けたとして、どこに行けばいいんだろうね?魔王はどこに居るのかな。魔王城なんて入ったことないよ」

「それは私もだ」








勇者として魔王討伐を目指す者は、例外なく魔王城を目指す。


魔物は魔王城のある方向から必ずやってくるし、魔王城と呼ぶくらいなのだ。
あの城に魔王がいるはずである、と知らぬうちに刷り込まれている。

しかし、おそらく魔王城の中まで足を踏み入れたことのある勇者はいない。



魔王城を目指し、魔物を倒し、と足を進めていると、魔王自ら勇者を倒しに姿を現す。


ダモンは言っていた。
仲間の協力により、力、魔力を魔王は得ているのだと。


どんなに強い魔物が束となっても、魔王1人の力には及ばないのだろう。




そこまで勇者に辿り着かれてしまったら、魔王が返り討ちにした方が魔物側の被害は少なく済む。
私は魔王城の城門をくぐる前に魔王と戦ったため、敷地に足を踏み入れてもいない。








「あ、でも城に入る必要ないかもね。もしかしたら。誰か勇者と戦ってるかも。それならすぐに会えるよ」

「まだ魔王が起って10年と経ってないだろう。魔王の姿を見た勇者なんてまだ一人も居ないんじゃないか?」





魔王が現れて倒されるまでに、百十数年かかるのが通常である。


何人もの勇者が魔王城を目指し、魔物に倒され、複数人で連携を取り、どうにか魔王の情報を持ち帰り、漸く真に勇者と呼べる者が現れるのだ。

魔王の姿に関する情報が出回るだけでも5、60年程はかかる。


今はまだ魔物にやられる程度の、魔王城にたどり着くことすらできない勇者しかいないだろう。






「そっか。じゃあやっぱ入らなきゃいけないのか。魔王城の中まで。いっそ魔物に聞いちゃうとか?直接さ。魔王城にいる魔物は上位ばかりだし。言葉は通じるよ。聞いてくれるかは別として」





他に良い策がなければ、そうするしかないだろう。

そうなった場合は、いっそ魔物に変異したほうが楽かもしれない。
魔物同士で話した方が口が緩むのではないだろうか。



情報が少ないまま話し合っていても解決策は生まれない。
とりあえず魔王城付近に行って情報を得ようという話で終えた。
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