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集まる怪我人
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ヘフテとダモンも食堂に顔を出し、食事を取りつつ情報共有を行う。
「なんでも話してね。どんな小さなことでも。関係なさそうなことでも。何が役に立つかわからないからね。今日は何をしてきた?何を聞いてきた?」
マーツェの言葉に、2人は今日の行動を順に話す。
ヘフテとダモンは、ここほどの大きな町に来たのが初めてだったようだ。
危険がはびこる外とは違い、強固に改善した塀のおかげで被害の少ない町の中は、魔王のいない平和期と今のところ大差ない様子だ。
多くはないが、詩人や踊り子などが芸を披露していたりもする。
それらの見物や町の探索、遊んでいた子供らのかくれんぼに混ざったりして1日を過ごしたという。
「どこから来たのって、聞かれた。外って言ったら、すごいねって言われた」
家事や仕事の手伝いをせずに遊んでいるということは、魔王が立った以降に産まれた子供だ。
町の外には出させてもらえない。
同年代である子供が外から自分たちの町に来たとあっては、英雄にも似た憧憬を得られるだろう。
ヘフテとダモンの話からも特に有益そうなものはないようだ。
2人のおかげで状況が好転したこともあったため、私とマーツェの行動・情報も話しておいた。
しばらく大した成果もないまま、話を聞きまわる日々が続く。
ブルデの孫も見つからない。
もう死んでしまっているのだろうか。
夕方の治癒には段々と訪れる怪我人が増えていた。
治癒師はより病状の重い者を、市民よりも兵士を優先して治療する。
治癒師の元へ出向いても、見てもらえないで終わる勇者は多いのだ。
時間も魔力も無尽蔵ではない。
至極当然の判断である。
数日様子を見て、見てもらえるかわからない治癒師の元へ行くよりも、その場に行きさえすれば自分の番が来る私の方へ行こうという者が増えた。
完治不能のため治癒師には止血だけされた兵士の千切れた腕を、私が繋げて治したと吹聴されたせいもある。
無茶ができると馬鹿笑いしていた兵士だ。
治癒ついでに話を聞けるのは助かるのだが、素直に喜べない。
手間を増やしやがって。
それに加えて、一所に留まっていることも影響した。
魔物被害を抑えるために転々と治癒していたときに比べて、話の広がり方が早いのだ。
あそこの食堂で治癒してもらえるらしい。
面を被った魔法使いがいるようだ。
子連れで旅をしてきた連中だって。
始めは治療目的の怪我人だけだったのが、興味本位の野次馬も食堂に集まるようになっていた。
食堂を訪れる客が増えたため、収入が増えたと店主は顔を綻ばせている。
「金が払えないけど泊まらせてほしいと言い出したときはぶん殴ろうかと思ったが、なかなかいいじゃないか。その調子で頼むよ」
数日に一度、頼んでいない甘味をおまけしてくれる。
良い場所を拠点に選んだ。
「なんでも話してね。どんな小さなことでも。関係なさそうなことでも。何が役に立つかわからないからね。今日は何をしてきた?何を聞いてきた?」
マーツェの言葉に、2人は今日の行動を順に話す。
ヘフテとダモンは、ここほどの大きな町に来たのが初めてだったようだ。
危険がはびこる外とは違い、強固に改善した塀のおかげで被害の少ない町の中は、魔王のいない平和期と今のところ大差ない様子だ。
多くはないが、詩人や踊り子などが芸を披露していたりもする。
それらの見物や町の探索、遊んでいた子供らのかくれんぼに混ざったりして1日を過ごしたという。
「どこから来たのって、聞かれた。外って言ったら、すごいねって言われた」
家事や仕事の手伝いをせずに遊んでいるということは、魔王が立った以降に産まれた子供だ。
町の外には出させてもらえない。
同年代である子供が外から自分たちの町に来たとあっては、英雄にも似た憧憬を得られるだろう。
ヘフテとダモンの話からも特に有益そうなものはないようだ。
2人のおかげで状況が好転したこともあったため、私とマーツェの行動・情報も話しておいた。
しばらく大した成果もないまま、話を聞きまわる日々が続く。
ブルデの孫も見つからない。
もう死んでしまっているのだろうか。
夕方の治癒には段々と訪れる怪我人が増えていた。
治癒師はより病状の重い者を、市民よりも兵士を優先して治療する。
治癒師の元へ出向いても、見てもらえないで終わる勇者は多いのだ。
時間も魔力も無尽蔵ではない。
至極当然の判断である。
数日様子を見て、見てもらえるかわからない治癒師の元へ行くよりも、その場に行きさえすれば自分の番が来る私の方へ行こうという者が増えた。
完治不能のため治癒師には止血だけされた兵士の千切れた腕を、私が繋げて治したと吹聴されたせいもある。
無茶ができると馬鹿笑いしていた兵士だ。
治癒ついでに話を聞けるのは助かるのだが、素直に喜べない。
手間を増やしやがって。
それに加えて、一所に留まっていることも影響した。
魔物被害を抑えるために転々と治癒していたときに比べて、話の広がり方が早いのだ。
あそこの食堂で治癒してもらえるらしい。
面を被った魔法使いがいるようだ。
子連れで旅をしてきた連中だって。
始めは治療目的の怪我人だけだったのが、興味本位の野次馬も食堂に集まるようになっていた。
食堂を訪れる客が増えたため、収入が増えたと店主は顔を綻ばせている。
「金が払えないけど泊まらせてほしいと言い出したときはぶん殴ろうかと思ったが、なかなかいいじゃないか。その調子で頼むよ」
数日に一度、頼んでいない甘味をおまけしてくれる。
良い場所を拠点に選んだ。
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