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魔法陣の実験
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魔石が破損しながらも魔法陣の効力が持続するとはどういうことなのか。
実際に魔法陣を使って実験してみようと、森の中へ入った。
邪魔が入らないように。
変な影響を周囲に与えないように、だ。
実験するには質の悪い魔石が必要である。
姿を隠している動物を仕留め、魔石をいくつか作る。
魔物ではなく、動物からも魔石を作ることはできる。
質の悪い魔石を求めている今からすると、むしろ動物から作った方が好都合だった。
魔法用訓練施設と同じ規模で実験することはできないため、それよりもずっと小さい範囲で実験をする。
「マーツェ、魔法陣は書けたぞ」
「うん。えっと、始めは小さくていいよね。2m四方くらいでいい?狭すぎるかな」
「大丈夫だろう」
私とマーツェがとりあえず入れればいい。
目安として、2m四方の印を地面に付けた。
必要となる魔石の数や位置は、結界避けの範囲によって異なる。
マーツェが考えている間に、結界避けよりも広い範囲に結界を張る。
これで、条件は揃うはずだ。
魔法使用を妨害する結界。
その中に、結界の効力を除外する魔法陣。
魔法陣の発動は質の悪い魔石を使用。
「ゲルハルト。印つけたよ。魔石埋める位置」
「ああ。わかった」
マーツェが印をつけた位置に魔石を埋め込む。
魔法陣自体は直系1m程の大きさだ。
それよりも広い範囲に魔石が埋められる形になる。
魔法陣の上に手をかざし、魔石の質の悪さに合わせ弱めに魔力を流していく。
「駄目だ。魔力が足りないみたい。全然効果ないよ」
魔力に反応した発光は見られるが、効力は現れない。
ならばと、徐々に流す魔力量を上げていく。
少しして、ピシリと罅の入る音がしたかと思うやいなや、魔石は砕けてしまった。
「1つどころか全部壊れちゃった。砕け散ったね。発動もさせられなかった」
マーツェが埋めた部分を掘り返す。
小さい山となっていたところは窪みができ、微細な結晶がかすかに残っている。
訓練施設の窪みと同じ状態だ。
しかし訓練施設とは違い、全ての魔石が壊れてしまった。
魔法陣の効力はかろうじて持続するどころか、発動もしていない。
規模以外は同じ条件で試してみたと思ったが、何が違ったのだろう。
マーツェも首をひねらす。
「うーん。何が違ったかな。魔力を局所的に流すなんて無理だよね。ある部分だけ強く。ある部分だけ弱く、とか」
「不可能だな。それ以前にそれを実行する利点がない」
「だよね。だからどの魔石にも偏りはできない。同じ分だけ魔力が流れるはず。その上で一部の魔石だけ壊れる状況、か。一体どういう状況だ?」
「その前に、質の悪い魔石を使っていたら発動させることすら不可能だ。先に壊れてしまう」
魔法陣の複雑さ、必要となる魔力量、魔法技術の高度さ、魔石の質の高さ。
これらは大抵比例しているものだ。
より複雑な魔法陣には、より多くの魔力量を。
より多くの魔力量を制御するには、より高度な魔法技術を。
より高度な魔法技術を補助するには、より質の高い魔石を。
結界避けの魔法陣は、複雑かつ高度である。
質の悪い魔石なんて選ばないし、通常使わない。
質の悪い魔石を使ったせいであの魔法用訓練施設は不具合が生じているのではないか。
そう結論付けたくなるが、破損しているのは3つだけ。
その他はまだ、魔法陣の効力を発現させるための役割を果たしている。
まず魔法陣が発動していることが謎である。
「でも発動してる。未完全だけど結界避けはできてる。質の悪い魔石でも発動するんだよ。それは間違いない。けど失敗しちゃったね。何がいけなかったかな」
「魔石の配置は間違いないのか」
「間違いない。…って断言できたらいいんだけどね。多分合ってる、としか。規則性が掴めてないし」
「もう少し魔石の質を上げて、まずは配置が合ってるか確かめてみるか」
「そうだね。そうしようか」
魔石の質を上げて再挑戦だ。
結界避けの魔法陣を発動させるに足る質の魔石。
以前作りためていた物を利用して結果を試す。
先ほどと同位置に埋め、魔石の様子を確認しつつ魔力を流していく。
罅の入る感じはなく、問題なく魔法陣は発動した。
結界避けの中でマーツェが魔法を試す。
問題なく魔法を使えている。
きちんと効力が発揮されているのだ。
「問題ないね。配置は合ってる。魔法も使える」
結界避けの範囲を広げて作り直してもみたが、それも問題ない結果だった。
「すんなりうまくいくね。失敗する理由がわからないくらいだ。あの魔法用訓練施設はあんなに不安定なのに。どうしてだろうね」
質の悪い魔石を使えば、魔法陣が発動する前に魔石が壊れる。
質の高い魔石を使えば魔法陣は発動するが、魔石が壊れるに至らない。
一部の魔石のみが破損する状況にはどうしたらなるのか。
魔法用訓練施設の効力が未完全だったことも謎である。
実際に魔法陣を使って実験してみようと、森の中へ入った。
邪魔が入らないように。
変な影響を周囲に与えないように、だ。
実験するには質の悪い魔石が必要である。
姿を隠している動物を仕留め、魔石をいくつか作る。
魔物ではなく、動物からも魔石を作ることはできる。
質の悪い魔石を求めている今からすると、むしろ動物から作った方が好都合だった。
魔法用訓練施設と同じ規模で実験することはできないため、それよりもずっと小さい範囲で実験をする。
「マーツェ、魔法陣は書けたぞ」
「うん。えっと、始めは小さくていいよね。2m四方くらいでいい?狭すぎるかな」
「大丈夫だろう」
私とマーツェがとりあえず入れればいい。
目安として、2m四方の印を地面に付けた。
必要となる魔石の数や位置は、結界避けの範囲によって異なる。
マーツェが考えている間に、結界避けよりも広い範囲に結界を張る。
これで、条件は揃うはずだ。
魔法使用を妨害する結界。
その中に、結界の効力を除外する魔法陣。
魔法陣の発動は質の悪い魔石を使用。
「ゲルハルト。印つけたよ。魔石埋める位置」
「ああ。わかった」
マーツェが印をつけた位置に魔石を埋め込む。
魔法陣自体は直系1m程の大きさだ。
それよりも広い範囲に魔石が埋められる形になる。
魔法陣の上に手をかざし、魔石の質の悪さに合わせ弱めに魔力を流していく。
「駄目だ。魔力が足りないみたい。全然効果ないよ」
魔力に反応した発光は見られるが、効力は現れない。
ならばと、徐々に流す魔力量を上げていく。
少しして、ピシリと罅の入る音がしたかと思うやいなや、魔石は砕けてしまった。
「1つどころか全部壊れちゃった。砕け散ったね。発動もさせられなかった」
マーツェが埋めた部分を掘り返す。
小さい山となっていたところは窪みができ、微細な結晶がかすかに残っている。
訓練施設の窪みと同じ状態だ。
しかし訓練施設とは違い、全ての魔石が壊れてしまった。
魔法陣の効力はかろうじて持続するどころか、発動もしていない。
規模以外は同じ条件で試してみたと思ったが、何が違ったのだろう。
マーツェも首をひねらす。
「うーん。何が違ったかな。魔力を局所的に流すなんて無理だよね。ある部分だけ強く。ある部分だけ弱く、とか」
「不可能だな。それ以前にそれを実行する利点がない」
「だよね。だからどの魔石にも偏りはできない。同じ分だけ魔力が流れるはず。その上で一部の魔石だけ壊れる状況、か。一体どういう状況だ?」
「その前に、質の悪い魔石を使っていたら発動させることすら不可能だ。先に壊れてしまう」
魔法陣の複雑さ、必要となる魔力量、魔法技術の高度さ、魔石の質の高さ。
これらは大抵比例しているものだ。
より複雑な魔法陣には、より多くの魔力量を。
より多くの魔力量を制御するには、より高度な魔法技術を。
より高度な魔法技術を補助するには、より質の高い魔石を。
結界避けの魔法陣は、複雑かつ高度である。
質の悪い魔石なんて選ばないし、通常使わない。
質の悪い魔石を使ったせいであの魔法用訓練施設は不具合が生じているのではないか。
そう結論付けたくなるが、破損しているのは3つだけ。
その他はまだ、魔法陣の効力を発現させるための役割を果たしている。
まず魔法陣が発動していることが謎である。
「でも発動してる。未完全だけど結界避けはできてる。質の悪い魔石でも発動するんだよ。それは間違いない。けど失敗しちゃったね。何がいけなかったかな」
「魔石の配置は間違いないのか」
「間違いない。…って断言できたらいいんだけどね。多分合ってる、としか。規則性が掴めてないし」
「もう少し魔石の質を上げて、まずは配置が合ってるか確かめてみるか」
「そうだね。そうしようか」
魔石の質を上げて再挑戦だ。
結界避けの魔法陣を発動させるに足る質の魔石。
以前作りためていた物を利用して結果を試す。
先ほどと同位置に埋め、魔石の様子を確認しつつ魔力を流していく。
罅の入る感じはなく、問題なく魔法陣は発動した。
結界避けの中でマーツェが魔法を試す。
問題なく魔法を使えている。
きちんと効力が発揮されているのだ。
「問題ないね。配置は合ってる。魔法も使える」
結界避けの範囲を広げて作り直してもみたが、それも問題ない結果だった。
「すんなりうまくいくね。失敗する理由がわからないくらいだ。あの魔法用訓練施設はあんなに不安定なのに。どうしてだろうね」
質の悪い魔石を使えば、魔法陣が発動する前に魔石が壊れる。
質の高い魔石を使えば魔法陣は発動するが、魔石が壊れるに至らない。
一部の魔石のみが破損する状況にはどうしたらなるのか。
魔法用訓練施設の効力が未完全だったことも謎である。
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追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
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