不死の魔法使いは鍵をにぎる

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ジーグお疲れ様会

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石畳の整備は進み、人々の馬車の利用頻度は格段に上がった。
荷の多い商人などには魔物の馬車も人気である。
魔物の働く姿が広範囲で見られるようになった。


国主導の孤児支援も機能し始め、ジーグは手が空くようになった。






「長い間ありがとう。お疲れ様。これからどうするんだ?」



久方ぶりに、3人で顔を突き合わせてゆっくりと食事をする。



「どうしようねえ。…今は特にしたいことも思いつかないかな。騒がしかった毎日が、子供たちがいなくなって少し寂しさも感じるの」



腕白盛りたちの相手をずっとしていたジーグ。
慌ただしさから解放されて息が付けた半面、気も抜けているらしい。



「ずっと付き合わせて悪かったな」

「ううん。楽しい毎日だったもの。やっぱり私は親じゃないから、反発する子も多かったけど。懐いてくれれば嬉しいしねえ」

「ジーグのおかげだよ。おかげでヌーウェが出来た。大きな問題も起きずにすんだ。でも長いこと縛り付けちゃったね。あの家から動けなかったでしょ」

「途中から結界も外してたからねえ。割と出歩いてたよ」







結界は、人目を避ける目的で張っていた。

ダモンやジーグの面の下を、何も知らない第三者が見ることのないように。
魔物と交流を持つ異端者だと、差別されることのないように。

孤児を逃がさないという目的もあったな。
保護し始めた初期の頃は。



しかし段々と結界を張る意味がなくなってくる。

共存を図る新たな町、ヌーウェが作られる。
魔物も人間社会の一員として働き始める。

人間と魔物、どちらとも言えない体を持つ者もその中には混ざっていた。
人目を避ける必要がなくなったのだ。



たびたび結界の様子を確かめに行っていたが、それも無駄だろうと結界を外した。





「みんなで森でお弁当食べたりしてたの。その場で果実取ったりもしたよ。本当に不自由はあんましてなかったから、気にしないでねえ」

「そっか。ならよかった」



懐かしむように、愛おしむように言うジーグ。
不満は感じられない。



「2人もずっと忙しかったんだよねえ。最近は余裕が出てきたんじゃないの?」

「そうだね。自由時間増えてきたかな。好きに調べものしてるよ」

「何を調べてるんだ」

「呪いについて。結局詳しいことは分からずじまいだったし。気になってたんだ。呪われる仕組みとか。いろいろね。いま魔王から話を聞いてるとこ」




魔王の呪いは、魔王以外には解けないと言っていた。
人間には到達できない領域。

それが呪う技術の話なのか、呪う際に相手に入れるものの話なのかはわからない。



王との交渉や共存を推し進めることに夢中になっていたため、それ以上深追いしていなかった。





「面白いよ。いろんな話が聞けて。そもそもの技術は魔物だったみたい。呪いも。魔法も。まだ話は途中なんだけどね。詳しい内容はこれから」

「そうか。魔王はこれからどうするかとか、言っていたか?」



調べものの内容も気になるが、まだ詳しくわかっていないなら深堀りしても仕方がない。
それよりも気になっていたことを口にする。



「どうするかって?どういうこと?」

「魔王は共存に反対している魔物たちの説得をしていただろう。でもだいぶ落ち着いたはずだ。ダモンの村には手こずっているようだが。説得を終えたら、魔王も人間社会に混じるのか?その場合、魔王城は放棄するんだろうか」

「気が付かなかった。どうなんだろう」

「人間社会に馴染めなくて戻った魔物もいたよねえ。その魔物たちと一緒にいるってことも有り得るのかな」



そうか。
そういう案もあるな。


残る魔物たちの環境を維持するため。
もしくは、共存に反対するものたちの監視・抑圧のため。

人間側に魔物憎しの反対派が消えていないように、人間憎しの魔物を撲滅はできまい。



理由は様々考えられるが、魔王が魔物側に残るということも有り得る。





「どっちを取るかな。今度聞いてみるよ。

それなりの対応が必要だもんね。人間社会に混じるなら。魔物の王様だ。王に似た地位が要る。吊り合いのために。なるべく平等に。差の出ないように。

人間と魔物の吊り合いはよく考えないと。争いの火種になる可能性があるからね。魔物側に残るにしても交流は持ちたいだろうし」





魔王と王は、たびたび会談の場を設けてきた。
そこで、互いの状況確認や問題への対応策などを話し合ってきた。


世界を180度変える試みだ。
対立を共存へ。
敵を友へ。

あらゆる事象を想定し、策を考え、目まぐるしく対応に追われてきた。


出来得る限り平和的に、友好的に遷移するよう頭を悩ませる日々。
最終的に自分たち王の有りようがどうなるのか。
その考えは抜け落ちていた。

それは兵士や官吏、私たちも同じだ。




魔物と人間。
種族で敵対せずに、共存していく。

そこに差が生まれてはならない。


人間の王が国の頂点に立ち、魔物の王は下位の立場で付き従うとなれば、当然魔物は不満に思う。
逆もまた然り。

かといって2人ともを国の頂点に置くことは難しい。




魔王が魔物社会に残る場合でも、難題に変わりはない。
王と魔王、互いの地位をどう安定させるのか。

着地点を模索しなければならない。
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