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呪われたエザリア
伝わった!
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「ねこちゃんおはよう、無理矢理起こしてごめんよ」
猫の前に紙をひらひらさせる。
「ねえ、まさかと思うけど、これ君が書いたんじゃないよね?」
エザリアの目がパチっと開いた。
(セインッ!やっぱりわかってくれたのね、さすがセインだわ)
こくこくと猫が頷いて返事をするとは、セインは想像もしなかった。背中がゾクゾクしてくる。
「うそだろう!ええ?えーっと、あたしえざりあ、だから君はエザリア?」
(セイン最高っ!)
こくこくこくこくこくっ!
高速で何回頷いたかわからないが、間違いなく猫が頷いてそうだと言っている。
─あああっ嘘だろう?本当にかっ?─
不思議な感覚に襲われる。
それは小さな泡に体中が覆われ、それがパチパチと弾けていくような肌感覚。
セインは興奮で全身に鳥肌が立っていた。
「よ、よし。じゃあ君はエザリアだとしよう。毎回そんなに首を振ると大変だから、そうだな・・・イエスなら首を縦に振り、ノーなら横に振る。これ、普通にやることだよね?わかったらやってみて」
猫は首を縦に振ったあと、ドヤ!と胸を張ったように見えた。
「ふっ。ふふっ。ご、ごめんよ笑ったりして。あんまり可愛かったから」
猫が今度は2回、こくこくと首を縦に振る。
セインは楽しくなって笑みが止まらない。
「知りたいことがたくさんあるんだけど、まずはごはん食べてからにするかい?」
猫は瞳をキラキラとさせ、こくりと頷く。
「うん、じゃすぐに用意するから向こうで待っててね。あ、エザリア!もう調合室に入っちゃダメだよ、触れると危ない薬もあるからね」
セインの注意にエザリアは尻尾を一振りし、ニャッと鳴いて、部屋を出ていった。
「ハッ、ハハッ」
猫が姿を消すと、セインは笑いがこみ上げてきた。
書かれていたことが本当なら、ねこちゃんはエザリアという人間の女の子で、呪いを解くことができたら家族のところに帰ってしまうだろう。
そうしたらまたひとりぼっち・・・とちらりと頭をよぎったが。
しかし、今はそれより、猫が自分の問いに頷いたり、首を横に振って違うと言ったりする可愛らしさに身悶えしそうなのを堪えることで精一杯。
目に焼き付いた、小首を傾げてみせる姿。
「ハア。ハーッ」
いろいろな感情にひとしきり振り回されたセインは、両手でパチっと頬を叩き、エザリアのとり肉を茹でにキッチンに向かった。
「うみゃいうみゃいうみゃい」
もしゃもしゃ食べながら、鳴いているのか喋っているのかわからないエザリア。
「エザリア、君は今は美味い美味いって言ってるのかな?それともニャアニャアって言ってるの?」
皿から顔を上げたエザリアは、意思をこめた瞳をセインに向け、ゆっくりと口を動かした。
「う・みゃ・い」
わかった?と言わんばかりに首を傾げる。
「うっ、そ、それね、めっちゃくちゃ可愛くて、外でやったら攫われちゃうと思うから気をつけるんだよ」
猫はこくんと頷いた。
■□■
お読み頂きありがとうございます。
当面は6時、12時、18時で一日三話更新しますのでサクサク読み進めて頂けると思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
※【最新話を読む】機能を使うと読み飛ばす可能性がありますので、【しおりから読む】をお勧めします。
【お気に入り】にも是非ポチっとお願いいたします(_ _)
猫の前に紙をひらひらさせる。
「ねえ、まさかと思うけど、これ君が書いたんじゃないよね?」
エザリアの目がパチっと開いた。
(セインッ!やっぱりわかってくれたのね、さすがセインだわ)
こくこくと猫が頷いて返事をするとは、セインは想像もしなかった。背中がゾクゾクしてくる。
「うそだろう!ええ?えーっと、あたしえざりあ、だから君はエザリア?」
(セイン最高っ!)
こくこくこくこくこくっ!
高速で何回頷いたかわからないが、間違いなく猫が頷いてそうだと言っている。
─あああっ嘘だろう?本当にかっ?─
不思議な感覚に襲われる。
それは小さな泡に体中が覆われ、それがパチパチと弾けていくような肌感覚。
セインは興奮で全身に鳥肌が立っていた。
「よ、よし。じゃあ君はエザリアだとしよう。毎回そんなに首を振ると大変だから、そうだな・・・イエスなら首を縦に振り、ノーなら横に振る。これ、普通にやることだよね?わかったらやってみて」
猫は首を縦に振ったあと、ドヤ!と胸を張ったように見えた。
「ふっ。ふふっ。ご、ごめんよ笑ったりして。あんまり可愛かったから」
猫が今度は2回、こくこくと首を縦に振る。
セインは楽しくなって笑みが止まらない。
「知りたいことがたくさんあるんだけど、まずはごはん食べてからにするかい?」
猫は瞳をキラキラとさせ、こくりと頷く。
「うん、じゃすぐに用意するから向こうで待っててね。あ、エザリア!もう調合室に入っちゃダメだよ、触れると危ない薬もあるからね」
セインの注意にエザリアは尻尾を一振りし、ニャッと鳴いて、部屋を出ていった。
「ハッ、ハハッ」
猫が姿を消すと、セインは笑いがこみ上げてきた。
書かれていたことが本当なら、ねこちゃんはエザリアという人間の女の子で、呪いを解くことができたら家族のところに帰ってしまうだろう。
そうしたらまたひとりぼっち・・・とちらりと頭をよぎったが。
しかし、今はそれより、猫が自分の問いに頷いたり、首を横に振って違うと言ったりする可愛らしさに身悶えしそうなのを堪えることで精一杯。
目に焼き付いた、小首を傾げてみせる姿。
「ハア。ハーッ」
いろいろな感情にひとしきり振り回されたセインは、両手でパチっと頬を叩き、エザリアのとり肉を茹でにキッチンに向かった。
「うみゃいうみゃいうみゃい」
もしゃもしゃ食べながら、鳴いているのか喋っているのかわからないエザリア。
「エザリア、君は今は美味い美味いって言ってるのかな?それともニャアニャアって言ってるの?」
皿から顔を上げたエザリアは、意思をこめた瞳をセインに向け、ゆっくりと口を動かした。
「う・みゃ・い」
わかった?と言わんばかりに首を傾げる。
「うっ、そ、それね、めっちゃくちゃ可愛くて、外でやったら攫われちゃうと思うから気をつけるんだよ」
猫はこくんと頷いた。
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