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第3章
第62話 それぞれの不安
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トローザーから書状を受け取ったターナル伯爵家では、言われるまでもなく、ナイジェルス襲撃に向かったまま、行方不明の手勢を必死で捜していた。
「どうなっているかだと?必死で捜しとるに決まってるわい!死んだかどうかさえわからんままだが、もし見つかって我が手の者と知られたら首が飛ぶ」
ターナル伯爵ジョルディは妻とその姉、国王の第二夫人キャロラの甘言に乗り、ナイジェルス暗殺を手伝ってしまった。自分の騎士の中でも特に忠誠心に厚い者を言い包めて送り出したが、いつまで経っても一人とて一向に戻らないことから、伯爵家の生真面目な騎士団長に怪しまれているのだ。
「ああ、こんなことならせめてこの話だけは断るのだった」
断れるわけもなかったが。
ため息をつきながら、トローザーからの書状は目を通したが、返事をする気にはなれず。
今や一蓮托生となった甥のため、そして自分のためにもう一度探索し直すことにした。
と言っても王家や侯爵家のような影などいない。
「仕方ない」
また数人の騎士を選び、自ら探索へ出かけて行くのだった。
「それで、ターナル伯爵家からはなんと?」
「ジョルディ様が自ら探索に出られたそうですが、何も見つけることはできなかったそうで。近隣の町でも特に異変はないとのことでした」
じろりとキャロラに睨まれたトローザーは、居心地が悪くもぞもぞと動いてしまう。
「ソイスト侯爵の方はどうなっているの?」
「そちらは今調べている最中です」
いつも煩いくらいに届くミイヤの手紙が、今日に限ってまだなのだ。せめて捨てずにおけば、と昨日までの自分が腹ただしくてならない。
「お別れの会、明後日よ。それまでに安心してソイスト侯爵家に行かれるよう、調べを終えて。手を打つべきことは抜かりなく打つこと。わかったの?」
「畏まりました母上」
キャロラはひどく不機嫌で、その苛立ちを扇をバチン!と叩いたことで示してみせた。
「はあ、母上も気にしすぎではないだろうか・・・」
自室に戻ったトローザーは、ぐったりとソファに沈み込むと独り言ちる。
「見つからないなら、ないということかもしれないのに。ターナルの手の者が見つからないのはきっと遠くに流れされてしまったのだろう」
あの川は流されたら、その先は隣国である。今頃もしかしたら隣国にナイジェルスやターナル勢は流れ着いているかもしれないのだ。戻ってこないということは、そういうことではないだろうか?
トローザーは急に楽観的に考え始めた。
現実逃避とも言うが。
「ターナルの手の者が川に流される?」
天井裏からトローザーを見張る国王の影は、その呟きを聞き逃さなかった。
「そうか・・・。実行犯はターナル伯爵家、ということは黒幕はキャロラ」
アラメーの報告を聞いた国王は胃を手で押さえて、うめき声をあげる。
「良く聞くことだが、我が身に起きると凄まじく酷い話だな。弟が兄を殺めてその地位や世界を奪い取ろうと画策するとは・・・」
国王はソイスト侯爵に、今わかっていることを擦り合わせたいと登城するよう召喚状を認めた。
「どうなっているかだと?必死で捜しとるに決まってるわい!死んだかどうかさえわからんままだが、もし見つかって我が手の者と知られたら首が飛ぶ」
ターナル伯爵ジョルディは妻とその姉、国王の第二夫人キャロラの甘言に乗り、ナイジェルス暗殺を手伝ってしまった。自分の騎士の中でも特に忠誠心に厚い者を言い包めて送り出したが、いつまで経っても一人とて一向に戻らないことから、伯爵家の生真面目な騎士団長に怪しまれているのだ。
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断れるわけもなかったが。
ため息をつきながら、トローザーからの書状は目を通したが、返事をする気にはなれず。
今や一蓮托生となった甥のため、そして自分のためにもう一度探索し直すことにした。
と言っても王家や侯爵家のような影などいない。
「仕方ない」
また数人の騎士を選び、自ら探索へ出かけて行くのだった。
「それで、ターナル伯爵家からはなんと?」
「ジョルディ様が自ら探索に出られたそうですが、何も見つけることはできなかったそうで。近隣の町でも特に異変はないとのことでした」
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「そちらは今調べている最中です」
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「お別れの会、明後日よ。それまでに安心してソイスト侯爵家に行かれるよう、調べを終えて。手を打つべきことは抜かりなく打つこと。わかったの?」
「畏まりました母上」
キャロラはひどく不機嫌で、その苛立ちを扇をバチン!と叩いたことで示してみせた。
「はあ、母上も気にしすぎではないだろうか・・・」
自室に戻ったトローザーは、ぐったりとソファに沈み込むと独り言ちる。
「見つからないなら、ないということかもしれないのに。ターナルの手の者が見つからないのはきっと遠くに流れされてしまったのだろう」
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