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第3章
第69話 準備万端
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「マーカス様、城から至急の呼び出しが参りました」
執事のスチューが早足で執務室に滑り込む。
「今か?茶会で何かあったのだろうか?ジャンは?」
「既に馬で出られております」
「そのほうが早いな、私もそうしよう」
父を待つという選択肢はサルジャンにはなかったらしいと、苦笑しながら愛馬に飛び乗った。
しかしその時サルジャンは、マーカスとは違い、ソイスト侯爵家の別邸に向かっていたのだ。
ゴールダイン王子からの書状はマーカスには城へ、サルジャンにはナイジェルスとユートリーを連れて城へというものだった。
サルジャンは騎士数名を引き連れて馬を駆っている。急な命令だったので父にも相談せず飛び出したが、城で大きな事態の進展があったのだと理解している。
ユートリーの死に高笑いをするミイヤを見ることに限界を迎えていたサルジャンは、ようやく解放されると手綱を握り直した。
「ナイジェルス殿下!」
騎士数名と別邸に駆け込んだサルジャンは、高く深く繁る林に囲まれた庭で、のんびり茶を楽しむナイジェルスと母リラ、妹ユートリーを見つけた。
その姿はなんとも長閑で、今から起きようとしている断罪など別世界のようだ。
「ナイジェルス殿下、ゴールダイン殿下より至急城へお戻りになられるようにと。書状がこれに」
「うむ、とうとう来たか。ではすぐに出立しよう。だいぶ急いでいるようですからトリーとリラ様もそのままで馬車にお乗りください」
城に上がるにはドレスコード低めのカジュアルなドレスを着ているふたりだが、むしろ隠れて過ごしていた体を見せつけることができると、ナイジェルスはそこまで計算して二人の女性を急かしたのだった。
馬車に王子とリラ、ユートリー、そしてサルジャンが乗り込み、護衛は元々ナイジェルスについていた護衛団とソイスト侯爵家の騎士団数名、かなり手厚い護衛団に守られ、久しぶりにナイジェルスはソイスト侯爵家の森を出て王都へ向かった。
キャロラ妃の茶会で、トローザーの冷たいあしらいに瞬間的にキレたミイヤの絶叫事件は、即国王と王妃、ゴールダイン王子に伝えられていた。
トローザーが焦ってミイヤを女官に託したが、その女官こそが王の影の一人であり、ミイヤは休憩室ではなく謁見の間の控え室へ連れて行かれたのだ。
ミイヤを女官に渡したあとも、トローザーは茶会に来た令嬢たちが遠巻きに噂をする囁き声にうんざりし、体勢を整えることもできないまま逃げ出すしかなかったが、先に行ったはずのミイヤの姿は休憩室にない。
「化粧直しにでも行ったのか?」
泣き喚いて酷い顔をしていたミイヤが戻ったら、どうしてくれようかと。
怒りは拳に込められ、ぶるぶると震えていた。
「こちらに連れてくるようだぞ」
「左様でございますか。では私たちは席を外しておきましょうか」
「別にいても良いのではないか?」
「いえ、ミイヤ嬢がトローザー王子と繋がっているなら、私やゴールダインについて悪いことしか聞いていないだろうと思いますし、ここにおりましたら警戒されると思いますの」
王妃の言葉に、国王はなるほどと納得して。
「では王妃とゴールダインはそちらの控えの間に、ナイジェルスとユートリー嬢も到着したら裏からそちらに通せ」
「ああっ、本当にナイジェルスに会えるのですね」
王の言葉にうっとりしたように王妃が呟くと、王もゴールダイン王子も改めて気がついたように少しだけ微笑んだ。
∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈
いつもお読み頂きありがとうございますm(_ _)m
次話から最終章になります。
ここまでは一日2回更新していましたが、本日18時更新のあと、明日より一日一回朝6時に更新します。
最後までよろしくお願い致します。
執事のスチューが早足で執務室に滑り込む。
「今か?茶会で何かあったのだろうか?ジャンは?」
「既に馬で出られております」
「そのほうが早いな、私もそうしよう」
父を待つという選択肢はサルジャンにはなかったらしいと、苦笑しながら愛馬に飛び乗った。
しかしその時サルジャンは、マーカスとは違い、ソイスト侯爵家の別邸に向かっていたのだ。
ゴールダイン王子からの書状はマーカスには城へ、サルジャンにはナイジェルスとユートリーを連れて城へというものだった。
サルジャンは騎士数名を引き連れて馬を駆っている。急な命令だったので父にも相談せず飛び出したが、城で大きな事態の進展があったのだと理解している。
ユートリーの死に高笑いをするミイヤを見ることに限界を迎えていたサルジャンは、ようやく解放されると手綱を握り直した。
「ナイジェルス殿下!」
騎士数名と別邸に駆け込んだサルジャンは、高く深く繁る林に囲まれた庭で、のんびり茶を楽しむナイジェルスと母リラ、妹ユートリーを見つけた。
その姿はなんとも長閑で、今から起きようとしている断罪など別世界のようだ。
「ナイジェルス殿下、ゴールダイン殿下より至急城へお戻りになられるようにと。書状がこれに」
「うむ、とうとう来たか。ではすぐに出立しよう。だいぶ急いでいるようですからトリーとリラ様もそのままで馬車にお乗りください」
城に上がるにはドレスコード低めのカジュアルなドレスを着ているふたりだが、むしろ隠れて過ごしていた体を見せつけることができると、ナイジェルスはそこまで計算して二人の女性を急かしたのだった。
馬車に王子とリラ、ユートリー、そしてサルジャンが乗り込み、護衛は元々ナイジェルスについていた護衛団とソイスト侯爵家の騎士団数名、かなり手厚い護衛団に守られ、久しぶりにナイジェルスはソイスト侯爵家の森を出て王都へ向かった。
キャロラ妃の茶会で、トローザーの冷たいあしらいに瞬間的にキレたミイヤの絶叫事件は、即国王と王妃、ゴールダイン王子に伝えられていた。
トローザーが焦ってミイヤを女官に託したが、その女官こそが王の影の一人であり、ミイヤは休憩室ではなく謁見の間の控え室へ連れて行かれたのだ。
ミイヤを女官に渡したあとも、トローザーは茶会に来た令嬢たちが遠巻きに噂をする囁き声にうんざりし、体勢を整えることもできないまま逃げ出すしかなかったが、先に行ったはずのミイヤの姿は休憩室にない。
「化粧直しにでも行ったのか?」
泣き喚いて酷い顔をしていたミイヤが戻ったら、どうしてくれようかと。
怒りは拳に込められ、ぶるぶると震えていた。
「こちらに連れてくるようだぞ」
「左様でございますか。では私たちは席を外しておきましょうか」
「別にいても良いのではないか?」
「いえ、ミイヤ嬢がトローザー王子と繋がっているなら、私やゴールダインについて悪いことしか聞いていないだろうと思いますし、ここにおりましたら警戒されると思いますの」
王妃の言葉に、国王はなるほどと納得して。
「では王妃とゴールダインはそちらの控えの間に、ナイジェルスとユートリー嬢も到着したら裏からそちらに通せ」
「ああっ、本当にナイジェルスに会えるのですね」
王の言葉にうっとりしたように王妃が呟くと、王もゴールダイン王子も改めて気がついたように少しだけ微笑んだ。
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いつもお読み頂きありがとうございますm(_ _)m
次話から最終章になります。
ここまでは一日2回更新していましたが、本日18時更新のあと、明日より一日一回朝6時に更新します。
最後までよろしくお願い致します。
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