【完結】許さないってどういうことですか?それは私の台詞です。

やまぐちこはる

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12話

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 マードル・メリエラ伯爵はヨドル・アルメ子爵に、ティミリが怪我などしていないのにわざと包帯を巻き、ナナリーに階段を突き落とされたと嘘をついてタケリードを焚き付けたこと。  
 その結果、それを信じたタケリードがナナリーを人前で貶める事件が起きたことを、淡々と説明した。

 不快そうな表情のアルメ子爵の顔がどんどんと赤く、怒りに歪んでいく。

 すべて話し終えたマードルに、深々と頭を下げた子爵は

「此度のこと、仰有られるとおり私の管理不行き届きによりご迷惑をおかけ致しました、深くお詫び申し上げます。ろくに教育を受けていないような者を、温情をかけて学院にやるのではありませんでした。私の考え違いにより、ご令嬢の名誉を傷付ける行いを当家に縁あるものが致した始末は、アルメの名にかけて必ずやつけるとお約束致します。慰謝料ももちろんお支払い致しますので、何卒、何卒ご容赦くださいますよう」

 始末と聞こえて、ティミリがぴくっと反応した。

「始末って、始末ってなによ、おとうさまっ!」

 あれほど拒絶されたにも関わらず、まだアルメ子爵を父と呼ぶのはなぜだろう?

 タケリードはふいにふしぎになって、ティミリを見た。
 いつも金の髪をふわふわと巻いていたかわいらしい令嬢は、そこにはいなかった。
 振り乱した髪はボサボサ、そしてかわいいと思っていたティミリの顔は泣いたり叫んだりして化粧が崩れたようで、目の下は黒く染まり、肌にはひびが走っている。ぱちりとした大きな目のはずがなぜかまつ毛が取れかかり・・・

─これは?これは誰だ?

 顔をあげたタケリードにティミリが言った「たすけて」の声で、ようやくこれがティミリだったと気がついた。

「おれ・・は・・・本当に何から何まで騙されていたんだな・・・」

 タケリードはティミリを責める気は起きなかった。自分が悪いのだ。ナナリーが歩み寄ってくれていたときに、自分もそうするべきだった。
 自分が気に入らないから、趣味が合わないからと無視をした。
ナナリーだって自分を気に入らなかったかもしれないのに。

 タケリードはのろのろと立ち上がると、深く腰を折り、マードルに頭を下げた。

「こうなったのは俺・・・私の自業自得です。どんな処分もお受けします。ですが、メリエラ伯爵様。もしできましたらっ、厚かましいお願いですが、ザンバト伯爵家傘下の貴族に類が及ばぬよう、お取り計らい頂けないでしょうか。私の処分が重くなるのは当然のこととして受け入れますっ」

 タケリードは叫ぶように謝罪を、そして他の者への気遣いを見せた。

「なに言ってるのよ、私はイヤよ!ひどい目にあわされてるのは私のほうじゃないっ!あんな女絶対にゆるさないわ!なんで私が処分されるのよ、ふざけんなっ」

 さらに何か言おうとしたが、アルメ子爵が汚いものに触るように、ハンカチを手にしてその口を塞いだ。
むぐむぐと何かを言おうとしているが、誰ももう何も聞きたくない。

「沙汰は追って知らせる」

 マードルの言葉をきっかけに二家の貴族たちは屋敷へと、項垂れて帰って行った。

    


***
あと一話で本編完結です。
よろしくお願い致します。
***
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