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夢は交錯する
第20話
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※話数を間違えておりました。
19話を20話に訂正。
_______________________________
静静と、銀髪の女性とノアランより少し年上の青年が屋敷から歩いてくる。
「リア」
ヤーリッツが手を振ると、ふたりも手を振り返した。
「妻と長男が参りました」
近くに来ると、夫人はノアランとよく似ていて、美しい銀髪とくっきりとした菫の瞳をしている。
二人の息子がいる母としては格段に若く美しい夫人を見て、何故かカーラはマトウ・ローリスの妻はこんな女性ではなかったかとそんなことを考えていた。
「リア、キーシュ」
名を呼ばれた二人がヤーリッツとノアランの間に立つと、父似の長男、母似の次男というのがよくわかる仲の良い四人家族が姿を現す。
「妻のキャメイリアと嫡男キーシュです」
「ようこそいらっしゃいました、キャメイリアと申します」
華麗で優美で、その仕草の美しさにカーラでさえ思わず見とれたカーテシーで。
─素敵な方!憧れの貴婦人だわ、こんな風に美しく年を取りたい─
キャメイリアを見つめるカーラの前に、キーシュが立つ。
「はじめましてキーシュ・ヴァーミルです」
声をかけられて、カーラの視線が動く。
─すごい、侯爵様そっくり!─
とは言えないが、あまりの激似ぶりに目が笑った。
「リアちょっといいか」
ヤーリッツは聞いたばかりのマトウの話をするため、キャメイリアをこどもたちから引き離すと耳元に顔を寄せ、こそこそと囁く。
聞き終えたキャメイリアの晴れやかな笑みを見て、ノアランも頷いた。
「ではそろそろ中に入り、食事を楽しみましょう」
「侯爵夫人、シルベスの貴族の女性は髪は誰に手入れしてもらうのですか」
さっきからカーラはキャメイリアを質問攻めにしている。
シルベスの貴婦人が美にかける情熱はコーテズ以上だ、その女性ならではの視点で話を聞きたくてたまらなかったのだが。
「シーズン様」
ノアランが話に割り込み、話したそうな顔をする。
「女性向けの店を始めるので、ぜひ夫人とお話をさせていただきたいのですけど」
カーラがキャメイリア優先と匂わすと、わかりやすくノアランがしょぼんとするのだ。
それを察した母は一計を案じた。
「シーズン様はまだこちらにいらっしゃるのでしょう?シルベスの貴族女性とお話をご希望でしたら私が茶会でも催しましょうか?」
「まあ!本当に?それはとってもありがたいですわ」
「では女性同士のお話はそのときにするということで」
ノアランがカーラと話せるように、キャメイリアは視線で促してやった。
「あのシーズン様」
ノアランが声をかけると、カーラはそれで思い出したように言った。
「そう!皆様わたくしをシーズン様ではなくぜひカーラとお呼びくださいな」
にっこりと。
ほら、カーラと呼びなさいよ!とノアランを見ると、何故か頬が赤くなり。
「カ、カーラ嬢・・・っ!」
息をするのを忘れていたように、たったそれだけ言うのが精一杯のノアランを兄キーシュは面白そうに眺めていた。
19話を20話に訂正。
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静静と、銀髪の女性とノアランより少し年上の青年が屋敷から歩いてくる。
「リア」
ヤーリッツが手を振ると、ふたりも手を振り返した。
「妻と長男が参りました」
近くに来ると、夫人はノアランとよく似ていて、美しい銀髪とくっきりとした菫の瞳をしている。
二人の息子がいる母としては格段に若く美しい夫人を見て、何故かカーラはマトウ・ローリスの妻はこんな女性ではなかったかとそんなことを考えていた。
「リア、キーシュ」
名を呼ばれた二人がヤーリッツとノアランの間に立つと、父似の長男、母似の次男というのがよくわかる仲の良い四人家族が姿を現す。
「妻のキャメイリアと嫡男キーシュです」
「ようこそいらっしゃいました、キャメイリアと申します」
華麗で優美で、その仕草の美しさにカーラでさえ思わず見とれたカーテシーで。
─素敵な方!憧れの貴婦人だわ、こんな風に美しく年を取りたい─
キャメイリアを見つめるカーラの前に、キーシュが立つ。
「はじめましてキーシュ・ヴァーミルです」
声をかけられて、カーラの視線が動く。
─すごい、侯爵様そっくり!─
とは言えないが、あまりの激似ぶりに目が笑った。
「リアちょっといいか」
ヤーリッツは聞いたばかりのマトウの話をするため、キャメイリアをこどもたちから引き離すと耳元に顔を寄せ、こそこそと囁く。
聞き終えたキャメイリアの晴れやかな笑みを見て、ノアランも頷いた。
「ではそろそろ中に入り、食事を楽しみましょう」
「侯爵夫人、シルベスの貴族の女性は髪は誰に手入れしてもらうのですか」
さっきからカーラはキャメイリアを質問攻めにしている。
シルベスの貴婦人が美にかける情熱はコーテズ以上だ、その女性ならではの視点で話を聞きたくてたまらなかったのだが。
「シーズン様」
ノアランが話に割り込み、話したそうな顔をする。
「女性向けの店を始めるので、ぜひ夫人とお話をさせていただきたいのですけど」
カーラがキャメイリア優先と匂わすと、わかりやすくノアランがしょぼんとするのだ。
それを察した母は一計を案じた。
「シーズン様はまだこちらにいらっしゃるのでしょう?シルベスの貴族女性とお話をご希望でしたら私が茶会でも催しましょうか?」
「まあ!本当に?それはとってもありがたいですわ」
「では女性同士のお話はそのときにするということで」
ノアランがカーラと話せるように、キャメイリアは視線で促してやった。
「あのシーズン様」
ノアランが声をかけると、カーラはそれで思い出したように言った。
「そう!皆様わたくしをシーズン様ではなくぜひカーラとお呼びくださいな」
にっこりと。
ほら、カーラと呼びなさいよ!とノアランを見ると、何故か頬が赤くなり。
「カ、カーラ嬢・・・っ!」
息をするのを忘れていたように、たったそれだけ言うのが精一杯のノアランを兄キーシュは面白そうに眺めていた。
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