僕らが生きた世界線

むらさきおいも

文字の大きさ
20 / 23
二人で

久しぶりの再会

しおりを挟む
あれから一週間が経ち謙信は無事退院したが、俺も謙信も何かと時間が取れなくて会う事も出ず、とうとう俺は卒業を迎え俺も晴れて大人への仲間入り。

これでやっと二人で気兼ねなく外を歩いたり遊んだりお泊まりしたりできると思うと、ワクワクを抑えられず友達のと別れを惜しむ間もなく、急いで家に帰り着替えて謙信の元へと向かった。

教えてもらった住所を確認し、電車に乗って最寄りの駅で降りると、そこは俺が通う予定の大学のすぐ近くだった。

そして改札を抜けて辺りを見回すと、ポケットに手を突っ込んで壁にもたれ掛かった謙信の姿が見えた。

すぐに抱きつきたい衝動を抑えながら、深呼吸をして歩き出したこちらに謙信が気が付き目が合うと、謙信は壁から離れポケットから出した手をひょいっと上げた。


「よっ」

「家で待ってるって…」

「あぁ、何か家にいてもソワソワしちゃってさ…」


頭を掻きながら照れくさそうに視線を逸らし、耳まで真っ赤な謙信が可愛すぎて、思わず謙信のコートの裾をぎゅっとつかんだ。


「んっ?」

「あ…ありがとう、迎えに来てくれて…っ///」

「おぅ///」


照れくさくてお互い目も合わせられなくて、そこに突っ立ったまま暫く時が流れる。


「…なぁ、洵太」

「ん?」

「手ぇ…繋いでいい?」

「えっ、今!?ここで!?」

「うん…だめ…?」

「ダメ…じゃないけどっ、なんか…その…っ///」

「ん、じゃこれは?」


拒否する間もなく手を掴まれ、謙信のコートのポケットの中にすっぽりと収められた。


「ち、近いじゃんっ///」

「じゃあ離していいよ?」

「…いい、このままで…っ///」


隠れているとはいえ手を繋ぐなんてしたこと無かったし、まして外でなんて恥ずかしくて仕方ないのに、握られた手を絶対に離したくはなくて、思いの外しっかりと握り返した。


「ごめんな、色々心配かけて…」

「ううん、先生が元気なったならそれでいい」

「ん?先生?」

「えっ?」

「謙信って言ってくれてたじゃん」

「…っ///」


全く意識なんてしてなかったけど、久しぶりに会った謙信はやっぱり先生で、改めて謙信って呼ぼうと思っても面と向かって呼び捨てなんて緊張しちゃって無理だ。


「呼んでくれないの?」

「そ、そのうち…」

「えぇ~っ、鍋島ぁ~」

「なっ、そっちだって…」

「だって鍋島が名前で呼んでくんないから…」

「わかった、ちゃんと呼ぶからっ…」


とは言え用もないのに名前を呼んでも仕方ないので、その時がきたら言おうなんて勝手に自分で決めて、誘導されるがまま数分で謙信の住むマンションに到着した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

恋愛速度【あっというまに始まった、おれと遊び人の先輩の恋の行方……】

毬村 緋紗子
BL
高校生になったばかりの千波矢は、2コ上の先輩、高城 慶と知り合う。 女の子にモテる慶は、これまでかなり派手に遊んできたらしい。 そんな慶から告白されて付き合いはじめた千波矢だったけれど、すぐに身体を求められて、戸惑い、思い悩んでしまう。 先輩は、本当におれのことが好きなのかな おれは、先輩に遊ばれてるだけなのかな──。 〈登場人物〉 瀧川 千波矢 タキガワ チハヤ 高1 高城 慶 タカシロ ケイ 高3 表紙イラストは、生成AIによる自作です。 エールをありがとうございます!(ω〃)

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

まるでおとぎ話

志生帆 海
BL
追い詰められて……もう、どうしたら……どこへ行けばいいのか分からない。 病弱な弟を抱えた僕は、怪しげなパーティーへと向かっている。 こちらは2018年5月Twitter上にて募集のあった『絵師様アンソロジー企画』参加作品の転載になります。1枚の絵師さまの絵に、参加者が短編を書きました。 15,000程度の短編になりますので、気軽にお楽しみいただければ嬉しいです。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

恋した貴方はαなロミオ

須藤慎弥
BL
Ω性の凛太が恋したのは、ロミオに扮したα性の結城先輩でした。 Ω性に引け目を感じている凛太。 凛太を運命の番だと信じているα性の結城。 すれ違う二人を引き寄せたヒート。 ほんわか現代BLオメガバース♡ ※二人それぞれの視点が交互に展開します ※R 18要素はほとんどありませんが、表現と受け取り方に個人差があるものと判断しレーティングマークを付けさせていただきますm(*_ _)m ※fujossy様にて行われました「コスプレ」をテーマにした短編コンテスト出品作です

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

処理中です...