22 / 25
六章:掟破りのキサ
22話
しおりを挟む
「そんなくだらぬことを言いに来たのか」
ダネルはエトナに背を向けて、本を読んだまま言い放った。
「くだらないことではありません! お母様を侮辱したのです! ひいては、お父様のことも、侮辱したのですよ!」
エトナは抗議した。しかしダネルは本をめくる手を止めなかった。
「お父様!」
エトナはもう一度父を呼んだ。
「お前はもう七つだろう。いい加減に赤子のような発音はやめろ」
ダネルの口調は冷たかった。エトナは目を伏せた。
「何度も説明しているが、お前はいずれ、この領地を治めるだけの器の男を婿に取る身だ。それに相応しい器量を身につけねばならない。使用人どもの陰口など、くだらない事に耳を傾ける暇があるなら、その分努力を重ねろ」
そんなことはわかっている。努力だってしている。エトナはそう言いたかったが、言い返せなかった。エトナはいつだって、肝心なときに言葉を継げない。それが悔しかった。
「しかし……お前の気持ち、わからなくもない」
ダネルは椅子からおりてエトナのほうへ足を進めた。エトナは期待の気持ちで顔を上げた。
「お前が私の言うことを聞くと約束すれば、使用人どもの処分について考えよう」
「本当ですか? どんなことをすればいいのですか!」
エトナはぴょんと跳びはねた。ダネルはエトナを冷たい目で見た。エトナは気まずそうに姿勢を正した。ダネルはエトナの両肩に手を置き、やおら口を開いた。
「これから毎日、キサにこう言え。『神様の名を教えて』と……」
「神様の名前?」
エトナは首をかしげた。神様の名前……我らが神、唯一神シュードの名前なら、エトナだって知っている。神話の神様は、今ではただの昔話だ。
「どうしてそんなことをお母様に聞くのですか?」
ダネルは冷たい目でエトナをにらんだ。エトナはまた何も言えなくなった。
「……わかりました。約束します」
「よろしい。ならばお前の願いを聞き届けよう」
その言葉通り、ダネルは陰口を言った使用人たちを即日首にした。エトナの教師の契約も打ち切った。
眠る前に、エトナはキサが待つ部屋に戻った。貴族の娘であるエトナは、日中は両親とともに過ごさない。教師や世話係のもとで過ごし、夜の短い間だけ、母親と一緒にいられるのだ。エトナは夜が大好きだった。優しい母が歌うのを聞きながら眠る瞬間が、一番心地よくて、一番幸せだった。
キサは言葉を発することはできない。それでもキサは毎日不思議な歌を口ずさんでいた。音のない不思議な歌だ。エトナは、母の唇の動きから、母が出そうとしている音を探っていた。この歌に、意味があるのかないのかさえ、エトナにはわからない。だけど、毎日のように聞いていると、「ダージャ」という音には何か意味があるように思えてきた。その音を紡ぐキサの唇は、どことなくなまめかしくて、その顔はとても切なかった。
エトナはその歌を滑らかに口ずさむことができた。キサはいつも笑顔でエトナの歌を聴いてくれた。
「ウツヌ……ヴォウト……ダージャ、ゼゼトーア。ゼゼトーア……ウツヌ……ジェラゾジ……アーナ、ゲ、ヴォウト……ダージャ……」
エトナは一度だけ、この歌をお父様に聞かせてあげたい、と言ったことがある。そのとき、キサはとても怖い顔をして首を横に振った。何故だめなのか聞きたかった。そのときも、エトナは何も言えなかった。
キサが歌い終わると、エトナは甘えるようにキサの側に寄り、思い切って聞いてみた。
「お母様。神様の名前を教えて」
そのときエトナは見た。母の顔から瞬時に血の気が引いていくのを。キサは震えだした。口をぱくぱくさせ、陸にあがった魚のように苦しそうな顔をした。
エトナは、自分がとんでもないことを言ったと、すぐに気がついた。
「お母様!」
エトナはキサに抱きついて、いつもキサがそうしてくれるように、背中をそっとなでた。しばらくするとキサは落ちついてきた。その間、エトナは考えていた。お父様から、そう聞けと言われた、と、正直に打ち明けるか。今の言葉は何でもないとごまかすか。悩んだ末、エトナは笑ってごまかすことにした。
「そうだわ! 天上におわします、我らが神のお名前はシュード。やっと思い出したわ。よかった、これで先生に叱られることもないわ」
これ以上話すと、余計なことを言いそうなので、エトナは黙ることにした。口が軽いのがエトナの欠点だった。
キサはエトナをぎゅっと抱きしめた。キサの胸の鼓動が、エトナにははっきりと聞こえてきた。自分の心も、お母様に伝わってしまうのではないかと、エトナは心配した。
「おやすみなさい、お母様」
エトナは慌てて布団に潜り込んだ。
その夜はいつまでも眠れなかった。エトナは、もう二度と神様の名前など聞かないと心に誓った。お父様には、お母様に尋ねても何も教えてくださらない。だって、お母様は口が利けないのよ、お父様もご存じでしょう? と言おうと心に誓った。
それに、エトナには、もしキサが口を利けるなら、真っ先に言ってほしいことがあった。
(お母様、一度でいいから、私の名前を呼んで。エトナって呼んで……)
しかし、その想いを口にしたことは一度もなかった。エトナはいつだって、肝心なときに言葉を継げない。
次の教師は優秀な人物だった。発音を矯正する方法をよく心得ていて、エトナの発音はあっという間によくなった。そうすると、エトナも自信がついてきた。自信がつくと、努力が苦でなくなってきた。
エトナは詩を読み、糸を紡ぎ、機を織った。それは貴族の婦人のたしなみだった。針仕事はキサから教わった。エトナの腕前は、裁縫の教師が驚くほどまで成長した。
やがて、エトナは十五歳になった。
ダネルはエトナに背を向けて、本を読んだまま言い放った。
「くだらないことではありません! お母様を侮辱したのです! ひいては、お父様のことも、侮辱したのですよ!」
エトナは抗議した。しかしダネルは本をめくる手を止めなかった。
「お父様!」
エトナはもう一度父を呼んだ。
「お前はもう七つだろう。いい加減に赤子のような発音はやめろ」
ダネルの口調は冷たかった。エトナは目を伏せた。
「何度も説明しているが、お前はいずれ、この領地を治めるだけの器の男を婿に取る身だ。それに相応しい器量を身につけねばならない。使用人どもの陰口など、くだらない事に耳を傾ける暇があるなら、その分努力を重ねろ」
そんなことはわかっている。努力だってしている。エトナはそう言いたかったが、言い返せなかった。エトナはいつだって、肝心なときに言葉を継げない。それが悔しかった。
「しかし……お前の気持ち、わからなくもない」
ダネルは椅子からおりてエトナのほうへ足を進めた。エトナは期待の気持ちで顔を上げた。
「お前が私の言うことを聞くと約束すれば、使用人どもの処分について考えよう」
「本当ですか? どんなことをすればいいのですか!」
エトナはぴょんと跳びはねた。ダネルはエトナを冷たい目で見た。エトナは気まずそうに姿勢を正した。ダネルはエトナの両肩に手を置き、やおら口を開いた。
「これから毎日、キサにこう言え。『神様の名を教えて』と……」
「神様の名前?」
エトナは首をかしげた。神様の名前……我らが神、唯一神シュードの名前なら、エトナだって知っている。神話の神様は、今ではただの昔話だ。
「どうしてそんなことをお母様に聞くのですか?」
ダネルは冷たい目でエトナをにらんだ。エトナはまた何も言えなくなった。
「……わかりました。約束します」
「よろしい。ならばお前の願いを聞き届けよう」
その言葉通り、ダネルは陰口を言った使用人たちを即日首にした。エトナの教師の契約も打ち切った。
眠る前に、エトナはキサが待つ部屋に戻った。貴族の娘であるエトナは、日中は両親とともに過ごさない。教師や世話係のもとで過ごし、夜の短い間だけ、母親と一緒にいられるのだ。エトナは夜が大好きだった。優しい母が歌うのを聞きながら眠る瞬間が、一番心地よくて、一番幸せだった。
キサは言葉を発することはできない。それでもキサは毎日不思議な歌を口ずさんでいた。音のない不思議な歌だ。エトナは、母の唇の動きから、母が出そうとしている音を探っていた。この歌に、意味があるのかないのかさえ、エトナにはわからない。だけど、毎日のように聞いていると、「ダージャ」という音には何か意味があるように思えてきた。その音を紡ぐキサの唇は、どことなくなまめかしくて、その顔はとても切なかった。
エトナはその歌を滑らかに口ずさむことができた。キサはいつも笑顔でエトナの歌を聴いてくれた。
「ウツヌ……ヴォウト……ダージャ、ゼゼトーア。ゼゼトーア……ウツヌ……ジェラゾジ……アーナ、ゲ、ヴォウト……ダージャ……」
エトナは一度だけ、この歌をお父様に聞かせてあげたい、と言ったことがある。そのとき、キサはとても怖い顔をして首を横に振った。何故だめなのか聞きたかった。そのときも、エトナは何も言えなかった。
キサが歌い終わると、エトナは甘えるようにキサの側に寄り、思い切って聞いてみた。
「お母様。神様の名前を教えて」
そのときエトナは見た。母の顔から瞬時に血の気が引いていくのを。キサは震えだした。口をぱくぱくさせ、陸にあがった魚のように苦しそうな顔をした。
エトナは、自分がとんでもないことを言ったと、すぐに気がついた。
「お母様!」
エトナはキサに抱きついて、いつもキサがそうしてくれるように、背中をそっとなでた。しばらくするとキサは落ちついてきた。その間、エトナは考えていた。お父様から、そう聞けと言われた、と、正直に打ち明けるか。今の言葉は何でもないとごまかすか。悩んだ末、エトナは笑ってごまかすことにした。
「そうだわ! 天上におわします、我らが神のお名前はシュード。やっと思い出したわ。よかった、これで先生に叱られることもないわ」
これ以上話すと、余計なことを言いそうなので、エトナは黙ることにした。口が軽いのがエトナの欠点だった。
キサはエトナをぎゅっと抱きしめた。キサの胸の鼓動が、エトナにははっきりと聞こえてきた。自分の心も、お母様に伝わってしまうのではないかと、エトナは心配した。
「おやすみなさい、お母様」
エトナは慌てて布団に潜り込んだ。
その夜はいつまでも眠れなかった。エトナは、もう二度と神様の名前など聞かないと心に誓った。お父様には、お母様に尋ねても何も教えてくださらない。だって、お母様は口が利けないのよ、お父様もご存じでしょう? と言おうと心に誓った。
それに、エトナには、もしキサが口を利けるなら、真っ先に言ってほしいことがあった。
(お母様、一度でいいから、私の名前を呼んで。エトナって呼んで……)
しかし、その想いを口にしたことは一度もなかった。エトナはいつだって、肝心なときに言葉を継げない。
次の教師は優秀な人物だった。発音を矯正する方法をよく心得ていて、エトナの発音はあっという間によくなった。そうすると、エトナも自信がついてきた。自信がつくと、努力が苦でなくなってきた。
エトナは詩を読み、糸を紡ぎ、機を織った。それは貴族の婦人のたしなみだった。針仕事はキサから教わった。エトナの腕前は、裁縫の教師が驚くほどまで成長した。
やがて、エトナは十五歳になった。
1
あなたにおすすめの小説
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
【完結】国外追放の王女様と辺境開拓。王女様は落ちぶれた国王様から国を買うそうです。異世界転移したらキモデブ!?激ヤセからハーレム生活!
花咲一樹
ファンタジー
【錬聖スキルで美少女達と辺境開拓国造り。地面を掘ったら凄い物が出てきたよ!国外追放された王女様は、落ちぶれた国王様゛から国を買うそうです】
《異世界転移.キモデブ.激ヤセ.モテモテハーレムからの辺境建国物語》
天野川冬馬は、階段から落ちて異世界の若者と魂の交換転移をしてしまった。冬馬が目覚めると、そこは異世界の学院。そしてキモデブの体になっていた。
キモデブことリオン(冬馬)は婚活の神様の天啓で三人の美少女が婚約者になった。
一方、キモデブの婚約者となった王女ルミアーナ。国王である兄から婚約破棄を言い渡されるが、それを断り国外追放となってしまう。
キモデブのリオン、国外追放王女のルミアーナ、義妹のシルフィ、無双少女のクスノハの四人に、神様から降ったクエストは辺境の森の開拓だった。
辺境の森でのんびりとスローライフと思いきや、ルミアーナには大きな野望があった。
辺境の森の小さな家から始まる秘密国家。
国王の悪政により借金まみれで、沈みかけている母国。
リオンとルミアーナは母国を救う事が出来るのか。
※激しいバトルは有りませんので、ご注意下さい
カクヨムにてフォローワー2500人越えの人気作
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
逆行令嬢と転生ヒロイン
未羊
ファンタジー
【注意】この作品は自己転載作品です。現在の他所での公開済みの分が終了後、続編として新シリーズの執筆を予定しております。よろしくお願い致します。
【あらすじ】
侯爵令嬢ロゼリア・マゼンダは、身に覚えのない罪状で断罪、弁明の機会も無く即刻処刑されてしまう。
しかし、死んだと思った次の瞬間、ベッドの上で目を覚ますと、八歳の頃の自分に戻っていた。
過去に戻ったロゼリアは、処刑される未来を回避するべく、経過を思い出しながら対策を立てていく。
一大ジャンルとも言える悪役令嬢ものです
婚約者が聖女を選ぶことくらい分かっていたので、先に婚約破棄します。
黒蜜きな粉
恋愛
魔王討伐を終え、王都に凱旋した英雄たち。
その中心には、異世界から来た聖女と、彼女に寄り添う王太子の姿があった。
王太子の婚約者として壇上に立ちながらも、私は自分が選ばれない側だと理解していた。
だから、泣かない。縋らない。
私は自分から婚約破棄を願い出る。
選ばれなかった人生を終わらせるために。
そして、私自身の人生を始めるために。
短いお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる