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第二章:光の国・オーラント
第17話
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その答えを聞くと、ローレンツは大きな嘆息をついた。一気に全身の力を抜いて脱力する。と、丁度そのタイミングで応接室の扉がノックされた。
「し、失礼しまーす……お茶をお持ちしましたー……」
「ああ、置いておいてくれ……」
受付嬢はテーブルの上にカップを置くと応接室から出て行った。レーメンスは目の前に置かれたカップを手に取ると、今までののどの渇きを一気に潤すかのように中のお茶を飲み干した。
「あぁ~……そうか、そうか! 良かった! 転生者か! ならこのランクも適正値の異常も納得だ! 残業は免れたぜ!! 嫌な仕事もしなくて良い!!」
今までの雰囲気をどこかに投げ捨てたかのように、ローレンツの雰囲気がガラリと一変する。その表情は重荷が降りたと言わんばかりに晴れやかなものだった。
「安心してくれ、アンタの正体は何かとか、前世の様子だとかは聞かないぜ。そういう事を根掘り葉掘り聞くのはギルドのモットーに反するからな。」
「そ、そんなことよりも、ボクが転生者かどうか、何で聞いたんですか?」
おそるおそるといった様子でクロエが尋ねる。正直クロエは疑問など発さずこの場をやり過ごしたい所だったが、ミーナは用意されたお茶を一口飲んで「これは良い茶葉ですね……」と呟いているし、サラに至ってはいまだに呆気にとられている。クロエが疑問せずに誰が疑問できようか。
クロエの疑問を受けたローレンツは改めてクロエらの方へと向き直った。
「あぁ、その疑問は当然だな。もっともだ。さて、何で聞いたかって言うとだな、もしこんな異常とも呼べるステータスを持つ奴が何の脈絡もなくポッと国内に現れてみろ。ソイツは間違いなく人間じゃねえ。現実に人類でSランクを取ったことのある奴はいないしな。そして十中八九ソイツは悪意を持っている。よしんばただの突然変異の人類だとしても、まず真っ先に王宮に連れてって研究対象だ。」
ローレンスの言葉にクロエはゾッとした。だが、同時にその発想は間違っていないことも分かる。クロエの、前世の世界の歴史がそのことを証明してくれる。だが、どうしても納得できないのが心情なのか、微かな嫌悪感が表に現れてしまっていた。
ローレンスは敏感に雰囲気を感じ取った。言葉を続ける。
「まぁ、気持ちのいい話じゃねぇのも分かる。だが、国って言うのはそう言うもんだ。綺麗事ばかりじゃあ、やっていけねぇ。この世界はおとぎ話なんかじゃなくて、実在する現実(リアル)なんだからな。ただ、安心してくれ。見たところアンタは人類じゃなさそうだし、色々研究した方が国のためだろうが、転生者だからそんなことはしない。転生者は往々にして特殊な力とか、特殊な状況にあるからな。研究したって仕方ねぇ。」
そこまで言うとローレンスは立ち上がり右手を差し出した。そして笑って言葉を続けた。
「改めて、ギルドへようこそ。俺たちは強い奴を歓迎するぜ。今後ともよろしく。」
「あっ、は、はい。よろしく御願いしま……」
クロエも立ち上がり握手を変えそうとする。しかし、握ろうとした手は横から伸びてきた別の手によって遮られてしまった。
「えっ?」
「こ・ち・ら・こ・そ。よろしく、御願い、しますわ……!」
見ると、先ほどまで呆気にとられていたサラがいつの間にか復活を果たし、ローレンスの手を笑顔で握っていた。だが、その笑顔はすごみを感じさせる笑みであり、握りしめる手は相手の指先が紫になるほど強く握られていた。
ローレンスは突然のことに、ただ「あ痛ったたた!?」と声を上げた。急いで手を振り払うと哀れな姿になってしまった自身の右手を見る。その隙にサラはクロエを抱きしめていた。
「な、なんつう事する嬢ちゃんだ……恐ろしいぜ……」
「恐ろしいのはこっちのセリフですわ!! さっきから聞いていれば随分とクロエさんになれなれしい……あまつさえ、このクロエさんの可愛らしい手を握ろうとするだなんて……この×××――」
「お嬢様、そこまでです。それ以上は淑女としてなりません。」
ヒートアップしたサラが思わずはきかけた悪態をすんでの所でミーナが食い止めた。クロエとローレンツはただただ呆気にとられるばかりである。
勢いを止められたサラは少し冷静になったのか、「少し言い過ぎました、申し訳ありませんわ。」とローレンツに謝罪した。そこに気持ちがこもっていたかどうかは別であるが。
「……少しかどうかは、是非とも話し合いてぇもんだが、まぁいい。」
ローレンツはテーブルの上に置かれた葉巻に手を伸ばしながら言った。
「これで最後だ。一応ギルドの規定でAランク以上の奴には『二つ名』を与えることになっている。まぁ、一種の勲章みたいなモンだ。有るのと無いのじゃ周りの反応が違うぜ。アンタはAランクだ。『二つ名』は何が良い?」
火を付けていない葉巻でクロエを指す。だが、突然の指名にクロエは戸惑ってしまった。しかし、突然自分の二つ名を考えろと言われてそれがスラスラと出てくる人物は、それはそれでおかしい気もするが。
悩むどころか戸惑うことしかできないクロエの横から助け船が入った。
「白銀……」
「あん?」
その声はミーナから発されたものだった。クロエをまっすぐに見据え発された言葉は、不思議な説得力を持つものだった。
「『白銀の闇』なんて如何でしょうか。」
「な、なんか仰々しいですね……」
ミーナが提案した二つ名にクロエは気後れを感じているようだった。だが、それを聞いたローレンツはニヤリと笑った。
「ほう、『白銀の闇』ねぇ……確かに嬢ちゃんには仰々しいかもしれねぇが、良いんじゃないか? 少なくともそう名乗るほどの力をアンタは持ってんだ。よっしゃ、これでアンタも晴れて二つ名持ちだ。期待してるぜ? 早速だ、ギルドカードを預かろう。情報を更新してきてやる。」
そう言うとローレンツはクロエのギルドカードを受け取り部屋を出て行った。クロエ達が出されたお茶を飲み干すまでの、ほんの少しの時間の後にローレンツは戻ってきた。そして改めてクロエにギルドカードを手渡す。
「ほら、できたぜ。アンタたちの存在はこれから規定通りギルドの全支部に通達される。まぁ間違いなくどこの支部に行っても有名人だろうな。」
「えっ!? ちょ、聞いてないですよ。」
「あ? 何だ、聞いてねぇのか。まぁでも考えてみろ。どっか別の支部に行ったとして、組合員だって認められないよりかはマシだろ?」
「いやまぁ、そうですけど……」
「諦めろ、強い奴は目立つ。有名税って奴だ。まっ、これからギルドの一員としてバリバリ貢献してくれや。頼むぜ、白銀。」
そこまで言うと、ローレンツは応接室から出て行った。残された三人は互いに顔を見合わせる。すると、開け放たれた扉の影から先ほどの受付嬢が顔を出した。
「お、終わりましたか? 終わったみたいです、ね? ……はいっ! ではこれで登録に関する一連の手続きは終了です。お疲れ様でした。これからもよろしく御願いしますね。今正面から出るとちょっとした騒ぎになると思いますから、裏口からどうぞ!」
「もう帰って良いんですの?」
「はい! あ、そういえばこれで皆さんもギルドのメンバーになったので、ギルド関連の宿がメンバー価格で利用できますよ! 是非どうぞっ!」
流石は受付嬢と言った所なのだろうか、ちゃっかり自社関連施設を紹介していた。クロエ達は今度こそとばかりに立ち上がり、応接室から出て行った。
その頃、ギルドのカウンター前では――
「おい、聞いたか? 何でもB、B+、Aランクの奴が現れたらしいぜ。」
「えっ、それってマジなのかよ? Aランクなんて一つの国に数人いるかどうかってレベルじゃん。実際この国でAランクって、『光の勇者』だけだろ?」
受付前にたくさん並んだテーブルに陣取り昼間から酒を飲んでいるギルドメンバーの間では、彗星の如く現れた高ランクメンバーの話で持ちきりであった。その話は実際に目にしたという信頼性のあるものから、もはや原形を留めないほどに尾ひれの付いた話まであった。
実際Aランク以上のメンバーが加入した際はカウンター横の掲示板にその旨が貼られるのだが、掲示板に貼られた情報は規定通り「名前」と「二つ名」のみ。それでは様々な憶測が飛ぶのも仕方ないのかもしれない。
しかし、憶測が飛び交う中でただ一人、誰とも喋らずに周りの話に聞き耳を立てている者がいた。目深にフードを被った格好からはその人物の正体はうかがえない。しばらく大きな動きも見せずにじっとしていたその人物は、突然立ち上がると、とある集団の近くに座り直した。座り直した席の後ろ、そこのテーブルでも他と同じく謎のAランクメンバーの話で持ちきりのようである。だが、他と少し違うのは、その集団の中のある男が声高に話す内容であった。
「だぁ~かぁ~らぁ! 本当だって!」
「いやぁ、流石にそれはねぇって。」
「いやいやマジマジ。俺見たもん。腰ぐらいまである真っ白い髪でさぁ、めっちゃくちゃ可愛い娘だったんだって! なんか頭から触覚みたいなくせっ毛があるのもまた可愛くてさぁ。」
「確かにそのメンバーの二つ名って『白銀の闇』らしいけどさぁ……いくらお前が小さい娘好きの変態だからって、流石にそんな娘がAランクなわけ無いって。」
「え~あの娘がそうだと思うんだけどなぁ……あ~あ、それ抜きにしてもまた会いたいなぁ……クロエちゃんって言うらしいぜ。」
「……お前が王宮前の広場で磔にされないことを祈ってるよ。」
「どういう意味だよっ!?」
その男の話す内容は実に荒唐無稽であった。周囲からは飛び交う与太話の一つと一蹴されてしまうような物である。
――その後ろで静かに話を聞いていた、ただ一人を除いては。
「ふぅん……クロエ、か……」
裏口からギルドを出た三人は再び大通りにいた。周囲は昼間の活気に満ちている。道行く人は両脇に並んだ商店を覗いたり、友人同士で歩いたりと各々が陽の時間を満喫しているようだ。
「さて、この国に来た最大の目的は果たしましたし、すぐに出国しても良いのですが……折角ですし2,3日ほどゆっくり準備をしてからにしましょう。これからの移動手段も考えなくてはいけませんしね。」
ミーナが纏めるようにそう言った。他の二人も別段反対することもないようだ。
「そうですわね。これからずっと徒歩というのも良いかもしれませんけど、流石にそれはちょっと遠慮したいですわ。」
「まぁそれについても追々考えましょう。では、私は先ほど紹介されたギルド関係の宿を当たりに行って参ります。その間、お嬢様方は散策でもしてきたら如何ですか? この国は観光地としても有名ですし、国立の博物館に行けばこの国の歴史を知ることもできます。」
「そうですわね。では、行きましょうか? クロエさん。」
「は、はい!」
クロエが緊張したように返事をした。そして顔を真っ赤にしながら頷く。サラはその様子に気づくことなく、無意識にクロエの手を取りオーラント国立博物館、王宮の一角に設立された石造りの建物へと向かうのだった。
(ふぅ、お嬢様は狙っているのか無意識なのか……)
ミーナはその様子を遠くから眺めながらため息をついた。しかし、次の瞬間にはいつもの様子に戻り、宿を取るべく動き出すのだった。
「しかし、私も初めて来ましたけれどなかなか広い国ですわね。」
王宮の方へと向かったサラとクロエは、現在王宮の前の大通りにいた。そこは恐らくこの国の中で一番の賑わいを見せているだろう場所である。これまでの道のりも人が多かったが、ここの賑わい具合は群を抜いている。
「そ、そうですね。ここまで人が多いと少し疲れちゃいそうですね……」
「ええ、本当ですわ……と言うよりも、クロエさんもう既に疲れているんじゃありませんの? 先ほどから何というか……元気がありませんわ。」
「いやっ、疲れてる訳じゃあないんです! ただ、その……」
顔を依然として赤くしたままクロエが口ごもる。その様子はまるで風邪を引いているようだ。サラが分からないとばかりに首をかしげ顔を近づけて来る。
「その、なんですの?」
「あの、その……こうして手をつないで歩いてると……ま、まるで、デ、デート、みたいだなって思ったら、その、ドキドキしちゃって……」
心底恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせて、顔をうつむかせてしまうクロエ。その様子を見たサラは、
(ああもう、なんて可愛いんですの!? これもう、狙ってやってますでしょう!? それにしてもなんて初心なんですの、もう! それにしてもデートですか。そう言えば私も今までデートなんてしたことありませんでしたわね。あれ、何でしょうこの気持ち? なんか、私まで、こう、恥ずかしくなってきましたわーー!!!?)
クロエの初心な反応を見てあてられたのか、同じように顔を赤くさせてそっぽを向いてしまった。両者の間になんとも言えない気まずい雰囲気が流れる。激しい往来の中のはずなのに、何故かお互いの拍動が激しくなっているのが分かってしまう。だが、そのつないだ手は固く結ばれたままであった。
「あの、その……クロエさん?」
「……は、はい……」
「わ、私は……その!」
サラが何かを決断したかのように声を上げたその時、顔を上げたからこそ分かったのだが、周囲が自分たちに注目していることに気がついてしまった。一部の人は動きを止めて注視している。
「――と、とりあえず場所を移しましょうか! ねっ!」
「そ、そうですね!」
そう言うとクロエ達はそそくさという風に駆け足で去って行った。往来の人々は珍しいものを見たと言うような、良い物を見たと言うようななんとも言えない笑顔で歩みを再開させていった。
王宮前の大通りから外れた広場にて――
「は、恥ずかしかったですわ……」
「ゼェ、ゼェ……や、やっぱり……ミーナさんが言ってたとおり……ボク達は目立っちゃうみたいなんで……もう少し大人しくしてましょうよ……」
息も絶え絶えと言った風にクロエが言った。その言葉にサラも同意するかのようにはげしく頷いた。
しばらくして落ち着いてきたのか、二人は顔を上げて周りを見渡した。そこは石畳の敷かれた広場で王宮の近くであるのに、なぜか人通りの感じられない場所だった。遠くから聞こえてくる人混みの喧噪が、逆に寂しさを感じさせる。
「ここは、一体何なんでしょうね?」
「さぁ、私も初めて来ましたから……あら、あれは……?」
サラが遠くに何かを見つけた。クロエもそちらの方を注視する。
「んー? なんだろう、人、かな?」
クロエはそう言うと、小走りでそちらの方へ駆けていった。サラもその後を追いかける。意気揚々と走って行ったクロエだったが、近づくにつれその正体が明らかになっていく。と同時に足が徐々に止まりだし、その表情が驚きのものへと変わっていく。額からは暑さとはまた別の汗が一筋垂れた。
「サ、サラさん……あ、あれは、何ですか……?」
クロエが信じられない物を見たと言わんばかりの表情でサラに尋ねた。問を出したのはクロエなのだが、まるでその答えを聞きたく無いとばかりにかぶりを振っている。
そこにいたのは、全身をまるでボロ雑巾のような衣服で身を包み、首輪と手枷足枷を付けられた、この世に生きる価値を見いだすことを諦めたガラス玉のような目をした人々であった。いや、人々というのは少し違うだろう。そこには人類はほとんどおらず、世界で人外種、魔族と呼ばれる者たちばかりであったのだから。
「サラ、さん……っ! 何なんですか、これは……!」
「嫌な物を、見ましたわ。そうでした、この国は認めていたんですのね。奴隷の存在を……」
―続く―
「し、失礼しまーす……お茶をお持ちしましたー……」
「ああ、置いておいてくれ……」
受付嬢はテーブルの上にカップを置くと応接室から出て行った。レーメンスは目の前に置かれたカップを手に取ると、今までののどの渇きを一気に潤すかのように中のお茶を飲み干した。
「あぁ~……そうか、そうか! 良かった! 転生者か! ならこのランクも適正値の異常も納得だ! 残業は免れたぜ!! 嫌な仕事もしなくて良い!!」
今までの雰囲気をどこかに投げ捨てたかのように、ローレンツの雰囲気がガラリと一変する。その表情は重荷が降りたと言わんばかりに晴れやかなものだった。
「安心してくれ、アンタの正体は何かとか、前世の様子だとかは聞かないぜ。そういう事を根掘り葉掘り聞くのはギルドのモットーに反するからな。」
「そ、そんなことよりも、ボクが転生者かどうか、何で聞いたんですか?」
おそるおそるといった様子でクロエが尋ねる。正直クロエは疑問など発さずこの場をやり過ごしたい所だったが、ミーナは用意されたお茶を一口飲んで「これは良い茶葉ですね……」と呟いているし、サラに至ってはいまだに呆気にとられている。クロエが疑問せずに誰が疑問できようか。
クロエの疑問を受けたローレンツは改めてクロエらの方へと向き直った。
「あぁ、その疑問は当然だな。もっともだ。さて、何で聞いたかって言うとだな、もしこんな異常とも呼べるステータスを持つ奴が何の脈絡もなくポッと国内に現れてみろ。ソイツは間違いなく人間じゃねえ。現実に人類でSランクを取ったことのある奴はいないしな。そして十中八九ソイツは悪意を持っている。よしんばただの突然変異の人類だとしても、まず真っ先に王宮に連れてって研究対象だ。」
ローレンスの言葉にクロエはゾッとした。だが、同時にその発想は間違っていないことも分かる。クロエの、前世の世界の歴史がそのことを証明してくれる。だが、どうしても納得できないのが心情なのか、微かな嫌悪感が表に現れてしまっていた。
ローレンスは敏感に雰囲気を感じ取った。言葉を続ける。
「まぁ、気持ちのいい話じゃねぇのも分かる。だが、国って言うのはそう言うもんだ。綺麗事ばかりじゃあ、やっていけねぇ。この世界はおとぎ話なんかじゃなくて、実在する現実(リアル)なんだからな。ただ、安心してくれ。見たところアンタは人類じゃなさそうだし、色々研究した方が国のためだろうが、転生者だからそんなことはしない。転生者は往々にして特殊な力とか、特殊な状況にあるからな。研究したって仕方ねぇ。」
そこまで言うとローレンスは立ち上がり右手を差し出した。そして笑って言葉を続けた。
「改めて、ギルドへようこそ。俺たちは強い奴を歓迎するぜ。今後ともよろしく。」
「あっ、は、はい。よろしく御願いしま……」
クロエも立ち上がり握手を変えそうとする。しかし、握ろうとした手は横から伸びてきた別の手によって遮られてしまった。
「えっ?」
「こ・ち・ら・こ・そ。よろしく、御願い、しますわ……!」
見ると、先ほどまで呆気にとられていたサラがいつの間にか復活を果たし、ローレンスの手を笑顔で握っていた。だが、その笑顔はすごみを感じさせる笑みであり、握りしめる手は相手の指先が紫になるほど強く握られていた。
ローレンスは突然のことに、ただ「あ痛ったたた!?」と声を上げた。急いで手を振り払うと哀れな姿になってしまった自身の右手を見る。その隙にサラはクロエを抱きしめていた。
「な、なんつう事する嬢ちゃんだ……恐ろしいぜ……」
「恐ろしいのはこっちのセリフですわ!! さっきから聞いていれば随分とクロエさんになれなれしい……あまつさえ、このクロエさんの可愛らしい手を握ろうとするだなんて……この×××――」
「お嬢様、そこまでです。それ以上は淑女としてなりません。」
ヒートアップしたサラが思わずはきかけた悪態をすんでの所でミーナが食い止めた。クロエとローレンツはただただ呆気にとられるばかりである。
勢いを止められたサラは少し冷静になったのか、「少し言い過ぎました、申し訳ありませんわ。」とローレンツに謝罪した。そこに気持ちがこもっていたかどうかは別であるが。
「……少しかどうかは、是非とも話し合いてぇもんだが、まぁいい。」
ローレンツはテーブルの上に置かれた葉巻に手を伸ばしながら言った。
「これで最後だ。一応ギルドの規定でAランク以上の奴には『二つ名』を与えることになっている。まぁ、一種の勲章みたいなモンだ。有るのと無いのじゃ周りの反応が違うぜ。アンタはAランクだ。『二つ名』は何が良い?」
火を付けていない葉巻でクロエを指す。だが、突然の指名にクロエは戸惑ってしまった。しかし、突然自分の二つ名を考えろと言われてそれがスラスラと出てくる人物は、それはそれでおかしい気もするが。
悩むどころか戸惑うことしかできないクロエの横から助け船が入った。
「白銀……」
「あん?」
その声はミーナから発されたものだった。クロエをまっすぐに見据え発された言葉は、不思議な説得力を持つものだった。
「『白銀の闇』なんて如何でしょうか。」
「な、なんか仰々しいですね……」
ミーナが提案した二つ名にクロエは気後れを感じているようだった。だが、それを聞いたローレンツはニヤリと笑った。
「ほう、『白銀の闇』ねぇ……確かに嬢ちゃんには仰々しいかもしれねぇが、良いんじゃないか? 少なくともそう名乗るほどの力をアンタは持ってんだ。よっしゃ、これでアンタも晴れて二つ名持ちだ。期待してるぜ? 早速だ、ギルドカードを預かろう。情報を更新してきてやる。」
そう言うとローレンツはクロエのギルドカードを受け取り部屋を出て行った。クロエ達が出されたお茶を飲み干すまでの、ほんの少しの時間の後にローレンツは戻ってきた。そして改めてクロエにギルドカードを手渡す。
「ほら、できたぜ。アンタたちの存在はこれから規定通りギルドの全支部に通達される。まぁ間違いなくどこの支部に行っても有名人だろうな。」
「えっ!? ちょ、聞いてないですよ。」
「あ? 何だ、聞いてねぇのか。まぁでも考えてみろ。どっか別の支部に行ったとして、組合員だって認められないよりかはマシだろ?」
「いやまぁ、そうですけど……」
「諦めろ、強い奴は目立つ。有名税って奴だ。まっ、これからギルドの一員としてバリバリ貢献してくれや。頼むぜ、白銀。」
そこまで言うと、ローレンツは応接室から出て行った。残された三人は互いに顔を見合わせる。すると、開け放たれた扉の影から先ほどの受付嬢が顔を出した。
「お、終わりましたか? 終わったみたいです、ね? ……はいっ! ではこれで登録に関する一連の手続きは終了です。お疲れ様でした。これからもよろしく御願いしますね。今正面から出るとちょっとした騒ぎになると思いますから、裏口からどうぞ!」
「もう帰って良いんですの?」
「はい! あ、そういえばこれで皆さんもギルドのメンバーになったので、ギルド関連の宿がメンバー価格で利用できますよ! 是非どうぞっ!」
流石は受付嬢と言った所なのだろうか、ちゃっかり自社関連施設を紹介していた。クロエ達は今度こそとばかりに立ち上がり、応接室から出て行った。
その頃、ギルドのカウンター前では――
「おい、聞いたか? 何でもB、B+、Aランクの奴が現れたらしいぜ。」
「えっ、それってマジなのかよ? Aランクなんて一つの国に数人いるかどうかってレベルじゃん。実際この国でAランクって、『光の勇者』だけだろ?」
受付前にたくさん並んだテーブルに陣取り昼間から酒を飲んでいるギルドメンバーの間では、彗星の如く現れた高ランクメンバーの話で持ちきりであった。その話は実際に目にしたという信頼性のあるものから、もはや原形を留めないほどに尾ひれの付いた話まであった。
実際Aランク以上のメンバーが加入した際はカウンター横の掲示板にその旨が貼られるのだが、掲示板に貼られた情報は規定通り「名前」と「二つ名」のみ。それでは様々な憶測が飛ぶのも仕方ないのかもしれない。
しかし、憶測が飛び交う中でただ一人、誰とも喋らずに周りの話に聞き耳を立てている者がいた。目深にフードを被った格好からはその人物の正体はうかがえない。しばらく大きな動きも見せずにじっとしていたその人物は、突然立ち上がると、とある集団の近くに座り直した。座り直した席の後ろ、そこのテーブルでも他と同じく謎のAランクメンバーの話で持ちきりのようである。だが、他と少し違うのは、その集団の中のある男が声高に話す内容であった。
「だぁ~かぁ~らぁ! 本当だって!」
「いやぁ、流石にそれはねぇって。」
「いやいやマジマジ。俺見たもん。腰ぐらいまである真っ白い髪でさぁ、めっちゃくちゃ可愛い娘だったんだって! なんか頭から触覚みたいなくせっ毛があるのもまた可愛くてさぁ。」
「確かにそのメンバーの二つ名って『白銀の闇』らしいけどさぁ……いくらお前が小さい娘好きの変態だからって、流石にそんな娘がAランクなわけ無いって。」
「え~あの娘がそうだと思うんだけどなぁ……あ~あ、それ抜きにしてもまた会いたいなぁ……クロエちゃんって言うらしいぜ。」
「……お前が王宮前の広場で磔にされないことを祈ってるよ。」
「どういう意味だよっ!?」
その男の話す内容は実に荒唐無稽であった。周囲からは飛び交う与太話の一つと一蹴されてしまうような物である。
――その後ろで静かに話を聞いていた、ただ一人を除いては。
「ふぅん……クロエ、か……」
裏口からギルドを出た三人は再び大通りにいた。周囲は昼間の活気に満ちている。道行く人は両脇に並んだ商店を覗いたり、友人同士で歩いたりと各々が陽の時間を満喫しているようだ。
「さて、この国に来た最大の目的は果たしましたし、すぐに出国しても良いのですが……折角ですし2,3日ほどゆっくり準備をしてからにしましょう。これからの移動手段も考えなくてはいけませんしね。」
ミーナが纏めるようにそう言った。他の二人も別段反対することもないようだ。
「そうですわね。これからずっと徒歩というのも良いかもしれませんけど、流石にそれはちょっと遠慮したいですわ。」
「まぁそれについても追々考えましょう。では、私は先ほど紹介されたギルド関係の宿を当たりに行って参ります。その間、お嬢様方は散策でもしてきたら如何ですか? この国は観光地としても有名ですし、国立の博物館に行けばこの国の歴史を知ることもできます。」
「そうですわね。では、行きましょうか? クロエさん。」
「は、はい!」
クロエが緊張したように返事をした。そして顔を真っ赤にしながら頷く。サラはその様子に気づくことなく、無意識にクロエの手を取りオーラント国立博物館、王宮の一角に設立された石造りの建物へと向かうのだった。
(ふぅ、お嬢様は狙っているのか無意識なのか……)
ミーナはその様子を遠くから眺めながらため息をついた。しかし、次の瞬間にはいつもの様子に戻り、宿を取るべく動き出すのだった。
「しかし、私も初めて来ましたけれどなかなか広い国ですわね。」
王宮の方へと向かったサラとクロエは、現在王宮の前の大通りにいた。そこは恐らくこの国の中で一番の賑わいを見せているだろう場所である。これまでの道のりも人が多かったが、ここの賑わい具合は群を抜いている。
「そ、そうですね。ここまで人が多いと少し疲れちゃいそうですね……」
「ええ、本当ですわ……と言うよりも、クロエさんもう既に疲れているんじゃありませんの? 先ほどから何というか……元気がありませんわ。」
「いやっ、疲れてる訳じゃあないんです! ただ、その……」
顔を依然として赤くしたままクロエが口ごもる。その様子はまるで風邪を引いているようだ。サラが分からないとばかりに首をかしげ顔を近づけて来る。
「その、なんですの?」
「あの、その……こうして手をつないで歩いてると……ま、まるで、デ、デート、みたいだなって思ったら、その、ドキドキしちゃって……」
心底恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせて、顔をうつむかせてしまうクロエ。その様子を見たサラは、
(ああもう、なんて可愛いんですの!? これもう、狙ってやってますでしょう!? それにしてもなんて初心なんですの、もう! それにしてもデートですか。そう言えば私も今までデートなんてしたことありませんでしたわね。あれ、何でしょうこの気持ち? なんか、私まで、こう、恥ずかしくなってきましたわーー!!!?)
クロエの初心な反応を見てあてられたのか、同じように顔を赤くさせてそっぽを向いてしまった。両者の間になんとも言えない気まずい雰囲気が流れる。激しい往来の中のはずなのに、何故かお互いの拍動が激しくなっているのが分かってしまう。だが、そのつないだ手は固く結ばれたままであった。
「あの、その……クロエさん?」
「……は、はい……」
「わ、私は……その!」
サラが何かを決断したかのように声を上げたその時、顔を上げたからこそ分かったのだが、周囲が自分たちに注目していることに気がついてしまった。一部の人は動きを止めて注視している。
「――と、とりあえず場所を移しましょうか! ねっ!」
「そ、そうですね!」
そう言うとクロエ達はそそくさという風に駆け足で去って行った。往来の人々は珍しいものを見たと言うような、良い物を見たと言うようななんとも言えない笑顔で歩みを再開させていった。
王宮前の大通りから外れた広場にて――
「は、恥ずかしかったですわ……」
「ゼェ、ゼェ……や、やっぱり……ミーナさんが言ってたとおり……ボク達は目立っちゃうみたいなんで……もう少し大人しくしてましょうよ……」
息も絶え絶えと言った風にクロエが言った。その言葉にサラも同意するかのようにはげしく頷いた。
しばらくして落ち着いてきたのか、二人は顔を上げて周りを見渡した。そこは石畳の敷かれた広場で王宮の近くであるのに、なぜか人通りの感じられない場所だった。遠くから聞こえてくる人混みの喧噪が、逆に寂しさを感じさせる。
「ここは、一体何なんでしょうね?」
「さぁ、私も初めて来ましたから……あら、あれは……?」
サラが遠くに何かを見つけた。クロエもそちらの方を注視する。
「んー? なんだろう、人、かな?」
クロエはそう言うと、小走りでそちらの方へ駆けていった。サラもその後を追いかける。意気揚々と走って行ったクロエだったが、近づくにつれその正体が明らかになっていく。と同時に足が徐々に止まりだし、その表情が驚きのものへと変わっていく。額からは暑さとはまた別の汗が一筋垂れた。
「サ、サラさん……あ、あれは、何ですか……?」
クロエが信じられない物を見たと言わんばかりの表情でサラに尋ねた。問を出したのはクロエなのだが、まるでその答えを聞きたく無いとばかりにかぶりを振っている。
そこにいたのは、全身をまるでボロ雑巾のような衣服で身を包み、首輪と手枷足枷を付けられた、この世に生きる価値を見いだすことを諦めたガラス玉のような目をした人々であった。いや、人々というのは少し違うだろう。そこには人類はほとんどおらず、世界で人外種、魔族と呼ばれる者たちばかりであったのだから。
「サラ、さん……っ! 何なんですか、これは……!」
「嫌な物を、見ましたわ。そうでした、この国は認めていたんですのね。奴隷の存在を……」
―続く―
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