僕らは同じ色をみている

まる。

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足音  騒ぐ生徒達に対する先生の怒鳴り声 下品な笑い声 騒ぐ生徒達

不快感を覚えるほどの喧騒の中私はまたあの人のことを考えていた。


   会いたい
   今日もあの人はいるだろうか


自然と歩くペースが速くなり階段を掛け下りる
イヤな匂いの篭る下駄箱でいそいそと靴を履き自転車を取りに行く。


今日も私は先生の目を盗みヘルメットを被らずに大好きな黄色で塗られた自転車に乗り、冷たい風を切りながら逸る気持ちを抑えつつあの人のもとへ向かう。


学校を出てしまえば辺はだんだんと静かになってくる。
さっきの喧騒なんてまるでなかったみたいだ。


学校を出て5分弱。


自転車を停め、歩き出す
緊張し強ばる体をリラックスさせようとすうっとゆっくり深呼吸をする。

ドアを開けると、チリリンという入店の音と共に心地のいい暖かさ、雰囲気、珈琲やラテの甘いいい匂いが広がる。

私はこの瞬間がとても緊張すると同時に
とても好きだ。
今から始まることを想像してとてもワクワクするから。
あの人に会えるんじゃないかと、思い描く未来近くに感じれるから。

「いらっしゃいませ。空いてる席へどうぞ」

!!!
いた。今日も会えた。
緊張しひきつる笑顔で会釈した後私はそっと1人がけの席に座った。

ああ、今日も可愛い笑顔ができなかったな...
私はいつも暇な時はこの瞬間のために鏡を見て笑顔の練習をしているのだ。
一人の時にはちゃんと出来るのに、と思い少し口をふくらましていると彼が来た。

「こんにちは。ご注文どうぞ」

毎度のことだけれどニコッと微笑み挨拶をしてくる彼にドキッとした。

「こんにちは!抹茶ラテ1つでお願いします」

「はい。では失礼します」



彼の優しい声、雰囲気、笑顔。
全てが愛おしい。
どうしたら彼と、彼の隣にいれるのだろうか。

こんな風に彼のことを考えていると、長い時間も一瞬で過ぎてしまうのだ。
そして、彼は来た。


「失礼します。こちら抹茶ラテになります。」

「ありがとうございます!!」


毎回ぼーっと彼のことを考えているせいか、いきなり彼が現れる瞬間はどうしてもビックリしてしまう。

喋りかけたい、そうは思うけれどどうしても緊張してしまうし相手は仕事中だ。

何か言いたげな顔をしていたのだろうか。彼は私が考えていることをわかってくれたのか、口を開いた。

「あかりちゃん、今日も学校帰りかな?」

「は、はい!そうなんです。最近寒くって、温かいものが飲みたくなっちゃって」

「やっぱり!あはは、そうだよね。この時間帯になると暗くなるしとても寒くなるからね。ちゃんと暖かい格好しなきゃダメだよ。」

「ありがとうございます!!
お、お兄さんもちゃんとあっためて下さい」

「うん!ありがとう。
じゃあ、また」

「また!」


このほんの少しのやり取り
ここまで来るのでさえもとても時間がかかったのだ。
なんの気がないのかもしれないけれど、話してくれることが、こんなよく分からない随分と年下な子供を、相手にしてくれることが堪らなく嬉しい。
私はこの時間がとても幸せで、大好きだ。

疲れ切った私の心、孤独で、無気力で何も希望がなく居場所のない私の心を豊かしてくれるのはこの人だけだから。






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