閨から始まる拗らせ公爵の初恋

ボンボンP

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計画は立てたら実行に移すもの

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「お嬢様、いえ奥様。まさか昨日の今日で共寝を了承されるとは思いませんでした。お嬢様を尊敬いたします。せめて夕食の時に少しでもご当主様がお気遣いして下さるといいですね。」

ボニーはずっと私といるから今までの夫と私の接触についてもわかっているのだ。

「私はわかりましたと言っただけで閨事をするなんて言ってないわよ。」
「ええっ。でも先程の話の流れではメイド長は初夜のやり直しを、と思ってますよ。きっと。」

「そうね。でも今日は閨事をするつもりは無いの。寝室には行くけどね。ただ力尽くで襲われたらどうしようもないから、薬を盛られても困るしね。だから手を打つのよ。それに今までの奥様たちの事を考えるに、妻に興味を示さず関わりを持たないくせに、子供だけは欲しいなんてロクでもないわ。きっと閨でも最悪だったのよ。そう思うと肩書きと財産しか価値のない男なのね。ああ、見目は麗しい人だったわ。」

「それは言い過ぎでは?でも政略結婚ではそういうお家もあると、お聞きしたことはあります。高位になればなるほど後継ぎは重要ですから。」
「そうね。旦那様もそういう家で育ったのかもしれないわね。でも私は違うから。」


夕食の前になって夫の従者のユーゴがやってきた。
ボニーは壁際で待機。

私はユーゴと向かい合って座るとまず、ユーゴの女性経験について尋ねた。
彼は26歳で侯爵家の3男で婚約中ということだった。

「ねえ、閨教育は男性でも受けるのよね?」
「はい、勿論です。」
「どういった内容なの?」

ユーゴは途端に挙動不審になった、こんなことで照れるなんて…随分、純情ね。
この時代の性教育はどんな感じか聞きたかったけど…まあ、いいか。

「貴方婚約してらっしゃるのよね?彼女とは「そんなことしてません!私はちゃんと式を挙げてから初夜を迎えます。」そんなに大きな声を出さなくても聞こえてるわ。ごめんなさいねプライバシーの侵害だったわ。」

「?プライバシーとは何か判りませんが、とにかく私も貴族ですから節度をわきまえて婚約者とは接しております。」

聞き耳を立てているボニーと顔を赤くするユーゴに私は昨日の夜の事を包み隠さず話た。
一切の会話もせずに前戯もなく無理やり捩じ込もうとして、私が抵抗すると口を塞いでそのまま続行しようとしたことを。

ユーゴは相変わらず赤い顔で聞いていたが
「それは…男としては最悪ですね。妻になる方にそのような振る舞いを。奥様が拒否されたのも理解できます。それで…旦那様をフォークで刺した…。」

「大した傷じゃなかったでしょ?あのまま続行されたら私の方がもっと怪我をしてたかもしれないわ。」
ふと、ボニーを見るとハンカチで目を押さえていた。

「それなのに、今日もまた夫婦の寝室に呼ばれてるの。」
「…。申し訳御座いません。一応、主様も昨日の事は反省していると思います。夕食に間に合うように帰宅されるのは2ケ月ぶりですから。きっと少しでも奥様と…。」

「ユーゴ。それは違うと思うわ。旦那様は反省なんか全くしてないと思うわ。昨日失敗したから焦ってるだけ。初夜の失敗なんて男性にとって恥かしいことでしょう?今日は絶対に事を成そうとするはずよ。力尽くでも。」

「いや、いくら何でも。あの…そんなお方では無いと…。」
「貴方は昨日の夜の私じゃないんだからわからないのよ。」


「それで貴方に話をしたのはちょっと協力して欲しいからなの。旦那様が入浴されている間に、この薬をガウンと夜着の襟元につけてほしいの。」

「いったい何の薬ですか?」
「これは睡眠薬よ。速効性はないし、体に影響もないし、眠る時間も短いの。飲み物に入れたりするのではないから貴方が疑われることも無いわ。」

「まさか、これからずっとこの方法で閨事を回避されると?」
「いいえ。安心して今日だけよ。1回だけよ。」
私は小さな瓶をユーゴの前に置いた。

「本当に1回だけですか?」
「ええ。約束するわ。今後は前向きに努力をするから。私、子どもは好きなのよ。」
「…。わかりました。」

「ありがとう、感謝するわ。それでね、薬効が現れるのに30分ほどかかるから、旦那様がぼんやりしてきたら夫婦の寝室に行くように言って。もしくはベッドに連れて来て。」

ユーゴは苦虫を潰したような顔をしていたが瓶をポケットに入れると部屋から出て行った。

「さあ、準備をしなければ。ボニー、私が言うものを用意してくれる?それに貴女には他にも手伝ってもらうことがあるの。」





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