僕はまた、昨日の君に会いにいく

五月雨

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第1章

初めまして?

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 私は、目の前に立つ青年を宇宙人でも見ているような気分で見つめた。
 こいつ、今なんて言った? 頭大丈夫なの? 普通、初対面しょたいめんの人に開口かいこう一番に告白する? これは私の考え方がおかしいの? ここはアメリカかどこかだったのか?
 思わず、喉から過去最低音かこさいていおんの声が出てしまった。自分でもびっくりするぐらい低い声が出た。これ、もしかしたら合唱の時にバスパートですらも歌えるんじゃない?
 そう頭の中で関係の無いことまで考えながら一人ツッコミをしていると、ますます訳が分からなくなってきたので、私はとりあえずと目の前で満面の笑みを見せる青年を見つめた。目は、決して合わせないように。
 この人、もしかしたら病室を間違えてるんじゃない? 未だに自分がなぜ病室に居るのかは謎だけど、今の状況的に私を誰かと勘違かんちがいしているのかもしれない。
 そう思いついて、普段人見知りしないはずの性格なのに、何故かおずおずと青年に問いかける。
 「あの、あんた病室間違えてない?」
 「いや、合ってるよ!」
 即答された。
 相変わらず人懐ひとなつっこそうな笑みを浮かべる青年に、もうツッコミを入れる気力は消え失せ、時雨しぐれは思わず天をあおぎたくなった。
 本当に、この人は一体誰なんだろう? とりあえず、見ず知らずの人にいきなり告白するようなヤバいやつということは、よくわかった。
 「ねえ、時雨」
 再び、青年が時雨の名を呼びながら話しかけてきた。
 「俺のこと、わかる?」
 なぜ彼が自分の名を知っているのかは不思議だし、どう考えたって初対面なのに何故そんなことを聞いてくるのか訳が分からなかったが、時雨はそんな事よりも彼の表情が気になった。
 すがるような、それでいてどこか諦めたような、そんな表情。どうして、さっきから悲しい顔ばかりするんだろう。今会ったばかりだけど、なんとなく、この人にこんな表情は似合わないと思った。
 「悪いけど、私はあんたと会った覚えは無いよ」
 時雨がきっぱりとそう言い切ると、彼は優しく笑いながら、どこかさびしそうに「そっか」とだけ言った。
 見覚えの無いはずのその声や表情を、どこかで見たような気がした。
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